平成27年 6月定例県議会 発言内容(寺沢功希議員)
◆寺沢功希
安曇野市区選出、信州・新風・みらいの寺沢功希でございます。初めての質問で大変緊張しております。皆様におかれましては、どうか、温かい、また広いお心でお聞きいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
それでは質問を始めさせていただきます。安曇野市にあります県立こども病院について質問いたします。
この病院は、平成5年に開院し、平成22年の独立行政法人化を経て現在に至っております。全国で9番目の県立こども病院として60床で診療を開始したこの施設も、現在は3倍の180床の規模で運営されております。
そこで、健康福祉部長に伺います。
現在、施設の駐車場は敷地内のみであり、患者さんと病院関係者とで共同使用しております。収容台数は、医師、看護師、職員宿舎の駐車場を含め610台で、うち340台が患者さん、270台を病院関係者という割合で使用されておりますが、大変不足しております。公共交通機関は整備されておらず、病院へのアクセスは自家用車を利用せざるを得ない状況であり、十分な駐車場の確保は必須であります。
患者さんの利便性向上のため駐車場を新設していただきたいが、現在の状況についてどうお考えか。また、駐車場増設についてのお考えと、さらに、予算を含め県としてはどのような関与ができるのかをお聞きします。
加えて、農政部長に伺います。
仮に増設する場合、ヘリポートのスペース確保や費用の関係により立体駐車場等も含め敷地内での増設は難しく、敷地外の新設が現実的であると考えます。しかし、病院が田園地帯に立地しているため、近隣に住居は少なく、また街灯もないため夜間は暗闇に包まれ、人けもありません。当然、敷地外駐車場の利用対象者は病院関係者になると思いますが、深夜に交代があります女性看護師にとっては病院から離れた場所では危険が伴うため隣接地に確保したいわけですが、周辺隣接地は農地であり、農業振興地域のため駐車場として開発を行うには非常にハードルが高いと思われます。
現在の法律上、隣接地の農振を除外し開発できる可能性はあるのか。また、それについては、県の事業であったり、あるいは営利目的ではなく病院の施設のための開発であっても変わりはないか。また、全ての法律を踏まえ、現時点で隣接農地を駐車場として開発する方法はないのか。回答をお願いいたします。
◎健康福祉部長(小林透)
県立こども病院の駐車場不足に関する御質問でございます。
こども病院の駐車場は、平成5年の開設時に566台分であったものが、この6月にも14台増設するなど順次ふやしてきておりまして、現在、患者用と職員用の計624台分を確保してございます。
病院では駐車場に整理員を配置してスムーズな入退場に努めているところでございますが、外来患者が多い午前中など駐車場を確保するのに時間がかかるため、病院において近隣に職員用の駐車場を探していると聞いてございます。
県においては、第2期中期目標の中で、こども病院の運営主体である県立病院機構に対しまして患者サービスの一層の向上を求めたところ、病院機構としてもそれに取り組んでいくこととしてございます。
こども病院の駐車場にかかわる課題につきましては、まずは県立病院機構におきまして敷地の有効利用や駐車場のあり方等を検討していただき、その上で県に相談などをいただくことによって情報共有し、ともに考えてまいりたいと思っております。
以上でございます。
◎農政部長(北原富裕)
こども病院の近隣農地での駐車場確保に対するお尋ねでございますけれども、農地を農地以外に転用する場合には原則的に農地転用許可が必要となり、その農地が農振農用地である場合には転用許可申請前にいわゆる農振除外が必要となります。
こども病院の周辺農地につきましては、集団的な優良農地であり、近年において土地改良事業が行われているため農振除外に必要な要件を満たしておらず、議員御質問の場合も含めまして現在のところは農振除外は難しいと認識しております。
なお、土地収用法で定める事業認定を受けた場合には、農振農用地であっても農振除外が不要となり、農地転用が可能となる場合がございます。
以上でございます。
◆寺沢功希
一般論ではございますけれども現時点での開発する方法があるということがわかりましたので、今後の展開に大いに期待をいたします。
続きまして、病院敷地内に、現在、入院患者の家族が滞在できる施設、「たんぽぽのおうち」というものがございます。運営はNPO法人が行っておりますが、施設の管理、予約申し込み等は病院が行っております。施設規模は、和室が4室、洋室が1室の計5室のみで、利用できない御家族もたくさんいらっしゃいます。
病気に関したことでありますので利用希望者がいつ集中するかは予測できない問題ではありますが、学校を休むことがないよう長期休暇にあわせて手術をする、あるいは入院患者の兄弟姉妹の学校が休みになるのにあわせ家族で滞在するケースも多く、夏、冬、春休みの期間は特に利用できない御家族が多くなるようで、そういった御家族は市内もしくは隣の松本市で民間宿泊施設を利用されるか短期でアパートを借りられているそうです。
この「たんぽぽのおうち」の利用料金は、初めの1泊2日、大人3,400円、3歳以上小学生以下が1,600円、2泊目以降はいずれも半額になるため、市内の平均的な宿泊料金に比べ3分の1以下で利用できます。一方で、より多くの方が利用できるように、1回の申し込みで7日まで、年間利用日数は60日までと制限も設けられております。御家族に医療費への負担が大きいときに宿泊費へのさらなる負担をかけるべきではなく、また長期入院患者の御家族に対しては制限なく御利用いただきたいと考えます。
そこで、健康福祉部長に伺います。
この施設に対して、また現在の施設規模に対してどうお考えか。また、この施設を利用できない入院患者の御家族を減らすための対応策として、敷地内あるいは近隣に追加施設を新築するような費用のかかる方法ではなく、市内にある県営住宅の空き部屋の有効活用、また、民間のアパート等の空き部屋や一戸建ての空き家を借り上げ空き家対策として利用できないかという点について、独立行政法人ではあるが、県としてどの程度関与できるのかをあわせてお答えをお聞かせください。
