平成27年11月定例県議会 発言内容(荒井武志議員)
◆荒井武志
通告に従いまして順次質問をいたします。初めに、現地機関のあり方についてであります。
本年6月8日、知事は、現地機関の組織体制を中心とした県の行政機構のあり方について行政機構審議会に諮問し、意見を求めました。そこでは、県の現地機関には、しあわせ信州創造プランや地方創生を推進するに当たり、地域が抱えるさまざまな課題への主体的かつ総合的な取り組みや、県土が広く市町村数や小規模町村が多いという本県の特徴を踏まえた効果的な市町村支援や、住民の利便性への配慮などがこれまで以上に求められていること、一方で、時代の変化に対応した現地機関の組織の効率化も図っていくことなどを重要な課題に挙げております。
また、第1回目の審議会における挨拶で、知事は、一番重要なのは、県民の皆様方が何を考え、どんな行動をされ、どういうことを県に期待しているか、そういうことをしっかり把握して動いていくことができなければならない、この現地機関については、私県知事としての目であり、耳であり、口であり、いろいろな役割を担ってもらっている、総合的に県民の思いを把握して対応していくという総合力あるいは横断的な対応ということが極めて重要だと思っているなどと発言されておられます。
私は、組織体制の検討に当たっての重要な視点は、県民にとってわかりやすいこと、そして県民と直接的に接することが多い組織はできる限り県民に近いところにあるべきであると思っておりますし、より一層大切にしていただきたいことは、仕事の範囲やその量がまず先で、結果として人がどのくらい必要なんだということだと思います。
そこで、知事にお伺いいたします。
そもそも知事の目指す現地機関のあり方とはどのようなものを描いておられるのでしょうか。
◎知事(阿部守一)
現地機関のあり方の検討についての考え方、視点ということでございます。
今回の現地機関の検討に当たりましては、大きく3点、課題として目指す方向性を掲げています。みずからの地域の課題をしっかり取り組むことができるような課題解決型の組織をつくっていこう、それから、長野県、他の都道府県と比べますと市町村数が多くて、特に小規模な町村が多いという県でございますので、市町村支援を効果的に行うことができ、住民の利便性にも配慮された組織体制、それから、行政、限られた予算の中で運営しているわけでありますが、時代の変化に対応し、必要な機能が発揮できる効率的な組織体制、こうしたことを目指して検討を行っていく必要があるというふうに思っています。
特に、長野県、それぞれの地域が独自の風土、歴史、強み、こうしたものを持っているわけでありますので、こうしたものをしっかり生かしていく上では、本庁で多くのことを解決するということではなくて、できる限り現場で物事が判断できる組織にしていくということが大変重要だというふうに考えています。
こうしたことを総合的に勘案して、組織のあり方というのは唯一絶対これが100点満点の回で、あとはゼロ点というものではなくて、さまざまな要素を勘案しながら総体的に考えていかなければいけない部分でありますので、これまでも職員とも意見交換してきておりますけれども、私としては、今申し上げたような観点をしっかり踏まえて、より望ましい、より適切な組織のあり方というものをしっかり追求していきたいと考えております。
以上です。
◆荒井武志
答弁では、住民への対応とか、市町村に対して近いもの、そしてまた現場で対応できるものというようなことをお聞きいたしました。
次に、検討中の審議会も既に4回開催され、議論も大分高まっていると推測されますけれども、この間、関係市町村からの意見にはどのようなものがあったのでしょうか。二つに、現地機関内部における課題や考え方にはどのようなものが上がっておるでしょうか。三つ目に、一般県民からはどのような意見や要望が出てきておるのでしょうか。
以上3点について総務部長にお伺いをいたします。
◎総務部長(原山隆一)
3点御質問をいただきました。
まず、現地機関に対する関係市町村からの意見についてでございます。
県では、ことし8月に、県の現地機関の機能・役割等のあり方に関する市町村アンケートを実施をいたしました。設問の中で、地域課題を解決する上で必要な機能を果たしているか、市町村支援は十分か、災害時の対応は十分かという点につきましては、十分できている、あるいはできていると回答した市町村が比較的多かった。ただ、一方、横断的、総合的に地域課題に取り組んでいるかという設問につきましては、こうした回答が少なく、この点をやや低く評価する傾向が見られたところでございます。
