平成27年 11月定例県議会 発言内容(埋橋茂人議員)
◆埋橋茂人
信州・新風・みらいの埋橋茂人でございます。最初に、環太平洋パートナーシップ、TPPについてお伺いをいたします。
21分野35章にもわたりますTPP交渉が大筋合意に至ったということですけれども、合意に至るまで交渉経過の情報開示がほとんどありませんでした。また、合意内容もまだつまびらかにはなっておりません。
臨時国会がその上開かれないまま、国内での議論も十分とはいえず、本当に極めて遺憾な状態だと言わざるを得ません。
また、多くの自治体からの意見書や国会決議、農産物の重要5品目を守るとの政府の約束も守られたとは到底言える内容ではなく、多くの市町村長や影響を受ける各層の皆さんから強い懸念が示されています。これからどうなるんだという声に対しても県が真剣に耳を傾け、十分な対策をとるよう要望し、質問をします。
まず、TPPの県内産業への影響について質問をいたします。
大筋合意を受けて知事はコメントを出されていましたが、順次明らかになってきた合意内容を踏まえ、改めて以下の点について御見解をお聞かせください。
まず、二つ知事にお尋ねいたします。
一つは、長野県にとってプラス面とマイナス面についてあるというふうにお話をされていましたが、ここをもう少し詳しく、どう考えておられるのか。お伺いしたいというふうに思います。
二つ目、ここが大事なわけでありますが、TPPを踏まえて長野県の産業構造や地域経済をどのような方向に誘導していくのか。お考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
◎知事(阿部守一)
TPPについての御質問でございます。
まず、県内産業への影響をどう考えているかという御質問でございます。
TPP協定によりまして参加国の関税のほとんどが撤廃、削減されていくということになるわけであります。また、通関手続等の迅速化も図られるわけでありまして、大きなグローバル経済圏が誕生してくるという形になります。これは、プラス面、マイナス面、両面あり得るというふうに思っております。
まず、プラス面でありますけれども、製造品出荷額の6割超を自動車部品を含む加工組み立て産業が占めているところでございます。今回のTPP協定、最大限活用することにより、輸出増加等、県内製造業に対してはプラスの影響が見込まれるところでございます。
他方で、御懸念いただいております農業でございます。農畜産物に対しましてはマイナスの影響が出てくるということが懸念をされているところでございます。これまでの農業関係者の皆様方との意見交換におきましても、価格下落に対する不安、あるいは競争力強化への支援の必要性、こうしたさまざまな御意見を頂戴しているところでございます。
県としては、長野県TPP農業分野等対策本部を設置いたしました。農業分野を特に中心にしまして、影響把握、あるいは農業経営への総合的な対策の推進に取り組んでいきたいと考えております。
そういう中で、2点目の御質問でございますが、産業構造、地域経済の方向性ということでございます。
10月に策定いたしました人口定着・確かな暮らし実現総合戦略におきましては、本県経済の方向性として、経済のグローバル化を視野に入れ、「活力と循環の信州経済の創出」という基本方針を掲げたところでございます。
具体的には、海外市場に対する対応力の強化等によりまして県内産業の稼ぐ力を高めていきたいというふうに思いますし、あわせて、地域資源を活用して地消地産、自立的な地域経済循環の拡大を目指していきたいと考えております。
稼ぐ力の向上に関しましては、県内産業、国際的な競争力を強化していかなければいけません。こうしたことから、成長期待分野、航空、宇宙でありますとか、健康、医療、こうした分野における新技術あるいは新製品の開発を促進をしていきたいと考えています。
また、県庁内の産業イノベーション推進本部に新しく輸出促進タスクフォースを設置いたしました。ここを中心といたしまして、すぐれた工業製品、あるいは農業との関係での加工食品を含めた食品類、こうした県内製品の輸出拡大に向けて攻めの姿勢で取り組んでいきたいと考えています。
また、地域経済の循環についてでございますが、これは、農産物あるいは林産物等、長野県、非常に豊富な地域資源があるわけでございますが、必ずしも十分生かし切れていないのではないかというふうに思っています。地域内で消費するものを地域で生産していこうという地消地産の取り組みでありますとか、あるいは県民の皆様方にできるだけ県産品を使って愛用していただこうというバイ信州運動なども推進をしていきたいと考えております。
