平成27年 9月定例県議会 発言内容(石和大議員)
◆石和大
先日、地元の中学校で開催された学芸発表会の合唱コンクールを鑑賞しました。それぞれ個性ある美しいハーモニーを奏でていて、心が洗われるようでした。思春期の子供たちですから、心が一つになるには容易ではなかったようです。しかし、歌声を聞いてみるとまとまりがついている。これが学級の力であり、集団生活や社会性を身につける学校という学びの場の姿だと実感しました。
県内各中学校がこの時期に同様な行事を行い、学年の後半へのステップにするわけです。ここをスムーズにいい形で過ごせるかどうかは生徒一人一人にとっても重要です。
こういった通常の授業ではない学校行事で学級がまとまること、ここに心の居場所、きずなづくりの場としての学級経営の一つの姿があると思うのです。
さて、夏休み明けの子供たちの様子はいかがでしょうか。先日の寺沢議員の一般質問に対する答弁にもありましたように、1学期に不登校であったが登校できるようになる子供がいる一方、長期休業明けに休みがちになる子供もいるということであります。
県内では、近年の不登校児童生徒の数の推移は20年度から24年度までは減少したが、25年度からは再び増加傾向、もしくは横ばいという感じであります。その要因をどう分析し、どう対策しているか。教育長にお聞きします。
不登校の要因は多様であると思いますが、現在の要因とすると家庭環境や児童生徒の発達課題ということが多くなっているということです。学校だけでは対応できないし、手が届かない家庭の課題ということが大きな要素だとすると誰が対応するのか。スクールソーシャルワーカーで対応ができるのか。
また、長野県不登校対策検討委員会が策定した不登校対策の行動指針の中では、乳幼児期から学齢期、そして青年期をつなぐサポートシステムの確立と支援体制の整備ということが取り組みの方向性として示されていますが、これをどのように進めていくのか。教育長にお伺いいたします。
次に、学力の課題についてお聞きします。
平成27年度全国学力・学習状況調査の結果については小中学校いずれにおいても学力定着において一定の成果が上がっているというふうに考えられますが、さらなる取り組みの充実を図り、学力向上外部検証委員会を設置し、来年度以降の施策の立案に生かすということでありますが、このいわゆる全国学テの上位常連県は不動という傾向がありますが、それはなぜなのか。どう分析しているのか。また、それらの県が取り組んでいる指導法を取り入れる取り組みを実践しているのか。教育長にお聞きします。
次に、学力の向上のために誰にでもわかる授業という目標があったが、どう実践し、成果を上げているか。
さらに、授業と家庭学習がうまくかみ合わないと学力定着に結びつかないが、県内の小中学校の宿題の傾向は提出ノート方式が主流で、ただ科目ごとにノートを文字や数字で埋めて出せばいいということになりがちで、わかったという実感や達成感も余り得られないことが多いという傾向であります。
以前に授業の復習と次の授業の予習を兼ねた宿題を出すように工夫すべきだと提案したが、モデル校を指定して行うということでしたが、成果と今後の取り組み方、県内全域への拡大ができるのか。教育長にお聞きします。
◎教育委員会教育長(伊藤学司)
教育に関しまして5点お尋ねをいただきましたので順次お答えを申し上げます。
まず、不登校の状況分析と対策についてでございます。
議員御指摘のとおり、本県の不登校の状況、平成20年度から24年度までは減少してまいりましたが、小学校は25年度から2年連続増加をいたしまして、中学校では25年度と比べますと26年度はやや減少したものの依然高い水準にあるところでございます。
不登校になった主なきっかけといたしましては不安などの情緒的混乱が増加しており、その裏には、家庭、学校生活でのさまざまな困り感や悩みがあるものと認識をしてございます。また、中学校で不登校になった生徒は、小学校低学年段階から既に欠席がちな傾向があることがわかってきたところでございます。
このため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等によります相談・支援体制の充実を図り、子供たちへのきめ細やかな対応や家庭への支援の充実に取り組むとともに、休みがちとなった不登校の初期の段階で効果的な対応がとれるよう具体的な取り組みを盛り込んだ対応の手引を現在作成をしているところでございまして、こうした取り組みを通じ各学校の不登校対策を支援してまいりたいと考えております。
次に、家庭環境等に起因する不登校児童生徒への対応についてでございます。
さまざまな課題を抱える児童生徒の支援については、学校だけでは十分な対応ができないことから、個々のケースに応じまして児童相談所や福祉機関などさまざまな専門機関をつなぐスクールソーシャルワーカーが支援の充実に努めているところでございまして、今後とも、スクールソーシャルワーカーというものを適切に活用しながら、こうした子供たち、また家庭への支援に努めてまいりたいと思ってございます。