個別の主な御意見では、地域課題を解決するためには現地機関に権限や予算が必要である、現地機関における総合的で横断的な取り組みはこれから一層強化していくことが必要である、また、現地機関には広域圏での連携調整の役割や小規模町村への支援をさらにお願いしたいといったところが寄せられたところでございます。
また、アンケートとは別に、須坂、千曲、安曇野建設事務所につきまして、地域に密着した現地機関として存続すべきという請願、要望などを須坂市、千曲市、安曇野市からいただいているところでございます。
次に、現地機関内部における課題ということでございます。
今回の検討に当たっては、ことしの5月にそれぞれの所属に文書で照会して、現地機関の抱える課題や今後の方向性について把握をしたところでございます。現地機関からの意見は幅広く多岐にわたっておりますけれども、今回の主な論点、「現地機関の機能・役割等の検討にあたっての主な論点」として掲げた項目に関する指摘が多くございました。
例えば、地方創生に係る市町村支援の強化や、それぞれの地域が抱える課題への対応に当たって現地機関の企画・総合調整機能を強化するべきだ、また、6次産業化の推進などにおける農業分野と商工業分野のさらなる連携、また、観光に関する業務については、広域的な取り組みが求められているので地方事務所単位よりもさらに広域的な連携が必要といった意見が寄せられたところでございます。
さらに、組織体制に係るものだけではなく、庁舎、施設の老朽化、あるいはマンパワー不足に関する課題なども寄せられたところでございます。
三つ目の現地機関に関する県民からの御意見でございますが、これまで行政機構審議会を4回開催し、その都度、県のホームページに提出資料や審議内容の議事録などを公開して県民の皆様にお伝えしているところでございますけれども、県民の皆様からは県民ホットラインで集約化の御意見が寄せられておりますけれども、現在のところ現地機関のあり方に関して多くの御意見をいただいているという状況にはございません。
今後、審議会において一定の見直しの方向性が整理されたところでパブリックコメントの実施など幅広く県民の皆様の御意見を伺う場面を設け、さらに検討を進めたいというふうに考えております。
◆荒井武志
今の答弁では、総じて、横断的な取り組みとか、あるいは総合調整機能をどうしたら発揮できるのか、そんな点が多くの意見かなというふうにお聞きをいたしました。
続いて、県内10広域ごとに開催する現地機関との若手職員を中心とした職員討議が始まったと伺っておりますが、この会議では、地方事務所、保健福祉事務所、建設事務所の3所の組織体制を、A案、現行組織型、B案、地方事務所改組型、C案、3所集約型の3案に絞り、たたき台として提示し検討されたようですけれども、これがひとり歩きしていってしまうのではと危惧する声をお聞きもしているところでございます。
意見を聞き始めている段階でこのような手法をとられた根拠や理由はどの辺にあるのでしょうか。知事にお伺いいたします。
◎知事(阿部守一)
現地機関のあり方を職員と討議する実施の理由、あるいは検討例としてA、B、Cを示された考え方ということであります。
職員との意見交換、現地で働く県の職員がどういう問題意識を持っているのか、あるいは持っていないのか、そういうことをしっかり把握していく上で必要だろうということで実施をしています。
議員御指摘がありました職員討議の資料、検討例としてA案、B案、C案というふうに書かれていますが、具体的な議論をするためのあくまでも例ということでお示ししているわけでありまして、この中からどれかを必ず選べというものでもなければ、県として必ずこの三つのうちどれかにしますよということでもありません。
私も一緒に長野地域で検討したときには、なるべく自由に発想してくれということを県職員にも伝えたところであります。余り初めから固定された枠の中で意見を言ってもらうというよりは、職員が実際どういう問題意識を持っているかということがより私としては重要だというふうに思っております。
これからさらに職員討議を行っていくわけでありますが、現場の職員の問題意識、そして仕事をしていく上でのさまざまな課題や悩み、そういうものが幅広く出されるように工夫をして実施していきたいというふうに思っております。
