平成27年 6月定例県議会 発言内容(依田明善議員)
◆依田明善
信州・新風・みらいの依田明善です。本日最後の一般質問となりました。どうぞよろしくお願いいたします。
長野県を元気にしたい、これは県民であれば誰もが願うところであります。そんな中、地方創生総合戦略の策定と成果が全国の都道府県あるいは市町村に求められ、我が県においても多くの人々が今まさに知恵を絞っているわけであります。
どんな戦略が立てられるのか。私は、自然環境や食材だけではなく、その地域に対する深い愛情と歴史観がなければ実のある戦略は立てられないと思いますが、その話はともかくとして、地域を元気にするための要素の一つがやはり交通網の整備ではないでしょうか。
例えば北陸新幹線であります。金沢まで延伸したことにより善光寺御開帳の期間中は実に707万人の人出を集めることができました。もちろん、今後の課題は少なくないわけでありますが、やはり新幹線効果は絶大であったわけであります。
では、中南信地域はどうでしょうか。あるいは、東信の南部、つまり南佐久地域はどうでしょうか。果たして北陸新幹線という高速インフラの効果を大いに享受することができるでしょうか。
ことし3月に長野市内で開催された新幹線延伸と北しなの線の開業を祝う祝賀会において、松本は中部縦貫道の整備あるいはJR中央線や篠ノ井線の高速化がなかなか進まないという中信地域の方々の不満の声が新聞等で報道されました。確かに私も感じたことですが、例えば松本から東京まで特急「スーパーあずさ」を利用した場合、所要時間は2時間半を超えてしまいます。しかも、山梨から東京にかけては特に人身事故も多く、台風等による倒木事故等も珍しくありません。よって、ダイヤも乱れがちになります。
この祝賀会の冒頭で、新幹線と北しなの線を活用して県全体を元気にしていくという知事の御挨拶もありましたが、県中央部へのアクセスを向上させ、中南信地域や東信南部地域の皆様の不便を解消させるような事業がどこまで可能なのか。企画振興部長の御見解をお伺いいたします。
あわせて、県は平成25年12月に本州中央部広域交流圏結節機能強化に関する検討会議を設置しておりますが、この会議におけるその後の進捗状況はどうなっているのか。企画振興部長にお伺いいたします。
また、南佐久郡南部地域においては北陸新幹線佐久平駅まで車で1時間半以上かかる地域も多くあり、それらはとても新幹線沿線地域とは呼べません。こういった陸の孤島的な地域に今後どうやって高速インフラの効果をもたらしていくのか。
幸い、南佐久は小海線が南北を貫いており、普通列車自由席に乗り放題の「青春18きっぷ」などを使って北陸から野辺山方面に訪れる観光客も少しずつふえているようであります。これは、高速化時代になればなるほど標高1,000メートルを超えるのんびりとした高原列車の旅などにも魅力を感じる皆さんがふえていく、これも人の心理だと思います。ぜひとも、そんなチャンスを逃さずに、さらに強力に魅力を発信していくべきだと思いますが、ここは観光部長にお伺いをいたします。
さて、そんな中、リニア中央新幹線がいよいよ工事に着手いたしました。そこで考えたいのが、リニア中央新幹線の山梨新駅をいかに有効に活用していくかということであります。例えば、松本駅から中央東線甲府駅まで向かい、そこからリニアに乗りかえるわけですが、その行程がスムーズに行くとすれば東京まで1時間40分前後で行けることになり、大幅な時間短縮になります。
また、南佐久の特に南部地域を考えた場合、北陸新幹線佐久平駅を利用したとしても東京に出るまでにやはり2時間半以上はかかってしまいますが、リニア山梨新駅を利用すれば1時間40分前後となり、松本のケースと同様の大幅な時間短縮になります。
山梨県の横内前知事は山梨県リニア活用基本構想を平成25年3月に策定いたしましたが、その中で、リニア新駅とその周辺地域での交通結節機能を整備することが明記されております。例えば、ほかの交通機関との乗りかえ、あるいは高速道路などの高速交通基盤との連携にも配慮するなどであります。
残念ながら現在はまだ整備計画も白紙のような状態だとお聞きしておりますし、新駅予定地周辺は市街化調整区域に指定されており、慎重な取り組みが求められているということも事実であります。しかし、そうはいっても、長野県民にも利便性よく利用していただきたいというのが山梨県の活性化戦略の一つであるわけですから、ここは何としても実現をしていただきたいと思います。
ちなみに、山梨県議会では、先日、初の女性副知事に水産庁漁政課長の新井ゆたか氏を充てる人事案を可決いたしました。御承知のとおり、彼女はここ長野市の出身でありますが、取材に対し、山梨県も長野県も首都圏からの移住先として人気がある、住みやすい地域にして受け入れ態勢を整え、両県で連携していきたいと答えております。
本県としても大変心強いわけですが、我が県としても的確な整備が円滑に推進されるよう山梨県側に何らかのアプローチをしていくべきだと考えますが、阿部知事の御見解をお伺いいたします。