また、サポートシステムの確立と支援体制の整備につきましてのお尋ねでございますが、不登校への対応は、学校に在籍中のみならず、卒業後に社会的自立ができるよう、地域において乳幼児期から学齢期、青年期をつなぐシステムを構築していくことが重要だと考えてございます。
このため、県不登校対策検討委員会におきまして、このような体制を地域で構築している岡谷市や塩尻市、信濃町などの取り組みを発表し、そうした事例を他の市町村に紹介をしてきているところでございまして、今後とも、教育、福祉を超え、地域全体で一貫した支援システムの導入が進むよう、県教育委員会としても情報提供等その取り組みを促してまいりたいと思っております。
次に、学力についてのお尋ねでございます。
全国学力・学習状況調査上位常連県の取り組みについてのお尋ねでございますが、全国調査の結果を見ますと上位県と下位県の正答率の差は小さくなる傾向でございますが、御指摘のとおり上位県は継続して成果を上げ続けているところでございます。
成果を上げている要因はさまざま考えられますが、上位県に共通していることは、県全体で取り組む学習スタイルが確立されており、どの学校、どの学級でも質の高い授業が行われていることでございます。その際、全国学力・学習状況調査等の結果を授業改善に積極的に活用していることも、児童生徒質問紙や学校質問紙の回答から伺うことができるところでございます。
長野県教育委員会といたしましても、昨年度、上位県の指導主事を招き、授業改善のポイントについて学ぶ研修会を県内5地区で実施をいたしました。また、効果的な指導方法等について学ぶため、それらの県に指導主事や教員を長期派遣をしたところでございます。さらに、学力向上外部検証委員会を立ち上げ、上位県の指導主事を招聘し、本県の学力向上にかかわる施策の評価と助言を依頼しているところでございます。
このように、成果を上げている県の取り組みを参考にしながら、本県の子供たちの学力向上を着実に進めてまいりたいと思っております。
次に、誰にでもわかる授業の実践についてでございます。
誰にでもわかる授業の実践に向けまして、子供たちに確かな力をつける授業展開を示すことが必要と考えてございます。
県教育委員会では、1時間の指導の中で大切にしたいことを「ねらい」、「めりはり」、「見とどけ」の三つのキーワードにまとめ、平成21年度に授業がもっとよくなる3観点を提案し、研修会や学校訪問などにおいて指導を重ねてきており、県内の小中学校で3観点を大切にした授業づくりが広まってきているところでございます。
全国調査の結果でも、授業の初めに狙いを示したり、話し合いなどのめり張りのある活動を取り入れたり、学習内容を振り返る活動を行ったりしている学校は正答率が高いという傾向が出ているところでございまして、今後さらにこの3観点を踏まえた授業改善が広まるよう取り組んでまいります。
最後に、家庭学習に関するお尋ねでございます。
教育委員会では、学力の定着につながる家庭学習のあり方を検討するため、昨年度よりモデル校を指定し、家庭学習の新たなモデルについて研究を行っているところでございます。
その中で、議員御提案のような授業と関連づけた家庭学習の実践に加え、地域ボランティアにも加わっていただきながら家庭学習の点検、評価を行う仕組みをつくったり、地域の小中学校が協力し家庭学習の習慣形成を行ったりするなど、授業で学んだことの定着に結びつく取り組みが始まっているところでございます。
県教育委員会では、モデル校の成果を家庭学習通信にまとめて全小中学校に配信したり、モデル校において家庭学習についての公開研究会を開催したりしてきており、本年も11月にシンポジウムを行う予定でございます。モデル校の取り組みを参考にし、各校で家庭学習の見直しが進むよう広く周知してまいりたいと思っております。
以上でございます。
◆石和大
答弁にあったとおり、質の高い授業を全県で行っていただきたいと思います。
授業の目標を明確にして誰にでもわかる授業を実践し、その授業の復習と次の授業の予習につながる宿題を出す。提出された宿題と次の授業の様子で目標を修正し、次の授業につなげる。これを繰り返す。着実に実践すれば学力の定着を図ることができると感じています。基礎学力の充実についてさらなる取り組みを要望しておきます。
知事にお伺いをいたします。
近ごろ信州学という言葉がいろいろな場面で使われておりますが、どんなイメージを持って向かう方向を考えているのか。信州の子供たちに根づかせたい信州学とはどんなものか。知事にお伺いをいたします。
次に、高校生のネット利用対策についてお聞きします。
現在の高校生のスマートフォンの所持率は9割以上、10割近いと認識しています。駅、電車の中、町の中、飲食店の中、見かける高校生はいつも画面を眺めています。首を折り猫背で画面を見続けているその姿には、ある種の哀れささえ感じます。