◎健康福祉部長(小林透)
家族滞在施設の現状についてお答えをいたします。
こども病院の長期入院患者の家族の皆様のための滞在施設は、現在、県立病院機構が運営主体となって、施設管理をNPO法人に委託しているところでございます。議員御指摘のとおり、利用に当たっては所定の利用料金をお支払いいただき、原則、1回当たり7日以内で、年間60日までの利用ということとなってございます。
こども病院によれば常時満室という状況ではないということでございますが、これも御指摘のとおり、夏休み、春休み期間など利用希望が重なる場合には近隣のホテル等を紹介していると聞いております。現在ではこども病院において利用者の要望に対応していただいているものと考えてございますが、今後とも丁寧な対応を求めつつ、状況については県においても共有してまいりたいと思っております。
また、議員の御指摘の方法も考えられるということではありますが、まずはその点につきましても病院機構で検討をしていただき、その上で、県としてもともに考えて対応をしていくということであろうと思っております。
以上でございます。
◆寺沢功希
ありがとうございました。ぜひ今後も御検討をお願いいたします。
最後に、病院内の環境についてですが、現在、Wi-Fiが利用できる箇所はエントランスと食堂のみに限定されており、当然病室では利用できません。長期入院患者やその家族の情報収集、勉強、趣味、友人とのメール等さまざまな用途で今日ではインターネットは必須であります。現在でもスマートフォンを利用してのアクセスは可能ではありますが、通信費は患者さん負担になります。また、実際、病室から移動することが難しく、まばたきと眉間のわずかな動きでパソコンを操作することしかできないALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんがおられ、友人とメールがしたいという希望もあります。
地元を離れ、また友人と離れ、病と闘う子供たちが、メールを使って連絡を取り合ったり、ウエブカメラを使って学校のクラスのみんなと話をしたりできれば、その子を力づけることができるのではないでしょうか。そのためにも病室のWi-Fi環境の整備は必要ではないでしょうか。
福岡県の11病棟556床の規模の病院で、全館Wi-Fi導入に当たり最も医療機器を多用するICUで1カ月間ランニングテストを実施し、医療機器への悪影響はゼロであることが証明されております。また、無線LAN機器のメーカーに確認したところ、病院が業務で利用しているWi-Fiに干渉しないよう整備することが可能だそうです。
今後、このような病院内のWi-Fi環境の整備や、あるいは先ほどの駐車場や滞在施設の問題等、病気と闘う子供たち、あるいはその御家族に希望を与える病院づくりが重要であると考えます。
そこで、知事に伺います。
県立こども病院のこれまでの取り組みについてどのように評価されており、今後についてはどのように期待されておりますでしょうか。また、その実現に向けて県としてはどのような協力体制で臨まれるお考えか。回答をお願いいたします。
◎知事(阿部守一)
こども病院についての御質問でございます。
先ほど駐車場の問題であるとか家族滞在施設の問題がありました。御指摘のとおり、利用者あるいは患者、そうした皆様方の立場に立ってしっかりと病院のあり方を考えていくということは大変重要だというふうに思います。
ただ、県立病院機構という独立行政法人であるということで、県の直営事業ではないということについてもまた御理解を一方でいただければというふうに思います。
こども病院につきましては、高度小児医療、救命救急医療を提供する県内唯一の小児専門病院であります。そういう観点で、発達障害専門外来の開設でありますとか、あるいは信州大学、松本歯科大学と連携した口唇口蓋裂センターの開設、さらにはドクターカー2台体制による救急搬送体制の強化等、医療機能の充実にこれまでも取り組んできていただいているところであります。
また、総合周産期母子医療センターとしてリスクの高い妊娠への対応や高度の新生児医療を提供することで全県的なセーフティーネットとしての機能を発揮して、本県の周産期死亡率や乳児死亡率を低く抑えることに貢献をしてもらっています。その結果として長野県の健康長寿も支えていただいているというふうに考えています。
今後も、地域からこども病院へ集まる小児重症患者のために、PICU(小児集中治療室)を増床すること等によりまして医療機能を充実するとともに、小児在宅医療ネットワークの構築あるいは小児・周産期医療をリードする人材の育成等、本県の医療水準の向上に貢献していただくことを強く期待しているところであります。
こうした取り組みを盛り込んだ第2期中期計画が本年度スタートしています。県からは運営費の負担金を支出するわけでありますが、こうしたことで増加する経費も踏まえて、県として県立病院機構に対する運営費負担金を昨年の51.7億円から54.8億円に増額しているところでありまして、今後も必要な支援を行っていきたいと考えております。
以上です。
◆寺沢功希
知事、ありがとうございました。
少子化の現在、民間の医療機関は、増加する高齢者の患者さんに対応するため、あるいは医療訴訟の増加等の理由により小児患者の受け入れを減少させております。その影響から、県立こども病院の入院・外来患者延べ数は毎年増加をしております。
以前は亡くなった命が助かる現在、県内唯一の機関として高度な医療を提供するこの病院は小児医療の最後のとりでであります。独立行政法人であるから、やるのは病院であり、県は知らないという立ち位置ではなく、常に病院のその先にある患者さんやその御家族を見ていただきたいと思います。
子供たちの明るい未来のためにさらなる小児医療への県の取り組みに期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。