◎企画振興部長(小岩正貴)
依田明善議員からの長野県の交通ビジョンについての御質問をいただきました。私には2件いただきました。順次お答え申し上げます。
まず、県中央部へのアクセス向上についてでございます。
県中央部へのアクセス向上の重要性につきましては県としても十分認識をしております。このため、先ほど議員からも御指摘ありました本州中央部広域交流圏結節機能強化に関する検討会議を、平成25年12月に、松本、諏訪、大北地域の皆様とともに設置をしたところでございます。この会議におきまして、県中央部と北陸、リニア両新幹線とのアクセス向上や、新幹線によらない大都市圏との移動環境の形成といった点について検討を進めているところでございます。県中央部へのアクセス向上に関する事業につきましては、この検討会議における取りまとめを踏まえ、県として対応を図ってまいりたいと考えております。
次に、この検討会議の進捗状況についてでございます。
検討会議では、平成25年12月の設置以降、考え得る個々の事業につきましてワーキンググループや関係者による検討を精力的に進めているところでございます。事業の多くは関係地域において長年の懸案として意識されてきたものであり、また今後の県の発展においても大きな影響を持つものであることから丁寧な検討を行っているところでございます。今後、検討会議において、それぞれ構成員の認識を共有した上で取りまとめを行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎観光部長(吉沢猛)
南佐久地域への高速交通網整備の効果波及と魅力発信についてのお尋ねでございます。
南佐久地域は、八ヶ岳の麓に位置する信州の代表的な山岳高原観光地であるとともに、武田信玄を初め、戦国武将ゆかりの歴史的な観光資源にも恵まれた魅力ある地域と認識しております。特に、本年度は、小海線全線開通80周年に当たることから1年を通じてさまざまなイベントが行われるとともに、10月には野辺山高原で星空サミットが開催されることから、南佐久地域に注目が集まる好機と捉えております。
まず、高速交通網の効果の波及という点でございますけれども、県では、現在、国の交付金を活用しまして、北陸新幹線の延伸効果を停車駅にとどめず全県に波及させる観点から、県内新幹線駅を活用したバス旅行など新たな旅行商品の造成に対する助成を始めておりまして、南佐久地域につきましても地域の観光関係者と連携しながら高速交通網の効果が十分に浸透するよう努めてまいります。
また、議員から御指摘のありました魅力発信という観点でございますけれども、来年1月から放送が始まるNHK大河ドラマ「真田丸」に関しまして、真田氏ゆかりの地域だけではなく、より広範囲に県内の戦国時代の観光資源を周遊してもらえるような取り組みを地元の市町村と連携しながら検討してまいります。
さらに、県では、平成29年夏に、山岳高原をコンセプトにデスティネーションキャンペーンを実施いたします。この中で、南佐久地域の高原や歴史の魅力も含め全県の魅力をくまなく発信し、より多くのお客様に訪れていただけるよう、市町村や交通事業者などと一体となって誘客活動を強化してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎知事(阿部守一)
リニア中央新幹線に関連して山梨県駅の活用という御質問でございます。
山梨県側の取り組みについての御紹介がありましたが、私ども長野県としても、新総合交通ビジョンでありますとか、あるいはリニア活用基本構想の中で、山梨県駅、それから岐阜県駅、そして当然のことながら長野県駅、この3駅の活用をしていこうということをしっかり位置づけさせていただいているところであります。
そうした観点で、先ほどの毛利議員の質問にありましたが、諏訪湖のスマートインターチェンジ等の整備も進めていこうということで考えているわけであります。
山梨、岐阜、長野、3県の知事懇談会におきましてリニア駅へのアクセス向上あるいは県境を越えた交流促進について既にもう議論をさせていただいたところでありまして、これを契機に3県リニア連絡調整会議の設置をしています。本県としての3駅活用交流圏構想における取り組みをお伝えしつつ、相互にメリットとなるような整備が円滑に進むように検討しているところでございます。
私もまた山梨県知事に近々お会いする機会もございますので、アクセスの向上も含めて、山梨県駅が長野県にとっても使いやすい駅となるように働きかけていきたいというふうに思っているところであります。
なお、南佐久地域の交通体系、今、中部横断自動車道の整備をしっかりと進めているところでございますので、これは地域の皆様方と一緒になって推進をしていきたいと考えておりますので、引き続きの御協力をお願いしたいと思います。
以上です。
◆依田明善