便利ではあり、使いこなさなければ生きていけないのかもしれませんが、時間をとられ過ぎていると感じています。感受性が豊かな時期に、もっと信州に生きていることを五感で感じる時間をふやしたほうがいいと感じています。そんな感覚は大人が感じているのかもしれませんが、当の子供たちでも感じているのではないかと思うのです。
そこで、お伺いをいたします。
高校生のネット利用の悩みを把握しているか。また、ネットトラブルに巻き込まれている状況を把握しているのか。そして、それらに対する解決策は実践しているのか。教育長にお伺いをいたします。
次に、他県では、スマートフォンによる通信時間の縮減に向けて高校生自身が話し合い、例えば午後10時以降の通信はみんなでしないというルールにするといった取り組みを県立高校でモデル的に実践するといった事例もあるようですが、県内での取り組みはあるのかどうか。
また、愛知県刈谷市では、これは小中学校の例ですが、教育委員会や学校、保護者が話し合い、午後9時以降の通信を禁止した例があるというふうに思いますが、効果やその後のことについて把握しているのか。教育長にお伺いをいたします。
◎知事(阿部守一)
知事が根づかせたい信州学とはどのようなものかという御質問でございます。
グローバル化が進めば進むほど、みずからのアイデンティティーをしっかり持っていくということが重要だというふうに思っております。
信州学、具体的な内容については現在教育委員会に設けた研究委員会の場で御検討いただいているところでありますが、あえて私の意見を申し上げれば、一つは、歴史の中で郷土の先人たちがどういう取り組みをしてきたか、人に着目して学んでもらいたいなという思いを強く持っています。長野県が発展し、そしてさまざまな災害を初めとしていろんなことを乗り越えてきた歴史、そういう中には、いわゆる偉人というふうに言われる方だけではなくて、本当にさまざまな方たちのいろんな形での協力、取り組みがあったわけでありますので、そういう人についてぜひ学んでもらいたいというふうに強く思っています。
それから、もう1点は、地方創生を進めていく上で、産業の発展、そしてそのための人材が大事になっているわけでありますが、若い人たちと話をすると余り地元の産業とか企業を十分わかっていない子供たちが多いなという感じを持っています。そういう意味では、例えば長野県のすぐれた品質の農産物であるとか、あるいはグローバルに活躍している、あるいはオンリーワンの製品を製造しているそうした企業、たくさん長野県内にあるわけでありますので、そうした地域の産業や企業、こうしたものについてもしっかりと学んでいってもらいたいというふうに思います。
郷土に誇りと愛情を持ち、そしてみずからのアイデンティティーがしっかりと確立した人間、人格形成を育むことができるように、ぜひ教育委員会の場でしっかり検討していただければありがたいというふうに思っています。
以上です。
◎教育委員会教育長(伊藤学司)
高校生のネット利用対策についてのお尋ねに順次お答えを申し上げます。
まず、ネット利用の悩みやトラブルの状況把握と解決策についてのお尋ねでございます。
高校生のネット利用の悩みやネットトラブルの状況につきましては、県教育委員会が毎年行ってございますインターネットについてのアンケート調査の中で把握に努めているところでございまして、インターネットを利用する高校生では、知らない人からのメールが届くとか、悪口、嫌がらせの書き込みを受けるなど、50.2%の生徒が嫌な思いをしたと回答しているところでございます。
各学校ではインターネットの適切な利用について指導しているところでございますが、今年度から、県教育委員会は、学校外の有識者、団体と連携し、子どもの性被害防止教育キャラバン隊を全ての県立高校に派遣をしているところでございます。さらに、学校が家庭と一体となって取り組むことが大切であると認識してございますので、一昨年より、PTA連合会と連携し、インターネットの安全な利用に関する共同メッセージを発出し、利用に当たっての家庭での話し合いやルールづくりを呼びかけているところでございます。
これらを通じ、子供たちの、危険を察知し回避する力を育成し、インターネット利用を介した性被害などのネットトラブルの未然防止に取り組んでまいりたいと考えてございます。
次に、スマートフォン等の利用ルールに関する取り組みの現状把握についてでございます。
まず、議員御指摘の刈谷市の小中学生にスマートフォン利用制限を呼びかける取り組みの効果についてでございますが、同市が中学生に行ったアンケート結果では、勉強に集中できるようになった27.4%、睡眠時間がふえたと回答した生徒21.5%など一定の効果があった一方で、特に変化がないと回答した生徒も53.9%いたと聞いているところでございます。