以上でございます。
◆荒井武志
御答弁をいただきましたが、今答弁の中でありましたように、固定された枠の中でではなく意見を求めるということに今後も意を尽くしてお願いをしたいと思います。
そして、県民の皆様からは県政は遠いとの思いをとかく耳にすることがありますので、まさに県民に寄り添える組織づくり、機構のありようを強く期待させていただきまして、次の質問に移ります。
平成28年度予算編成についてであります。
知事は、さきに行われた議案説明の中で平成28年度の当初予算編成について触れられ、現時点では67億円の財源不足が生じるものと試算しているとのことでした。来年度の予算編成に向けましては、既に去る10月22日に編成方針を示され、各部課等に予算見積書の作成を指示されています。
とりわけ共感と対話を常に念頭に置き、県民や市町村、関係団体等の要望や意見を把握するとともに、現地機関や職員からの意見等を反映し、現場の視点で事業構築すること、加えて、人口定着・確かな暮らし実現総合戦略の具体化に当たっては、オール信州で取り組むべく、市町村や関係団体等と取り組みの方向性を共有して施策を構築するよう求めており、県民や現場サイドに立った取り組みを目指す方向性は共有できるところでございます。
また、予算措置による対応だけでなく、規制改革や税制などさまざまな政策手法を検討するよう求めておられます。
こうした取り組みや財政状況を踏まえ、しあわせ信州創造プランの施策推進に加え、人口減少への歯どめと人口減少を踏まえた地域社会の維持・活性化に向けた施策に重点的に財源を配分していくとのことであります。
そこで、お伺いいたします。
予算編成方針の「県財政の現状と見通し」では仮試算で67億円の財源不足とのことですけれども、今後取りまとまるであろう総要望額は歳入試算額を上回ると思われます。また、地方事務所長からの施策提案や職員による政策研究などの出先や現地職員からの施策提案も行われていると聞いております。こうしたものを含めて、査定事務や公表をどのような手順で進めていくのでしょうか。
二つに、財政調整のための基金、財政調整基金と減債基金になるでしょうか、これらの本年度末の取り崩し後の残高見込みと新年度における取り崩し見込み額をどのくらいと想定しておられますか。
三つに、ふるさと信州寄付金など歳入の確保策の充実を含め、新たな収入財源の検討状況についてはいかがでしょうか。
以上3点について総務部長にお伺いいたします。
◎総務部長(原山隆一)
平成28年度の予算編成につきまして3点質問がございました。
まず、当初予算編成の今後の進め方についてでございます。
現在、各部局において予算要求の調整を行っているところでございます。12月中旬に要求を取りまとめ、各部局からの要求総額や主要事業を公表し、県民意見の募集を開始する予定でございます。
また、この要求概要の公表にあわせて、地方事務所長からの施策提案や職員による政策研究への対応も取りまとめ、それぞれの提案につきまして各部局がどのように要求内容に反映したかを公表する予定となっています。
今後の予算編成につきましては、まず財政課で各部局の要求内容を聞き取り、必要な調整を行った上で、要求概要等に対する県民意見も踏まえ、1月下旬の知事査定で予算案の内容を決めることとしております。知事査定終了後、部局ごとに主要事業の内容や金額を速報として公表し、2月上旬には全体を取りまとめ、部局長会議で決定し発表する予定となっております。
次に、財政調整のための基金の残高と取り崩しについてでございます。
財政調整のための基金の平成27年度末残高は、財政調整基金301億円、減債基金207億円、合わせて計508億円と見込んでおります。
来年度の財源不足額につきましては、予算編成方針策定時に一定の条件に基づく機械的な試算によりまして67億円としておりますけれども、国の予算、地方財政対策によって大きく変動するものでありますので、現時点で確定しているものではございません。財政健全化の観点から予算編成の中で事業見直しや歳入確保に取り組み、基金取り崩し額の縮減に努めてまいりたいと思っております。
最後に、歳入の確保策の充実、新たな収入財源の検討状況についてでございます。
歳入確保の取り組みにつきましては、長野県行政・財政改革方針に基づきまして、新たな歳入確保を初め、これまでも積極的に取り組みを進めてまいりました。その中でも、ふるさと信州寄付金につきましては平成26年度に8,800万円と過去最高額を更新したところですが、今年度は、既に、その金額、それから寄附件数も上回っているところであります。今後、さらなる寄附金額の増加につながる取り組みの充実を検討してまいりたいと考えております。
