平成28年11月定例県議会 発言内容(花岡賢一議員)


◆花岡賢一

   

 今定例会一般質問冒頭、西沢正隆議員の質問にもありましたが、毎年都道府県持ち回りで開催されております国民体育大会の本大会の2巡目について、県体育協会からの要望を初め、町村会からの陳情、市長会からの要請などの中、県内開催が有力視されている平成39年に向けて、その機運は高まりを見せております。

 運動、スポーツを通じて人と人とがきずなを育むことは、個々の健康寿命の延伸をもたらすことと、長野県出身のアスリートが育ち、その躍動を応援することは、長野県民の共通のアイデンティティーを育むことの重要性を考えると、この2巡目の国体に対して大いなる期待を寄せるのは私だけではないと思います。

 西沢議員の2巡目国体及び全国障害者スポーツ大会の招致の質問に対し、知事は、幅広く関係団体の御意見を伺いながら、できるだけ早期に判断したいとの意向を示されたわけでありますが、これに対してどのようなスケジュールで臨むのか。その計画をお示しいただきたく、教育長にお伺いいたします。

 また、1巡目国体、やまびこ国体からことしで38年が経過しています。この国体のレガシー、最近よく聞くようになりましたけれども、レガシーとして現存しているものは県内にどれぐらい残っているのか。また、平成39年の2巡目国体に向かうに当たり、施設の整備は各自治体等の協力なくしては成立することはありません。整備または後々のレガシーとして新たな施設の建設の検討材料になるはずです。1巡目の施設に対しての整備など県としての方策はあるのか、教育長にお伺いいたします。

      

◎教育長(原山隆一)

 

 2巡目国体についてのお尋ねでございます。

 まず、招致表明のスケジュールについてというお尋ねでありますけれども、国体招致につきましては、およそ10年前に文部科学省、日本体育協会へ要望して内々定を受けるのが通例ということになります。

 これを踏まえて、県体育協会から要望されている平成39年の国体開催を目指すとすれば、年内にも経済界など関係団体から御意見を伺い、早期の判断に資するようにしたいというふうに考えております。

 国体開催における老朽化施設の対策等についてでございますけれども、昭和53年開催の国体では、冬季、夏季、秋季の各大会を合わせて75会場で実施をいたしましたが、そのうち現在でも活用されておりますのは約7割程度というふうに把握しております。

 当時の施設は、老朽化に加えまして、昭和53年の第33回大会とは施設の基準が変更されているという競技もありますので、当時のままでは使用できないことも見込まれます。

 2巡目国体を開催することとなった場合には、既に開催された県の例も参考に、整備のあり方を検討する必要があるというふうには考えております。

         

◆花岡賢一

 

 1巡目のレガシーとしては、私の地元にある佐久平国際射撃場、そこにはやまびこ国体のエンブレムが、月日を重ね、とても重厚で歴史のあるシンボルとして現在も飾られております。訪れた方も、それを見て、当時の状況や年月のたつことの早さ、施設の老朽化について語ることもあると聞きます。

 次世代へつながるべく価値のあるものを残さなくてはならないことを鑑み、整備を進めていただきたいのと同時に、射撃場の課題で申し上げますと、堀場議員の質問に対する林務部長の答弁にありましたように、全国でも2番目に射撃場が多い本県にあって、国際基準を満たす施設は存在していない現状を考えると、やはり計画はより価値のあるもの、それを早期に取り組む必要があります。

 この国体への知事の熱い思いが原動力となり、より県内のスポーツ振興となりますことを願いまして、質問を移ります。

 二つ目に、一般質問2日目、宮本衡司議員の質問でも取り上げられておりましたが、2018年4月開学の長野県立大学の説明会が県内5会場で開催されております。あすも南信地区、伊那合同庁舎で行われますが、さきに行われた2会場については、出席者、内容についても、ともに好調であるようで、喜ばしいことであります。

 しかし、その説明会の中で、金田一学長予定者も、長野県の学生の8割以上が県外の大学に進んでいる、そのことに触れられていることや、最近のテレビ報道でもこの件について取り上げている現状があります。

 ちなみに、この県内大学入学者数を県内18歳人口で割った大学収容率を全国で見ると、断トツで京都と東京が140%付近、その後、神奈川、大阪、滋賀、愛知と続くわけですが、長野県は15.4%で全国最低となっております。