長野県内では、現在までのところ、高校生自身が話し合って利用時間を制限するルールを学校内でつくるという取り組みは行われていないと承知してございますが、高校生が主体的に使い方のルールをつくることは大変意義があり、また効果的であることから、高校生同士がインターネットやスマートフォンの課題を通してともに熟議をし、解決案をまとめ、発表する高校生ICTカンファレンス長野大会というものを先月初めて実施をしたところでございまして、今週末に第2回目を予定しております。
第1回の大会に参加した生徒からは、自分たちでさらに話し合いを深めて校内でルールをつくっていきたいという声も出てきているところでございまして、こうした取り組みを県教育委員会といたしましても支援をしながら高校生がスマートフォンを適切に利用する環境をつくってまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆石和大
18歳への選挙権の付与により、高校生の校外での選挙運動が可能になるという可能性が出されています。SNSが中心だと考えられますが、6月県議会でも申し上げたとおり、興味本位の行動が取り返しのつかない事態にもなると考えられます。しっかりとした対策をとっていく必要がありますので、改めて対策を要望します。
また、関連して、選挙権に連動して、少年法や民法等の法改正により飲酒や喫煙が18歳から認められるという可能性が出てきました。私は、子供たちの脳の発達を初めとする体の発育への影響、18歳のほとんどが高校生であるので高校の校内は混乱するし、もちろん飲食店も大きな混乱を来すと思われますので反対であります。もし、今後、法施行等のことがあれば、その趣旨に基づき慎重かつ適切に対処していっていただきたいと考えております。
次に、農業の6次産業化についてお聞きします。
6次産業化という言葉が使われ始めて20年くらいたったと思います。この間、さまざまな取り組みがなされてきたと思いますが、例えば現在の飲食店も構えるような形態は農水省の認定を受けて補助金や融資資金の償還期限の延長などの支援を受けている例があるということです。
農業の6次産業化を推進するに当たり、県としての特徴ある取り組みはあるのか。農政部長にお伺いいたします。
1次産業としての農業から見れば6次産業化ですが、6次産業という産業と捉えればどこから始めてもよいと思われます。サービス、例えば飲食店から始める6次産業化、知事も今回の議会の提案説明で使われている地消地産という言葉でもあらわされるように、そこで消費されるものをそこでつくるという発想です。求められているものをつくる農業である必要もあります。
マーケットのニーズをどう把握し、確実に売れて収益性の高い農産物をいかにつくるのか。県の取り組みはどうか。農政部長にお伺いをいたします。
また、こういう農業関係の支援制度には対象が限定的な感があります。例えば、農場を持っていて直売所を持っている、漬物などを加工して販売をしていて、そこで飲食店もやっている。まさに6次産業を実践しているのですが、もう10年も前からやっているので何ら支援を受けたことがない。こういう場合には今後設備投資で支援を受けるということは可能なのかということです。
このような例だけではなく、もともと食品加工の業者が農業生産を始め、次に飲食店を始めるといった場合はどうなのか。農政部長にお伺いをいたします。
次に、就農についても同じような感があります。新規就農には、国の制度で青年就農交付金という制度があり、支援があります。しかし、同じ青年の就農者でも、家族経営の農業で、父親が亡くなったので就農するといった場合にはそういう支援はありません。順調な経営でスムーズに後継者に移行できる場合ばかりではないわけですが、県として農業後継者を育てるためにどのような支援をしていくのか。農政部長にお伺いをいたします。
次に、信州の農業のあり方についてお聞きします。
信州の長寿の要因の一つは、シニア世代の農業へのかかわりの多さにもあるとも言われています。長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略案にも出てきますが、「人生を楽しむことができる多様な働き方・暮らし方の創造」の中に、農ある暮らし、半農半X、または半農半年金という暮らしであります。この形態は信州では珍しくありません。大きく出荷するわけではなく、直売所に出荷し、まずまずの収入になっているというケースもあります。年間何億円かの売り上げの直売所もあるわけです。それほど供出していなくても、自分の水田で自家消費の米を大事につくっている人々もいるわけです。
一方で、農業の全体的な流れは農地集積による大規模化に向かっているわけです。どこでバランスをとっていくのか。