特に農業につきましては、これは国の政策の動向も極めて重要だというふうに考えております。先般も、私、農林水産政務官に対しまして直接具体的な要請をさせていただいておりますが、担い手の育成支援、あるいは本県の重要な農産物である園芸関係、さらにはTPPの影響を比較的大きく受ける可能性がある畜産の分野、こうした分野の生産体制の強化に向けた支援の拡充、引き続き国に対して強く求めていきたいというふうに考えております。
こうした中で、農家の経営体の経営安定をしっかり図りながら、農業が力強い産業となるように関係団体の皆様方とも一緒に取り組んでいきたいと考えております。こうした取り組みを通じて、活力と循環の信州経済の創出を図っていきたいと考えております。
以上でございます。
◆埋橋茂人
ありがとうございました。
続けて、地方創生へのTPPの影響、県版総合戦略への影響を伺います。
今知事にかなり説明をいただいたわけでありますが、TPPの大筋合意によって今回策定された地方創生・県版総合戦略にどのような影響があるのか。お伺いをしたいと思います。
県においても、先ほど知事がお話になったように対策本部を早急に立ち上げられたことについては評価いたしますが、農畜産業への影響が大きいことから地方創生に影響が出るのは必至だというふうに思います。
ついては、総合戦略におきましてTPPに特に影響を受けるであろう分野を三つほど挙げますので、おのおの考え方を示していただきたいと存じます。
まず、農政部長にお伺いします。
県版総合戦略においても課題提起されている人口減少については、農山村地域においてさらに著しいものになることは容易に想像できるところであります。農山村地域の基幹産業は農業であり、専業や兼業を問わず多くの方がそこで生活を営み、生産活動を通じてコミュニティーの維持も行われております。しかし、その大半が高齢者です。国が農業分野のグローバル化に伴い進めようとしている担い手への施策の集中だけでは、農山村地域の農業生産や農村人口、また地域コミュニティーの維持は困難なことが容易に想定されます。
県土の大半が中山間地域である本県において、どのように農業を守り、地域を守っていくのか。お聞かせいただきたいというふうに思います。
二つ目、農業の6次産業化が今回の対応策に大きなテーマとして挙げられておりますが、過去の例を見ましても、なかなか地域においては多数乱立で共倒れも起きております。また、今後も懸念されます。広域調整なり地域クラスターを構築していく必要があるというふうに思っておりますが、県はこれについてどのように関与していくおつもりなのか。お伺いいたします。
以上2点です。
◎農政部長(北原富裕)
農業関係の2点の御質問にお答えをさせていただきます。
初めに、農山村地域、特に中山間地域の農業の振興についてでございますが、中山間地域の農業を維持するためには農地や農業用施設を保全しつつ生産活動が継続されることがまずは重要と考えております。
このため、中山間地域農業直接支払制度などを活用しまして営農の継続を支援するとともに、農地中間管理事業による担い手への農地集積や集落営農組織の育成を進めてまいります。さらに、圃場整備や老朽化した農業用施設の改修などの基盤整備の促進によりまして耕作条件の改善と農地遊休化防止を図ってまいります。
また、御質問にありました地域コミュニティーの維持を図るためには、現在検討を進めておりますJA長野県グループと連携した農村地域の暮らし支援ですとか、農ある暮らしを希望し移住される方々を初め幅広い世代の就農を支援するなどによりまして、中山間地域の農業・農村を維持してまいりたいというふうに考えております。
次に、農業の6次産業化についてでございますが、本県の6次産業化の総合化事業計画の認定数は90件となっており、地域資源を活用した特色のある多様な取り組みが展開されているところでございます。
この中には、農業経営の多角化に向け農業者みずからが加工、販売を行う事業計画も多数見受けられます。これらの取り組みは農業者の所得向上に直接つながることから、今後も積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。
県といたしましては、安定した経営が成り立つ事業となるように、経営管理の研修会ですとか、プランナー派遣による商品開発、販路開拓への支援、また事業開始のための資金相談など、きめ細かに支援をしてまいります。