 全国最低の状況を生んでしまった要因は何であったのか。また、県立大学開学の流れはその一助となることは当然でありますが、大学収容率をどの程度まで上げることが望ましいのか。また、人口の流出を県内大学で食いとめる積極的なアプローチをどのように考えているのか。その際に、11月28日開催の全国知事会の中で、大学の地方移転促進の内容が議論されたようでありますが、長野県としてはどのようなスタンスで臨むつもりなのか。以上3点を県民文化部長にお伺いいたします。

 また、県外で学び、経験を積み、再び地元に戻ってくる人がいることは、長野県にとってもありがたいことではありますが、8割を超える人口転出の後、戻ってきた人の割合は把握されているのでしょうか。Uターンにより戻ってくる人、定住してくれる人、その可能性のある人への魅力の発信について、現状と課題、突破策をどのようにお考えであるのか、産業労働部長にお伺いいたします。

      

◎県民文化部長(青木弘)

 

 大学の収容力の関係で幾つか御質問をいただきました。

 まず、大学の収容力につきましては、議員からも御指摘がございましたように、県内の18歳人口に対します県内大学入学者数の割合でございまして、その数字は今年度で16.5%ではございますけれども、全国で最も低くなっているという状況でございます。

 要因といたしましては、本県におきましては、比較的距離が近い東京圏の大学への進学志向が強く、4年制の大学、私立大学が設置されてこなかったこと、それから短大への進学率が全国1位でございまして、短期大学のニーズが高かったことなどが挙げられるものと考えております。

 対策につきましては、郷学郷就を進める観点からも、県内大学の収容力を高めることは大変重要な課題であると認識してございまして、議員からも御指摘がございましたように、県では平成30年4月に向けて新県立大学の設立準備を進めているところでございます。

 また、本年4月に設置しました信州高等教育支援センターを中心に、長野県高等教育振興基本方針に沿いまして、県内大学の進学者を増加させるための大学の魅力向上でございますとか、新たな学部の設置等、また県内大学の魅力発信の取り組みにつきまして、県といたしましても支援してまいりたいと考えております。

 続きまして、大学の収容力の目標値とのお尋ねでございます。

 昨年度策定いたしました長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略におきましては、本県の大学収容力を平成32年度までに18%まで向上させることを目標に設定してございます。また、今後、次期総合5カ年計画を策定する中で、新たな目標をまた検討してまいりたいと考えてございます。

 人口流出抑制のための取り組みにつきましては、お話にもございましたように、県内大学に進学していただくことが次代の長野県を担う有為な人材の定着につながるものと考えてございます。先ほど申し上げました新県立大学のほかにも、県内では長野大学や諏訪東京理科大の公立化、あるいは松本大学教育学部の設置などの動きがございます。

 県といたしましても、こうした取り組みを各大学の状況に応じて支援してまいりたいと考えておりますし、県内大学の魅力を高校生等にも十分に発揮、発信してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 それから、全国知事会での議論というお話でございました。

 11月28日に開催されました政府主催都道府県知事会議におきまして、全国知事会では、地方大学の振興等に関する緊急抜本対策を国に求めたところでございます。その内容は、地方大学の授業料低減等のための財政措置や地方大学・学部の新増設に対する設置基準の弾力的運用、あるいは地方就職者に対する奨学金免除制度の創設、さらには東京23区の大学・学部の新増設の抑制と定員管理の徹底等に必要な立法措置を次期通常国会において講ずることとなっております。

 本県におきましては、これまでも国に対しまして東京圏の大学の定員超過を是正することなどを求めてきましたほか、本年6月に上田市で開催されました中部圏知事会議や、7月に福岡市で開催された全国知事会におきまして、知事から東京圏の大学の急激な定員の増加を抑制するよう強く訴えたことが、今回の全国知事会の要請につながったものと承知してございます。

 今後も、東京圏への大学の集中が緩和され、大学の地方移転が促進されますよう、引き続き国に対して働きかけを続けてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

      

◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)

 

 2点、順次お答えいたします。

 まず、学生のUターン就職の人数についての御質問でございます。

 県では毎年、全国の約半数の大学、短大への調査を通じまして、Uターン就職の状況の把握に努めております。それによりますと、Uターン就職率は、最近、景気の回復によりまして都市部の大企業の採用がふえたことなどから低下の傾向にあり、ことし3月の卒業生では約38%となっております。