このほか、ネーミングライツ、使用料、手数料の見直し、広告収入の確保、県有財産の有効活用など各部局において取り組みの充実について検討しておりますので、12月中旬の要求概要とあわせて、主な見直し事業案として歳入確保の取り組みについても公表する予定でございます。
持続可能な財政構造の構築に向けては新たな財源による自主財源の確保は重要な課題でありますので、引き続き、さまざまな工夫の積み重ねにより、さらなる歳入確保に取り組んでいきたいと考えております。
◆荒井武志
行政・財政改革方針の中で想定している県債残高でありますが、通常債を平成26年度末に1兆543億円と見込んでおりましたけれども、決算では1兆268億円であり、想定を275億円下回りました。このことは評価をするところでございます。
その減少要因をどう見ておられますか。また、このことによって普通建設事業への投資が窮屈になり、閉塞感等が生じていることはないのでしょうか。
次に、本年は、健康長寿を進めるためのACEプロジェクトや文化振興元年、国際関係再構築年など目玉的事業に取り組んでいますが、新年度にはどのようなことを新たに目指そうとしておりますか。
以上2点について知事にお伺いいたします。
◎知事(阿部守一)
財政について2点御質問いただきました。
まず、普通建設事業とそれから県債残高の状況の関係についてでございます。
財政の健全化、これは県としても取り組むべき重要な課題ではありますが、しかしながら、財政の健全化は、あくまで目的ではなく、質の高い県民サービスを提供し続けるための手段だというふうに考えております。そういう意味では、両方しっかり見ながら、財政運営、予算編成していくということが重要だと思っています。
普通建設事業費についてまず申し上げれば、行政・財政改革方針策定後、平成24年度以降におきましても、普通建設事業については、必要な事業はしっかりやっていこうということで、防災・減災対策の推進でありますとか、道路、橋梁等の計画的な維持補修、あるいは高等学校の施設整備等、こうした投資を行ってきております。そういう意味で、改革方針で予定していた額を上回って普通建設事業を行ってきているという現状であります。
他方で、お話ありましたように、通常債の残高についても行政・財政改革方針の推計値を下回って実績数値になっている。要は、より縮減を図ることができたという状況でございます。
普通建設事業費を伸ばしながら財政の健全化も行ったということで、二兎を追って両方一定程度進めることができたと思っておりますけれども、こちらの通常債残高が推計値と実績で275億円下回った要因ということでございます。
これは、毎年毎年、財政、予算、やりくりしながらいろいろ努力をしてきたわけであります。例えば、国の経済対策の交付金を積極的に活用して通常債の発行を抑制をいたしました。また、過去に発行しております金利の高い県債、繰り上げ償還してきております。こうしたことで、可能な限り将来世代に過度な負担を残さないよう財政健全化に努めた財政運営をしているところでありまして、引き続き、今後とも必要な事業についてはしっかり取り組みながらも、財政の健全化が損なわれないように取り組んでいきたいというふうに思っております。
それから、新年度予算、何を目指すのかということでございます。
来年度予算、これは、しあわせ信州創造プラン、着実にまずは進めなければいけないというふうに思っておりますし、あわせまして、10月に策定いたしました人口定着・確かな暮らし実現総合戦略に掲げた施策の具体化、これも必要になってまいります。
現在、こうした点を中心に、来年度重点を置くテーマ、施策等について内部で検討を行っているところでございます。検討に当たりましては、昨今の社会経済情勢あるいは県政が直面する課題をしっかり踏まえた上で、部局横断的なテーマが非常にふえてきていますので、事業のパッケージ化ということも視野に置いて考えていきたいというふうに思っています。
引き続き、国の予算編成等も踏まえて、当初予算編成の中でしっかりと重点化するテーマについて検討し、予算として取りまとめていきたいというふうに考えております。
以上です。
◆荒井武志