また、農業者と2次、3次産業の事業者とが連携した規模の大きな6次産業化は地域の雇用拡大や活性化につながることから、広域的な調整ということの中では10広域に設置しました地域推進協議会を中心にしまして、市町村、農業団体、金融機関と一体となって事業化から事業実施のフォローアップまで一貫した支援を行い、これら比較的規模の大きな6次産業化の取り組みに対してもしっかりと推進をしてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
◆埋橋茂人
ありがとうございました。6次産業化、非常に難しいものがございます。ぜひ高いところから広域で特に調整をいただければというふうに思います。
次に、産業労働部長にお聞きします。
県民生活の土台となる地域経済の活力を高めというふうに総合戦略にございますが、TPPでそのような絵が、絵というのはプランですが、総合戦略どおり推進できるとお考えなのかということで、影響を受けるであろうものづくり、先ほど知事も触れられた地消地産、もしくは地産地消についてどんなふうにお考えなのか。お聞かせをいただきたいというふうに思います。
以上です。
◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)
お答えいたします。
TPPの県総合戦略への影響についての御質問でございます。
まず、ものづくりにつきましては、TPPの大筋合意によりまして日本から参加11カ国に輸出される工業製品の99.9%の関税が最終的に撤廃されるなど、高度な技術に強みを持つ本県製造業にとってはさらなる輸出の促進が期待されます。
そこで、本県の優位性を確保し、さらに強化していくために、航空、宇宙や健康、医療など成長期待分野での産学官連携による新しい技術や新しい商品の開発に努めるとともに、すぐれた既存技術をもとに新たな事業展開を目指す中小企業や新たな課題に直面した中小企業に対しましては、専門家による集中的なアドバイスや複数の支援機関がチームとなってその新しい課題を迅速に解決するなど、支援体制を強化してまいりたいと考えております。
また、輸出促進のタスクフォースにおきましては、新たな市場開拓に向けた調査研究や健康長寿県である長野県の食の売り込みなどを積極的に進めてまいりたいと考えております。
次に、地消地産の取り組みにつきましては、県内の生産者と県内の消費者や加工事業者をつなげる形で県産品の消費拡大や新商品の開発などに取り組んでまいります。
具体的には、県内農産物を利用したメニューを提供する飲食店や宿泊施設の輪を広げるとともに、豊富な地域資源、高度な食品加工技術の強みを生かした新たな高付加価値食品づくりを推進してまいります。
また、エネルギー分野におきましても、木質バイオマスエネルギーの推進や電気自動車の活用による環境に配慮した観光地づくりなど、地域資源としてのエネルギーの活用を進めます。
このような総合戦略に掲げる具体的な取り組みによりまして、本県産業の稼ぐ力の向上や自立した地域経済循環を構築することによりまして、TPPの影響にも対応できる県民生活の土台となる地域経済の活力を高めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆埋橋茂人
しあわせ信州創造プランの上に地域総合戦略ということで大きなグランドデザインが二つあるわけですので、改めてTPPの対処方針をさらに乗っけていくというのは容易なことではないというふうに思いますが、地方版の総合戦略の中で県が言われているように、PDCAサイクルを回して所要の修正を柔軟に加えていっていただいて本当に厳しい状況に臨んでいただくことを強くお願いをして、この項の質問を終わります。
次に、地産地消、地消地産に密接に関連いたします学校給食等におけます県産農畜産物の利用促進について教育長に伺います。
貧困児童が非常に多い中で、学校給食による栄養摂取が重要性を増している状況も踏まえてお考えを示していただきたいというふうに思います。
学校給食に対する生徒の満足度、保護者の満足度はいかになっているか。お答えをいただきたい。
二つ目として、学校給食におきます県産品の占める割合と、その分母から長野県では自給困難な魚介類を除いた県産品の占める割合はどうなっているか。お示しをいただきたい。
三つ目として、学校給食の現状について、次の点、三つお願いしたいと思います。
生産、流通、1次加工、給食業者、学校の関係は、現状どんなふうになっているのか。
