平成28年2月定例県議会 発言内容(花岡賢一議員)


◆花岡賢一

   

 順次質問を申し上げます。

 まず、G7交通大臣会合について御質問申し上げます。

 阿部知事も誘致に精力的に取り組まれていらっしゃいました本年開催のサミットについてでございますが、その結果は皆様御承知のとおりでございます。その伊勢志摩サミットにあわせて開催される大臣級会合が、本年は全国10カ所で開催されます。その中でも、サミット本体の誘致に取り組んできた軽井沢町では、G7長野県・軽井沢交通大臣会合が開催されます。

 このハイレベル国際会合は、本県が進めるインバウンド、外国人観光客の誘致にとっても大変重要なことと考えます。1800年代中ごろ、宣教師アレクサンダー・クロフト・ショー氏より続く国際的保健休養地である軽井沢で開催されることは大変意義深く、新たに長野県の魅力を全世界に発信する絶好の機会であります。平成28年度の当初予算案、産業労働部の基本方針に全庁一丸となって準備を進めますとあるように、その意気込みを強く感じているところであります。

 そんな中、1月15日に軽井沢町で発生してしまった大型バス転落事故は、交通大臣会合を控える中、暗い影を落とす事件となっております。この事件に関しては、いまだ原因究明が検証されていることと、若者の無念、またお亡くなりになった方々の御遺族の御心情、尋常でない恐怖とあわせてけがをされた方々のことを思うと胸が痛みます。

 15人がお亡くなりになり、26名が重軽傷の大惨事となってしまいましたが、佐久広域の医療機関が連携して昼夜を問わず取り組んだ結果が存在していることと、群馬県側の医療機関との連携があっての対応にも感謝を申し上げなくてはなりません。未来ある若者が犠牲となってしまったこの事件にあって、本来は未然にそれを防ぐことに力を尽くすべきであったのが政治であって行政であるべきです。

 以上を踏まえ、質問を申し上げます。

 まず、産業労働部長にお伺いいたします。

 G7交通大臣会合推進事業の目的にある「交通大臣会合が軽井沢町で開催されることを契機として、長野県の持つ美しく豊かな自然環境や文化、食、ボランティア精神などの強みや価値を世界に対して発信し、今後の国際会議の誘致や世界からの観光誘客の促進等を図る」の項目について、国としてはいまだ発表に至らない点も多く、発信しがたい面もあるとは思いますが、長野県としての具体的な取り組みをお示しいただきたくお伺いいたします。

 また、開催日は軽井沢町としてもトップシーズンであることを鑑み、地元の企業や住民に対してもその意識の醸成についてどう図っていくのか。その取り組みをお伺いいたします。

 次に、私が昨年12月の一般質問の際に取り上げた民泊でありますが、残念ながら現状はふえています。事前の警備警戒について警察本部長にお伺いいたします。

 このG7長野県・軽井沢交通大臣会合は、全国10カ所で開催される大臣級会合の最後の会合であります。各都市での警戒は当然のごとく厳しいはずである中、万が一テロリストが準備を進めていると仮定をして、各地での警戒状況を目の当たりにし、延期を繰り返したとします。何らかの実績を残さなくてはならないテロリズムがあって日本に入国していると想定するのであるなら、最後を務める本県の役割は大変重要であると考えます。何もなく終わって初めて成功なのであって、何かがあったとすれば、我が国で開催されたサミット自体が失敗となりかねません。

 その警備警戒態勢については、先週の村上議員の代表質問で、サミット推進室を設けるなどの答弁がありました。警備警戒は開催中だけのものではなく、事前の取り組みが重要であると考えています。サミット推進協議会との連携は当然あると思いますし、警備の観点から発表できない事項も多いとは考えますが、長野県として厳戒態勢で臨んでいるとの発信も同時に進めなくてはならないと思いますが、その取り組みについての考えがあるのか。お伺いいたします。