ただいま答弁をいただきましたが、知事は、さきに、人口減少への歯どめと人口減少を踏まえた地域社会の維持・活性化に向けた施策をさらに深化、展開させるとして、人口定着・確かな暮らし実現総合戦略を策定されました。その第一歩がしっかり踏み出せるような予算編成を要望させていただき、次の質問に移ります。
高齢者施策の推進についてであります。
将来人口の推計によれば、平成22年に県民の4人に1人が65歳以上の高齢者であったのが、20年後の平成42年には3人に1人が高齢者になってしまうと予想されており、長野県の高齢化は全国平均を上回りながらハイペースで進行していく状況にあります。
そのような中、現行の医療・介護サービスの提供体制では75歳以上の人口がピークを迎えるであろう平成42年時点において十分な対応ができなくなるおそれがあることから、これよりも前に医療・介護サービスの一体的な提供体制を構築しておかなければならないとして、既に、この間、高齢者が住みなれた地域で生活を継続できるようにするため、介護、医療、生活支援、介護予防などを充実していくための地域包括ケア体制の構築を県が市町村に対して支援してきたことは周知のとおりであります。
そして、本年3月には老人福祉法及び介護保険法の規定に基づく第6期長野県高齢者プランを策定し、具体的な施策の展開を設定する中で市町村の取り組みがさらに進むよう支援をしていこうとしていることについて評価をするところであります。とりわけ、市町村の体制づくりは急を要していると思っております。
そこで、お伺いいたします。
一つに、地域包括ケア体制、国では地域包括ケアシステムといっておりますけれども、この構築に向けて各市町村は地域ケア会議を立ち上げてきていますが、いまだ未設置の自治体に対する支援の状況はいかがでしょうか。
また、運営のアドバイス等を行う広域支援員、弁護士、リハビリテーション専門職等の人材派遣の取り組みはどのようになっているのでしょうか。
二つに、医療職が参画していない地域ケア会議への参画要請はどのように進めておりますか。
三つに、地域包括ケア推進のための研修事業の開催状況はどのようになっておるでしょうか。
四つには、認知症高齢者が現時点で10万人前後、平成37年には13万人前後と高齢者の2割近くになると推計されており、認知症対策の着実な推進は非常に重要であります。市町村が設置する認知症初期集中支援チームの発足や、助言、指導する医師の養成について、未設置市町村に対しどのような働きかけをしてきたのでしょうか。
五つに、認知症対策ではかかりつけ医が重要な役目を担うと思っておりますけれども、医師の不足する小規模町村や山間地域への支援をどのようにしていこうとお考えでしょうか。
以上5点について健康福祉部長にお伺いいたします。
◎健康福祉部長(小林透)
高齢者施策の推進の御質問につきまして順次お答えをいたします。
まず、地域ケア会議の支援でございますが、県といたしましても地域ケア会議は地域包括ケア体制を構築するために必要なものと考えており、昨年度末現在で77市町村のうち58市町村で設置されてきてございます。
本年度、全市町村を対象に、地域ケア会議の設置及び機能強化のための研修会を開催いたしまして、5月の研修会には41市町村から77人、10月の研修会には69市町村から141人が参加してございます。
こうした結果、未設置であった19市町村のうち15市町村で本年度新たに地域ケア会議が設置され、3村が本年度内に設置予定としてございます。残る一つにつきましても、今後、訪問するなどにより状況を把握し、設置に向けて助言してまいりたいと思います。
また、人材派遣につきましては、地域課題の解決に向けて、弁護士、作業療法士、理学療法士、広域支援員などを市町村に派遣してまいりましたが、その実績といたしましては、昨年度、8名を7市町村に16回、本年度は現時点で9名を5市町村に12回派遣してございます。
次に、地域ケア会議への医療職の参加ですが、地域包括ケア体制の構築を着実に進めるためには、行政や福祉、介護関係者とともに、医師、看護師、リハビリ専門職などの医療職が地域ケア会議に参加することが重要と考えております。
平成26年度に県内全市町村を対象に地域包括ケア体制構築状況調査を実施したところ、地域ケア会議への医師等の医療職の参加割合は78.6%でございました。
県といたしましては、市町村に対して地域ケア会議への医療職の参画を要請してきたところでございますが、とりわけ医師の参加につきまして、市町村においてこれまで医師や医師会等の医療関係団体とのつながりが余りないところもございまして、県に対して医師会等への協力要請をしてもらいたい旨の要望もございます。