また、県内には給食センター方式と自校炊飯方式が混在をしておりますが、その割合を、食数比、イコールこれは生徒数比になると思いますが、と学校数比でお示しをいただきたいと思います。
今後の地消地産を基本とした学校給食における県産品の利用促進について県としてのお考えをお示しいただきたいと思います。
◎教育委員会教育長(伊藤学司)
学校給食に関しまして5点お尋ねをいただきましたので順次お答えを申し上げます。
まず初めに、学校給食の満足度についてのお尋ねでございますが、平成25年度に県教育委員会が栄養教諭や学校栄養職員と協力をして実施をしました児童生徒の食に関する実態調査の結果では学校給食を楽しみにしている小学生は7割弱でございまして、その理由としては、おいしいからが1位、友達と一緒に食べるからが2位、また、中学生では楽しみにしている割合は6割弱でございまして、その理由としては、おなかがすいたからが1位、おいしいからが2位でございます。
この結果は、9年前に同様の調査を行っている結果と比較いたしますと、小学生、中学生ともに楽しみと答えている割合が増加してきているところでございます。
保護者の満足度につきましては具体的なデータはとってはございませんが、各学校で給食試食会や保護者会での意見聴取などを通じ保護者の意見も聞きながら給食の改善に取り組んでいるところと認識をしてございます。
次に、学校給食における県産品の利用率についてのお尋ねでございます。
本県農政部が平成26年度に実施をした学校給食における県産農産物利用状況調査の結果によりますと、学校給食における県産品の活用率は43.8%でございます。また、同調査において魚介類を除いた活用率というものをはかりますと46.4%になっているところでございます。
次に、学校給食の生産から学校に納入されるまでの関係についてのお尋ねでございます。
学校給食用食材は、実施者である市町村教育委員会や各学校、調理場の物資選定委員会等で、その食材の実情や教育方針に応じて決定をされているところでございます。
主食である米につきましては、地産地消の観点から地元農協や直接生産者から仕入れる場合と、長野県学校給食会が全農長野県本部から仕入れる県内産米を納入する場合がございます。
また、野菜や果樹、キノコなどについては、地元農協等との協力や、農家や直売所、NPO法人などが学校給食応援団というような自発的な任意組織をつくり、協力し合って、季節ごとの食材を提供する取り組みも行われてございます。
調味料や加工品などその他の物資については、市町村教育委員会や学校、調理場ごとに一般競争入札等によって納入業者を決定しているところでございます。
なお、長野県学校給食会では、栄養教諭等と協力し、地場産物を活用した加工品の開発に取り組んでおり、現在、長野県産の果樹を使用したゼリーなど32品目が商品化され、学校給食に提供されているものもございます。
次に、調理場の方式ごとの割合についてのお尋ねでございます。
給食センター方式と自校方式の割合は、平成27年5月1日現在で、生徒数、食数で見ますと、センター方式が11万9,865食で70.1%、自校方式が5万1,049食で29.9%でございます。学校数で見ますと、センター方式が365校で66.1%、自校方式が187校で33.9%になっているところでございます。
最後に、県産品の利用促進についての考え方でございますが、学校給食に地場産物を活用することは、新鮮で良質な農産物が得られるばかりでなく、子供たちが食材を通じて地域の自然や文化、産業等に関する理解を深め、ふるさとを愛する心や生産者への感謝の心が育まれるなど、食育の面でも大きな効果が期待できるものと考えております。
このため、県教育委員会では、栄養教諭や学校栄養職員の研修会等において県産物を活用した食に関する指導を推進するとともに、県農政部が実施する「旬ちゃん学校訪問」の積極的な活用の周知や、長野県学校給食会との共催による「学校給食に地場産物を活用した献立コンクール」の開催などに取り組んでいるところでございます。
学校給食における県産農産物の利用率はこの5年間で5%上昇するなど、第2次長野県食育推進計画に掲げた目標達成に向けて確実な成果があらわれており、今後も、県農政部や長野県学校給食会と連携し、学校給食における地場産物の利用促進に取り組んでまいる所存でございます。
以上でございます。
◆埋橋茂人