また、自分で農地がなくても、シニアになって農業会社であるとか農事組合法人とかに就職するということもあると思うのです。シニア世代の就農は貴重な労働力です。2025年問題というように、これからの10年間、団塊の世代がいかに農業にかかわるのかも一つの課題です。今の農村を見れば、70代後半、80代が元気に農業に励んでいます。
信州の農業を担う形はどのような方向に向かうべきか。お考えを農政部長にお伺いをいたします。
◎農政部長(北原富裕)
農業の6次産業化及び信州農業のあり方へのお尋ね5件につきまして順次お答えをさせていただきます。
初めに、農業の6次産業化への県としての特徴ある支援の取り組みについてですが、県、農業団体、金融機関などで構成し、総合的な支援を行う信州6次産業化推進協議会を平成25年9月に設立いたしました。その中で、事業者をより身近なところでサポートするため、県内に3名の地域推進員を配置するとともに、県内10広域に地域推進協議会を設置し事業化から事業実施のフォローアップまでを支援しております。
さらに、商品開発や販路開拓等の課題解決のため22名の専門家を信州6次産業化プランナーとして登録し、きめ細かに支援しているところでございます。
次に、マーケットニーズの把握と収益性の高い農産物生産についてですが、農業におきましても、できたものを売るプロダクトアウトから需要に応じたものをつくるマーケットインへの転換が強く求められております。
県では、平成23年度から、食品産業者が要望する農産物を生産し、契約取引により出荷する新たな産地づくりを進めているところでございます。
さらに、農業者がマーケットニーズを把握する場を提供するため、銀座NAGANOや名古屋市を初めとした県内外での商談会の開催、スーパーマーケットトレードショーなどへの出展の支援、県外実需者を県内産地に招聘しての産地見学会等を実施しているところでございます。
これらの取り組みによりまして、マーケットニーズを的確に把握し、みずからの判断で収益性の高い作物の生産を行う経営感覚にすぐれた農業者や産地の育成を図ってまいります。
次に、農業の6次産業化に取り組もうとする二つの事例に対する支援へのお尋ねですけれども、どちらの事例につきましても、事業を実施される方が農業者の要件を満たし、6次産業化法に基づく事業計画を策定し、国の認定を受けた場合、支援を受けることができます。この支援の内容につきましては、施設整備に対する補助金のほか、農林漁業成長産業化ファンドからの出資や、新商品開発や販路開拓にかかる経費のソフト事業の活用が可能となっております。
次に、農業後継者への支援でございますけれども、農家の後継者の親元への就農につきましては、新規就農者の6割余を占め、また、親が持つ農地や農機具などの経営基盤が既にあり、就農時の経営安定が見込めることから、主要な就農な形として推進しているところでございます。
一方、国の青年就農給付金制度での支援は経営基盤を持たない農家以外からの新規就農者の所得を支援するということを基本とされたことから、県では国に対し後継者への支援も強く要望してきたところでございます。現在、限定的ではありますが支援要件が緩和されておりますので、給付金の活用に向け制度の周知を図ってまいりたいというふうに考えております。
これからの農業経営者には、経営感覚にすぐれた農業経営者として本県農業を担っていただきたいというふうに考えております。このため、農業大学校における実践的な教育カリキュラムや農業改良普及センターによる技術や経営の個別指導のほか、若手農業者を対象とした経営管理能力を磨く研修会の開催などによりまして、農業後継者への支援を強化してまいりたいと考えております。
最後に、本県農業の担い手の方向についてでございますが、農業者の高齢化や担い手の減少が進む中で本県農業を持続的に発展させるためには、経営としての農業を営む企業的農業経営体や集落営農組織が農業生産の主力を担う構造へと早急に転換していくことが必要と考えております。
同時に、農村においては、世代を超えた交流や共同活動が盛んに行われ、地域の活力が維持されていることが重要とも考えております。このような活動の担い手としてシニア世代の皆様には、退職後、農村コミュニティー活動のほか、自営農業に取り組んだり、他産業での経験を生かした流通、販売などで力を発揮していただくことを期待しているところです。
県といたしましては、普及センターにおきます栽培技術の習得支援のほか、出番と役割のコーディネートなどによりシニア世代の活躍の場が広がるよう取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆石和大
今まさに、信州は実りの秋を満喫している大変にいい時期であります。
県の総合戦略の中にも農村文明という言葉があるとおり、これからの長野県は農村社会をしっかりと持続可能な形で残していく、持続可能な信州の農業と農村の維持、これが何より大切なことだと思います。
長寿県長野、健康長寿長野県を維持するためにも、これからの農業政策の施策の充実を願って、質問を終わります。