 この調査結果により推計いたしますと、毎年県内の高校から大学等へ進学している方の約7割、約8,000人が県外に進学し、卒業後県内に戻るUターン就職者は約3,000人と考えております。

 次に、県外学生へ向けての県の魅力の発信についての御質問でございます。

 最近のUターン就職率が低下している背景といたしましては、先ほども申し上げました、都市部の大企業の採用意欲が旺盛なことに加えまして、就職活動のスケジュールが頻繁に変わる中で、学生が県内企業をじっくり研究し、知っていただく機会が少ないことが考えられます。

 そこで、突破策といたしましては、県出身者が多い全国の37の大学とUターン就職促進協定を締結し、各大学の就活セミナーや保護者会のイベントに積極的に参加し、県内企業の情報や魅力、これを大学生やその家族の方々に発信しております。また、今年度は新たに県外学生が県内のインターンシップに参加した場合の支援制度をつくり、これまでに200名を超える学生が利用し、県内企業での就業や働きがいを体験していただきました。

 また、この10月には、ジョブカフェ信州の銀座サテライトを新設し、首都圏の学生を中心に就職の相談に応じながら県内企業の魅力をお伝えしているところでございます。

 今後とも、さまざまな機会を捉えまして、県内企業の魅力を県外学生に向けて発信し、県内での就職につなげてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

      

◎県民文化部長(青木弘)

 

 大学の支援に関しての再度の質問ということでございますけれども、先ほど申し上げましたのは、本年4月に設置をいたしました信州高等教育支援センターを中心に、新たに設定いたしました長野県高等教育振興基本方針に沿いまして、県内大学の進学者を増加させるための大学の魅力の向上でございますとか新たな学部の設置、これはあくまでもそれぞれの私立大学が行いますそれぞれの取り組みに対してでございますけれども、それに対する支援などを展開してまいる、支援を行ってまいりたいというふうにお答えをさせていただいたところでございます。

 個々具体的な動きにつきましては、これからそれぞれの大学とまた相談しながら進めていくという考え方でございます。

 以上でございます。

      

◆花岡賢一

 

 お答えいただきました。

 先日、信州大学で社会科学特別講義をされた方からお話をお伺いする機会がありました。その方は、学生に、長野県の大学を選んだ理由が、「入れるところだったから」から、「長野県だからこのような内容の勉強ができたんだ」と、その意識に変えていかなくてはいけないことを伝えていらっしゃいました。ただ「入れたから」の生活で卒業していくのではなく、長野県のこの学校に入ったから、長野県だから学べたという、その強みを持って卒業していってほしいといった考え方は、ある意味、信州学や象山学に通じるのを感じたことと、今回のこの質問のタイトルに、U、I、Jターンとしてありますが、最近は、聞きなれない言葉だと思いますが、Oターン、一回出ていった方がもう一回戻ってしまう、そういった状況を生まないことを願いまして、質問を移ります。

 各種防災関連行事についてお伺いいたします。

 出席された方も多いとは思いますが、10月14日に長野市オリンピックスタジアムにおいて、第25回全国消防操法大会が開催されました。長野県からは、消防自動車で諏訪市消防団、可搬ポンプで川上村消防団が出場し、いずれも好成績にて大会を終えております。

 消防技術向上のために連日取り組まれてこられましたたまものであることをともにお喜び申し上げますとともに、多くの感動をもたらしたことは、今後の長野県の自主防災組織に対して大いなる糧となったことは言うまでもありません。

 この日本消防協会主催の全国消防操法大会は、今までそのほとんどが東京都、または横浜市で開催されており、そのほかは平成18年の兵庫県、平成22年の愛知県と、いわゆる都市部で開催されてきた経過を考えてみても、地方での初開催となったことは、現地にいた消防団員の言葉をかりれば、長野県で開催されたことがまず意義深いことであったということでありました。

 初の地方開催となったこの大会を終えて、その感想、効果、影響、そして他県からの反響をお答えください。また、全国大会の開催が長野県の消防防災技術の向上につながる一方、全国から消防関係者が視察に訪れているという群馬県渋川広域消防本部について、長野県としてはどのように評価しているのでしょうか。また、地域消防力の強化の観点で参考とするものがありますでしょうか。見解を示していただきたくお伺いいたします。

 そして、10月2日、本年は佐久市で開催がありました長野県総合防災訓練の成果と課題についてもお示しください。その総合防災訓練で、山梨県からは「あかふじ」、群馬県からは「はるな」、隣県から2機の防災ヘリが訓練の応援に来てくださいました。長野県からは「アルプス」が参加し、ドクターヘリも同時参加となりました。