ありがとうございました。お聞きになっている皆さんも含めて、意外と自給率が低いんではないかということで驚かれたというふうに思います。魚を除いても46.4ということですから、冬場はなかなか生鮮野菜がとれないというようなハンデもありますけど、まだまだ県産品で賄える部分は多くあるというふうに思いますので、今回は細かいことはお尋ねしませんけれども、今後とも拡大に向けてお取り組みを頂戴したいというふうに思います。
次に、同じ趣旨で観光部長にお尋ねいたします。
ホテル、旅館、民宿等に対します県産農畜産物の利用促進についてどのような方策を講じておられるのか。伺いたいと思います。
ヨーロッパでは、民宿条例を定めて、一定の距離内、60キロ内で収穫したものを60%以上供給しなければ民宿と名乗れないなど、観光業とセットになった施策がとられています。
県の観光価値、先ほど来小川議員もお話をされておられましたが、複合的な施策が必要ではないかと思いますので、この辺について観光部長に御見解を伺います。
以上です。
◎観光部長(吉沢猛)
観光業での県産農畜産物の利用促進についてのお尋ねでございます。
旅行者にとっては、その土地ならではのおいしい料理を食べることが旅先を決定する大きな要素となっているところであり、県としても食の分野は力を入れていきたい部分と考えております。
長野県には、信州サーモン、信州黄金シャモ、伝統野菜など信州ならではのオリジナル食材が豊富にあることから、地元の食材によるおもてなしの観点からも旅館、ホテルなどの観光事業者における県産農畜産物の利用促進が求められているところでございます。
県としては、現在、観光事業者を対象として、食の魅力づくりのための実践研修会や地元の食材を使った料理コンテストを開催し、旅館やホテルなど事業者との連携を進めているところでございます。
県としては、地方創生の総合戦略の中で地消地産の推進を重要施策と位置づけていることから、観光事業者に県産農畜産物をより積極的に活用してもらうための施策を、部局横断的な形を強化しながら、関係団体と一体となって推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆埋橋茂人
ぜひお取り組みのほうをよろしくお願いをしたいと思います。
次に、賃金、雇用問題について申し上げます。
アベノミクス、アベノミクスということでありますが、なかなか地方にはアベノミクスの雨が降ってこないという状況でありまして、多くの中小企業を抱えます県内ではなかなか賃金が上がりません。大手との格差がさらに進行しているというふうに私は認識しております。
県として改善策をそれぞれ講じられているわけですけれども、現状はどうなっており、また、これからどうお考えなのか。お示しをいただきたいというふうに思います。
もう1点、今回、ハローワークがそれぞれいろんな機関からの要請に基づいて存続をすることになりましたが、地公体でも職業紹介は今でもやっておられますが可能ということでありまして、県として、今やっている職業紹介、職安と県の職業紹介、どんなふうに国と業務が重複しないように調整、機能分担を図りながらやっていくのか。お考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
当然、ハローワークや県の労政事務所やさまざまな機関が雇用の確保、維持に尽力をされているわけでありますけれども、国との業務は重複をするということでは目的を達しないというふうに思いますので、この辺どんなふうにお考えなのか。お聞かせをいただきたいと思います。
以上です。
◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)
2点順次お答えいたします。
まず、県民の賃金や所得向上のための施策についての御質問でございます。
県民の賃金や所得を向上させるためには、まずは県内企業が元気になることが必要と考えます。そこで、県といたしましては、付加価値が高く、安定的な成長が見込める次世代産業の創出と産業を支える人材の育成に取り組んでおります。
具体的には、次世代産業の創出につきましては、ことし春、長野県次世代ヘルスケア産業協議会を設立するとともに、健康長寿県の強みを生かして少子・高齢化の中でも成長が期待されるヘルスケア産業の振興を図っております。また、下伊那地域の中小企業を中心に参入の動きが活発化している航空機産業や、本県の強みであるすぐれた地域資源や高度な加工技術を生かせる食品産業など、次世代を担う産業の振興を図ってまいります。