そこで、本年5月に、県から長野県医師会に対して協力依頼を行うとともに、11月からは個別に郡市医師会に協力をお願いしているところであり、今後とも、医療関係団体への依頼などにより市町村を支援しつつ、医療関係者の地域ケア会議への参画を進めてまいります。
次に、地域包括ケア推進のための研修会ですが、地域包括ケア体制の構築に向けて中核的な役割を担う地域包括支援センターを初め、市町村、介護支援専門員、事業者などさまざまな関係者がそれぞれの専門性や立場に応じて、主体的に、あるいは相互に連携協力していくことが必要であると考えております。
そのため、個々の関係者が地域課題の把握、解決を図っていく資質を高めることが重要であると考え、県において研修を実施しているところでございます。
具体的には、地域包括支援センターにおける地域課題解決力の向上のための地域ケア会議推進研修会を市町村や地域包括支援センター等の職員を対象として本年度2回開催したほか、介護予防の充実に向けて適切な介護予防ケアプランの作成のための予防給付ケアマネジメント新規事業所研修会を介護支援専門員を対象として本年6月に開催するとともに、効果的な介護予防事業を展開するための実践研修会を市町村職員などを対象として本年10月に開催したところでございます。
今後とも、こうした研修を必要に応じて開催することにより、地域包括ケア体制の構築を担う人材の資質向上に取り組んでまいります。
次に、認知症初期集中支援チームについてでございます。
認知症初期集中支援チームは、市町村が地域包括支援センターなどに設置し、認知症が疑われる人などへの初期の支援を包括的、集中的に行うことで自立生活のサポートを行うもので、国は、いわゆる新オレンジプランにおいて、平成30年度には全ての市町村に設置することを目標としてございます。
しかしながら、国が7月に調査したところによると、本年度中に設置予定としている市町村は全国では17.6%、県内では7.8%の6市町にとどまってございます。
このため、県といたしましては、市町村の担当者に対する研修に加え、本年度から新たに保健師、看護師、社会福祉士などのチーム員に対する研修を開催いたしました。
さらに、チームへの配置が義務づけられている国の認知症サポート医研修を修了した専門医の不足が指摘されていることから、これまで71人を養成してきたサポート医について、平成29年度までの3年間でさらに75人を養成することとし、本年度は33人が受講を予定してございます。
また、この人選に際しましては、現時点でサポート医を確保できていない市町村の要望を優先し、不足する地域への重点的な配置を進めてまいります。
こうした取り組みによっても市町村内にサポート医を得られない場合には、近隣市町村のサポート医を委嘱し、テレビ電話等を利用してチーム員会議を行うことや、小規模市町村が合同でチームを設置することが可能とされていることから、地域の実情を踏まえつつ、できるだけ早く県下全域にチームが設置されるよう市町村とともに取り組んでまいります。
次に、小規模町村等への支援についてですが、認知症の治療には早期診断、早期対応が有効とされていることから、身近なかかりつけ医の認知症に対する対応力を高め、必要に応じて認知症の専門診療科に円滑につなぐとともに、日常的な治療や家族への支援等を適切に行うことができるようにする、これが必要でございまして、そうしたことからかかりつけ医に対する研修を実施してきたところでございます。
これまでに受講いたしました554人を認知症相談医として登録いたしまして、県のホームページで公表してございます。
引き続き、認知症相談医の養成を進めるとともに、先ほどお答えいたしました認知症初期集中支援チームの設置を推進することで、かかりつけ医が不足する小規模町村等においても支援チームを中核として医療と介護が連携した支援体制の整備を進め、県内どの市町村においても認知症の人が住みなれた環境の中で自分らしく暮らし続けられる地域づくりに向けて取り組んでまいります。
以上でございます。
◆荒井武志
答弁をいただきました。
認知症対策を含め、地域包括ケアの推進につきましては、介護保険事業の取り組みを通じ、主体は市町村になるわけですけれども、県の力強い後方支援があってこそその成果が得られるものと思います。今後も積極的な市町村支援を要望いたしまして、一切の質問を終わります。