 私はその補給拠点のフォワードベースでの出動でしたので、メーン会場での参加はかないませんでしたが、応援に来てくださった各防災ヘリとの連携を確認されておりました。各県との相互応援協定について、現状はどのようであるのか。以上、危機管理部長にお伺いいたします。

 また、会派信州・新風・みらいで毎年2回行っております県政対話集会の際に出た意見と、山岳救助の観点から、観光部長にお伺いいたします。

 10月17日に中野市で行った対話集会において、山岳ブームの中、むやみに山に挑戦する人がふえている気がする。登る力量がなければ、山は遠くから眺めるものだとの強烈なメッセージをいただきました。

 山岳遭難の状況は、平成25年をピークに減少傾向にはあるものの、依然高どまりの状況は続いています。遭難発生の背景、要因の一つとして、登山者が自分の力量に合わない状況の登山に挑戦している、いわゆるミスマッチをあらわしているものと思います。安全に登山を楽しんでもらうためにも、登山者自身の力量に応じた山選びが重要と考えますが、県としてはどのように取り組んでいらっしゃるのか、お伺いいたします。

      

◎危機管理監兼危機管理部長(野池明登)

 

 各種防災関連行事につきまして、4点、順次お答えを申し上げます。

 まず、10月に開催されました全国消防操法大会についてでございます。

 この大会には、熊本県を除く46都道府県から47チームが出場し、本県代表の川上村消防団が小型ポンプの部で準優勝、諏訪市消防団がポンプ車の部で優良賞という輝かしい成績をおさめたところでございます。大勢の議員の皆様にも応援に駆けつけていただきまして、心より感謝を申し上げる次第でございます。

 大都市圏を離れ、初の地方開催でございましたが、長野オリンピックスタジアムに過去最高の2万人が訪れ、選手、観客一体となった熱気あふれる大会となりまして、主催者であります消防庁、日本消防協会、また他県の皆さんからも非常に高い評価をいただいたところでございます。

 また、同時開催された交流物産展、こちらは過去最多の95ブースが地元から出展しておりまして、こちらのほうも大好評、大盛況となったところでございます。前日の選手激励交流会とあわせ、信州の食や日本酒、長野ワインなどのPRにも一役買えたものと思っております。

 この大会を通じ、本県消防団の技術力や組織力の高さを全国に示すことができましたし、関係者は改めて消防団活動に自信と誇りを感じたものと考えているところでございます。

 2点目の群馬県渋川広域消防本部の取り組みについてでございます。

 渋川広域消防本部は、独自に研究をした火災防御技術を積極的に発信をしておりまして、その技術は渋消式とも言われているとのことでございます。

 この渋消式、火災での延焼率の軽減で効果を上げているということで、具体的には、限られた人数の隊員で指令から放水開始までの時間をいかに短縮するかを徹底的に追求をし、迅速なホースのつなぎ方や資機材の搬送方法など、試行錯誤の結果生み出されたものということで、その探求心や意気込みは、全国から注目されるに値するものと認識をしているところでございます。

 本県におきましても、それぞれの消防本部におきまして地域特性を生かした工夫を行っておりますけれども、隊員一人一人がみずから考えて行動するこの姿勢は大変参考になると思いますし、また、一層の消火効果の向上につながると思いますので、できることとして、まず、各消防本部にこの情報を提供してまいりたいというふうに思っております。

 3点目の県総合防災訓練の成果と課題についてでございます。

 今回の訓練は、浅間山の噴火と地震、豪雨等の複合災害を想定し、自衛隊、消防、警察、DMATの救出連携訓練、大規模民間商業施設での異臭対応訓練などを実施いたしました。

 主な成果といたしましては、災害で重要な役割を担います県警ヘリ、長野県・群馬県・山梨県防災ヘリ、ドクターヘリの各機関のヘリコプターによる実践的な連携訓練ができたこと、また、熊本地震でも課題となりました救援物資の配送で物資の種類別の保管や受け渡し等の迅速かつ効果的な手法の検証ができたこと、また、災害拠点病院で複数病院のDMAT隊と、佐久地域だけではなくて内外の消防隊の連携訓練ができたことなどが挙げられます。