次に、人材育成の支援策といたしましては、産業界の急速なグローバル化や技術革新に柔軟に対応できる高度な技能や技術を持った人材をつくるため、長野県南信工科短期大学校を来年4月に開校する予定でございます。
また、県内企業の改善活動を推進するため、生産現場で活躍した大手企業のOBを中小企業指導者として育成する仮称信州ものづくり生産革新インストラクター養成スクールの開設なども検討しております。
県では、こうした取り組みを積極的に推進し、県内企業の成長期待分野への挑戦を支援するとともに世界に飛躍するグローバル人材の育成を進め、県民の賃金や所得の向上につなげてまいりたいと考えております。
次に、職業紹介についての御質問です。
平成16年の職業安定法の改正を受けまして、県では、地方事務所におきまして、障害者、母子家庭の母、中国帰国者を対象とした職業紹介事業を実施してまいりました。さらに、昨年度からは子育て期の女性も対象に加え、相談から求人開拓、紹介状の発行、就職後の定着の支援までを一体的に支援しているところでございます。
この取り組みでは、就職に困難を抱えている方々のそれぞれの事情や希望などに細かく配慮しながら丁寧なサポートに努め、これまでに800人を超える方々を就職に結びつけてまいりました。
このように、県では、求職者の全てに対応する国のハローワークとは異なり、特定の層に絞ってきめ細かな対応を行うことが県の行う職業紹介の強みであると考えております。
一方、国との関係におきましては、ジョブカフェ信州の運営をハローワークと一体で進めてきたほか、長野と飯田のマザーズコーナーや銀座NAGANOでもハローワークと連携した取り組みを進めております。
なお、今回、内閣府の有識者会議が自治体独自の地方版ハローワークなどの提言をまとめたことは承知しておりますが、具体的な制度設計は今後厚生労働省が検討していくと聞いております。県といたしましては、引き続き情報収集に努めるとともに、国との役割分担や連携などに留意しながら対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆埋橋茂人
ありがとうございました。ぜひ重複しないようなお取り組みをお願いをしたいと思います。
最後に、健康福祉部長にお伺いをいたします。
介護サービスの整備拡大について、政府、塩崎厚生労働大臣が介護による離職者をゼロにするということで、介護サービス受給者を、11月12日に、一億総活躍社会に関する国民会議で、現状より6万人ふやし40万人とする方針を示されました。ところが、安倍総理が、2週間ちょっとたった後、11月26日でありますけど、さらに50万人までふやすということであります。その方向については異論を挟むところではございませんが、じゃ具体的に一体どうするんだということでございます。
長野県ではどのくらいのサービス受給者がふえるのか。お示しをいただきたいところであります。
また、10万人に上る介護のための離職者が現状いるわけでありますが、一方、9月の県会でも質問いたしましたけれども、賃金が低いというようなことから介護従事者の離職が後を絶ちません。また、大学の介護関係学部や専門学校への進学も定員割れの状態が続いております。実効性を確保するにはさまざまな施策が必要だというふうに思います。
そこで、県として介護従事者の離職防止のためどんな対策を講じておられるのか。示していただきたい。これからの方針でも結構です。
二つ目として、介護専門職の養成が急務だと考えますが、定員割れ対策について奨学金の拡充を前回の県会でもお話をいただきましたが、具体的なスケジュールにのっているのかどうか。どういう状況か。お示しをいただきたいと思います。
また、これはもう国の制度設計に尽きるわけでありますので、国の新たな緊急対策を踏まえて県として国への予算措置を含めた要望をどのようにされていくのか。お聞かせをいただきたいというふうに思います。
以上でございます。健康福祉部長にお願いします。
◎健康福祉部長(小林透)
介護問題についての御質問に順次お答えをいたします。
まず、介護離職ゼロ政策に伴う介護サービス量についてですが、平成26年度のサービス受給者数は全国で124万人であるが、第6期介護保険事業計画において全国の市町村が推計した2020年の必要サービス見込み量は162万人となり、38万人ふえるとしているところでございます。
今回、国が示した方針は、この38万人に加えて、介護離職の防止などのため特別養護老人ホームや認知症グループホームなどの整備を進め、さらに12万人上乗せすることで、2020年初頭までに50万人以上ふやすとしたものでございます。