御答弁をいただきました。県の均衡ある発展は極めて大切なことだと思います。ぜひとも地域の特性を存分に生かした政策を期待したいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、人生二毛作社会をさらに充実させるための施策について御質問をいたします。
長野県総合5カ年計画・しあわせ信州創造プランの一つとして人生二毛作社会の構築があります。その中で、今大きな存在感を示しているのがシニア活動推進コーディネーターであります。彼らは、現在、シニア世代が生きがいを持って生活するための取り組みや就業支援も含めたさまざまな取り組みを提案し実行されております。
例えば、信州コミュニティースクールの一環として、ある県内の小学校ではシニアの方が通常の授業にかかわり、実績を上げております。あくまでも自由な時間に参加できるというものですが、メーンの先生の補助的な立場であるために子供たちも打ち解けやすく、悩みを打ち明けられたり、人間的な交流も生まれてきているようであります。ほかにもさまざまな取り組みをコーディネートされており、私もその1人とお話をしたことがありますが、大変行動的で魅力的な方でありました。
しかしながら、現在、このコーディネーターは県内に3人しかおらず、例えば東信地域においては上田地域と佐久地域をたった1人でかけ持ちしているような状態であります。
そこで、お伺いいたします。
県の人口の約3分の1を占めている62万5,000人の高齢者のうち元気な高齢者が相当いらっしゃるわけでありますが、それらシニア層に県は何を期待されておられるでしょうか。
また、その方たちが生き生きと活動し有意義に過ごされていることに対しまして県はどのように考えておられるでしょうか。
また、平成26年度からシニア活動推進コーディネーターを配置して居場所と出番づくりに取り組んでおられますが、全国4番目に広い県土を持つ長野県にたった3人で十分だとお考えでしょうか。
以上、3点、健康福祉部長の御見解をお聞かせください。
◎健康福祉部長(小林透)
人生二毛作社会をさらに充実させるための施策について順次お答えをいたします。
まず、元気な高齢者への期待や活動に対する考え方についてでございます。
県の第6期高齢者プランにおける推計におきまして、平成27年における本県の65歳以上の高齢者62万5,000人のうち約8割の51万人は元気な高齢者としているところでございます。こうした方々が培った経験や技術、知識を生かして地域活動や就労などさまざまな分野で活動されることが高齢者自身の生きがいづくりや健康な暮らしにつながるとともに、地域の活力の維持や経済の活性化につながっていくものと期待してございます。
また、高齢者が生き生きと活動的に生活できる社会づくりは高齢者プランに掲げているものでございまして、県としてはこのような人生二毛作社会の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
次に、コーディネーターの配置についてでございます。
人生二毛作社会の仕組みづくりを進めるため、新たな発想のもと、平成26年度から県長寿社会開発センターに3名のシニア活動推進コーディネーターを議員御指摘のとおり配置したところでございます。このコーディネーターは、各圏域において社会福祉協議会やシルバー人材センターなどと連携いたしまして、関係機関によるネットワーク会議の定期開催ですとか、農業分野等での就労につながるプログラムの立ち上げ支援、あるいはシニア層のさまざまな社会参加のためのマッチングに向けての提案などに取り組み、配置地域を中心としながらも広域的な情報共有と連携の仕組みづくりが進んでいるものと認識してございます。
今後は、ボランティアなどの社会活動の仕組みづくりに加えまして、就業へのつなぎを強化することや移住してきた方々への支援など新たな取り組みも必要と考えております。
こうした取り組みを進める上で、コーディネーターの配置も含め、全県的にどのような体制が効果的なのか、これまでの活動状況やその成果を踏まえまして県長寿社会開発センターを初め関係機関などとも連携して検討してまいりたいと思います。
以上でございます。
◆依田明善
御答弁いただきました。
若い人と高齢者が手を取り合い、協働して地域を支え、交流を深める。このことは何も今から始めることではなく、昔から大切にされてきた日本人の心がけだと思います。その心がけが失われてきたために、世代間の交流が薄まり、さまざまな問題があらわれてきたのではないでしょうか。特殊詐欺事件などはその最たるものだと思いますけれども、高齢者を敬うどころか平気で金を巻き上げる対象となっているなど、一昔前までは考えられなかったことであります。
何としても世代間交流を活発にし、青少年健全育成にも寄与し、さらには高齢者の皆さんの積極的な活動を促していかなければならないわけですが、そのためにはコーディネーターの計画的な配置が必要だと思います。ぜひ積極的に推進していただけることを切に希望いたしまして、一切の質問といたします。