 一方、課題としては、火山の活動状況を救助活動を行う各機関に迅速、的確に伝える手段をいかに確保するか、また、本年4月に運用を開始した防災情報システムにつきまして、現地、市町村、県が迅速に情報共有できるよう、いかに円滑に運用するかなどが挙げられております。

 訓練は課題の把握と確実な改善が重要ですので、参加機関から出された課題を今後の訓練にしっかりと生かしてまいりたいと考えております。

 最後、4点目の近隣県とのヘリコプターの相互応援協定についてでございます。

 消防防災ヘリコプターの運航に当たりましては、隣接する6県と相互応援協定を結んでおります。新潟、山梨、群馬、岐阜、富山、静岡でございます。この協定は、自県のヘリコプターのみでは対応できない場合や、自県のヘリコプターが点検整備等のため出動できない場合などに協定県へ応援を要請できるもので、実際、本県では、平成23年度から5年間で応援18件、受援40件ということで、最近の事例でも、昨年11月の南木曽町の林野火災、この折には3県から応援をいただいており、なくてはならない仕組みであると認識しております。

 それぞれの協定県とは、大規模な災害に備えまして、引き続き互いの総合防災訓練への参加や、実際の支援、受援活動を通じまして、連携体制の確認と強化を図り、より効果的な運用がなされるよう努めてまいります。

 以上でございます。

 

◎観光部長(吉澤猛)

 

 登山者自身の力量に応じた山選びについてお答えいたします。

 安全な登山のためには、議員御指摘のように、何よりも登山者がみずからの体力、技術、経験、年齢等を考慮し、自分の力量に応じた山選びをすることが肝要であると考えております。

 そのため、県といたしましては、昨年12月に登山安全条例を制定させていただき、本年7月1日からは、遭難発生のおそれが高い指定登山道を通行する場合には、登山計画書の提出を義務づけたところでございます。

 また、平成26年度に作成した全国初となる信州山のグレーディングは、主要な登山道を体力度と技術的な難易度という二つの基準で評価し、マトリックスとして表示したものであり、自分の力量に応じた山選びの目安として御活用いただいております。この取り組みは、隣県5県にも同調いただき、現在では本県分の102ルートを含め546ルートまで広がっております。

 このグレーディングをさらに有効活用するため、ルートごとにより詳細に難易度を評価したピッチマップを昨年度作成するとともに、登山者に自分の体力を診断してもらうためのセルフチェック登山の取り組みも現在進めているところでございます。

 今後も、登山計画書の提出義務やグレーディングに関する啓発活動を積極的に行うことで、登山者に自分の力量に応じた山選びの重要性を伝え、安心、安全な登山対策の推進と遭難件数の減少に努めてまいります。

 以上でございます。

           

◆花岡賢一

 

 登山計画書を長野県は進めているという話の中で、先ほども言っていただいたグレーディングについて、今の状態で活用状況はどうなのか。思っていたより多いのか、少ないのか。もう一度お伺いさせていただいてよろしいでしょうか。

 

◎観光部長(吉澤猛)

 

 グレーディングの活用状況についての御質問でございますけれども、先ほど申し上げましたように、26年度に制定させていただきまして、その後、新潟、山梨、静岡、岐阜、群馬というようなことで、今、広がってきております。

 あわせまして、私どもの職員が各県の山岳連盟の方に対して講演会などを行わせていただいておりまして、例えば、登山メーカーのいろんなフェアにも私どもは行くわけですけれども、その中で、登山を実際に行っている方から、非常に助かっていますとか、これは参考になるという御意見をたくさんいただいているところでございまして、私どもとしますと、きちんと広がってきているなということを実感しているところでございます。

 

◆花岡賢一

 

 評判がよいものということであれば、より広めていっていただきたいなというふうに思うところでございます。

 本年、全国レベルのイベントが開催され続けた長野県にとって、また来年もながの銀嶺国体を初めイベントがめじろ押しの長野県にとりまして、それぞれがそれぞれの確かな一歩となること、そして、先ほど防災の面で申し上げましたが、年末に向けての夜間特別警戒、年明けの出初め式などがある中、地域自主防災組織としての消防力がより向上していくことを確信することと、また、来年は酉年でございます。鳥といえば、隣県では大変なことが起こっています。御見舞いを申し上げますとともに、県内の格段の取り組みにより、幾多の課題を乗り越え、来る来年も羽ばたきますことを祈念いたしまして、一切の質問を終わります。