本県では、平成26年度のサービス受給者数約2万6,500人に対し、市町村の第6期介護保険事業計画では2020年に3万4,300人と見込み、7,800人の増としてございます。
今回の国の方針は11月26日に開催された一億総活躍国民会議において示されたものであり、今後、国は地域ニーズのより的確な把握について詳細な実態調査、検証を行うとしているところでございますので、12万人増による県内への影響についても、地域において積み上げられたものではないということから、国の調査などの動向を踏まえて把握してまいりたいと思います。
次に、介護従事者の離職防止対策についてでございます。
県内の介護職員の離職率は平成26年は11.7%で改善傾向にあるものの、離職者のうち約7割は入職後3年未満の者であることから早期離職の防止を図ることが重要な課題でございます。
また、離職理由として、専門性や能力の発揮、向上ができない、あるいは将来の見込みが立たない、また雇用管理のあり方が不満などが上位に上げられていることから、こうした事由に応じた改善を進める必要がございます。
このため、県では、将来の展望を持って働き続けることができるよう、キャリアパスモデルの作成とそれに対応した生涯研修を実施しており、加えて、今年度、新たに新任職員の定着を図るため人材育成担当者の研修費用への助成などを行っているところでございます。
さらに、現在作成中であるモデル給与表・給与規程について、経営者などを対象にした福祉・介護人材確保セミナーなどで周知し処遇改善を促すとともに、腰痛などの職員の身体的負担を軽減するために介護ロボット導入セミナーを開催する予定でございます。
また、処遇改善については、平成27年度の介護報酬改定に際し介護職員処遇改善加算が拡充されたことから、集団指導の場や県ホームページにおいて事業者に加算制度を周知するとともに個別の相談に応じることなどにより、より多くの事業所で加算が算定できるように取り組んでまいります。
次に、奨学金の拡充などの対策についてでございます。
介護福祉士等への修学資金については、制度を開始した平成4年度から本年度までに1,348人に貸与を行い、介護福祉士等の県内施設への定着に大きな役割を果たしていると考えているところでございますので、貸し付け対象者の拡大を図る方向で検討を行っているところでございます。
それに加え、県では、若い世代に福祉や介護の仕事に関心を持ってもらうため、現場で活躍する職員が仕事のやりがいや魅力を中高生に伝える訪問講座や職場体験の機会の提供、現場で働く先輩の声や先進的な施設を紹介するDVD教材の作成などに取り組んでまいりました。
さらに、本年度は、新たに介護福祉士養成施設に対する支援策として、施設が行うオープンキャンパスや学校見学会など入学者の増加につながる取り組みに対して助成を行ったほか、漫画を中心とした啓発パンフレットを作成し県内全ての中学校、高校に配布することとしてございます。
来年度に向けては、若い世代にターゲットを絞り、福祉や介護の職場に関心を持ってもらうため、重点的にPRを強化することなどにより介護人材の養成確保を図ってまいりたいと思います。
次に、国の緊急対策への対応についてでございます。
先日、11月16日にまとめられた政府の緊急対策では、一億総活躍社会の実現に向けて、介護人材の育成確保のため、離職した介護職員の再就職支援を初め、介護福祉士を目指す学生等へ返還免除付学費貸し付けの大幅な対象拡大や、キャリアパスの整備を行う事業主に対する助成の拡大などに取り組むこととされてございます。
県といたしましても、国の予算措置については、先週、11月27日に、厚生労働省に対し、今後増大する介護ニーズを支える福祉・介護人材の安定的な確保定着を図るため十分な財源を確保するよう要望を行ってきたところでございます。
まずは、これらの平成27年度補正予算への反映等につきまして情報収集に努め、必要な事項は引き続き国に強く要望するとともに、国の事業を積極的に活用することなどにより必要な介護人材の育成確保に向けて取り組んでまいります。
以上でございます。
◆埋橋茂人
人口減少にしろTPPにしろ、中央の施策の具体的な解決策が地方に強いられていますので、ぜひしたたかに県として方針を示して立ち向かっていただくことをお願いをして、私の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。