 そして、民泊について申し上げます。

 簡素化されたシステムであるがゆえに、宿泊者がどこの誰かわからないということになれば、テロリストの拠点となりかねない状況を生む可能性があります。警備の観点上、民泊に対しての御対策をお聞かせください。

 そして、万が一の医療の連携についてお伺いいたします。

 あってはならないことですが、さきに述べました大型バス転落事故に対する医療機関の連携についてです。今回のケースは、県境ということもあり、長野県と群馬県の医療機関との連携をとることが可能であったのですが、県内2次医療圏における医療圏内及び医療圏を超えた連携、あるいは隣県の医療機関同士の連携の状況はいかがか。健康福祉部長にお伺いいたします。

 また、日本国内で行われる大臣級会合は、ある意味MICEと捉えることができます。他県も、この会合の成功の後には、MICEに対しての検証材料とすることは間違いありません。本県にあっても、今回のこの国際会合は今後のMICEのモデルとなり得ることは確かであります。企業がグローバルに会議、会合を開くことができる環境を整備し、自治体としても推奨しているMICEの誘致に取り組む本県にあって、県内への波及をどう考えるのか。観光部長にお伺いいたします。

 最後に、以上を踏まえ、このG7長野県・軽井沢交通大臣会合に際し、全庁一丸となって準備を進める長野県としての熱い思いを阿部知事にお伺いいたします。

 

◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)

 

 お答えいたします。

 G7交通大臣会合に向けての具体的な取り組みと、地域の機運醸成についての御質問でございます。

 開催に向けましては、現在、県の推進協議会が中心となりまして、開催の支援、情報の発信、機運の醸成に取り組んでいるところでございます。

 具体的な取り組みといたしましては、会合期間中にG7各国政府団を招いた地元主催の歓迎レセプションを実施し、信州の文化や食をアピールするとともに、長野県の魅力を伝える情報発信コーナーの設置なども予定しております。

 また、開催前には、海外メディアを対象といたしましたツアーを実施し、長野県の魅力を深く知っていただき、今後のインバウンドの拡大につなげるなど、関係部局と連携して世界に向けた情報発信にも取り組んでいるところでございます。

 また、既に県内企業からは、G7用のミネラルウオーターの製造や地酒活用の提案などをいただいており、開催に向けての機運が徐々に高まってきております。

 今後も、県民向けのカウントダウンイベントなどの開催によりまして、さらなる機運の醸成を図ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◎警察本部長(尾﨑徹)

 

 軽井沢交通大臣会合に対する警備体制についてお答えいたします。

 軽井沢町でのG7長野県・軽井沢交通大臣会合の開催が決定したことを受けて、警察としては、警備の万全を期すため、本年1月4日、サミット警備対策室を設置し、警察庁、国土交通省、県、町などの関係機関と連携しながら、要人等の安全対策、会場警備、テロ対策等警備諸対策を進めているところでございます。

 本会合の警備につきましては、緊迫の度を増している国際テロ情勢等、厳しい警備情勢に的確に対処するため、必要に応じて他県警察の応援を得ながら、県警察の総力を挙げて取り組んでまいります。

 また、住民や軽井沢町を訪れる方々には、警備に伴って御不便をおかけすることも予想されることから、皆様の御理解と御協力が得られるよう県や町等々関係機関と連携し、情報提供等に努めてまいります。

 続きまして、民泊の対策についてお答えいたします。

 議員御指摘の民泊施設の対策につきましても、県や町、関係団体と緊密に連携するとともに、不審者通報など地域住民の方々の御協力も得ながら、実態把握を推進しているところでございます。

 今後も、引き続きテロリストなどの犯罪者に利用されないよう、官民連携して必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

 

◎健康福祉部長(小林透)

 

 消防機関と医療機関の連携についての御質問にお答えをいたします。

 県は、これまで、傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準を策定し、消防機関による救急業務としての搬送及び医療機関による受け入れの迅速かつ適切な実施を図ってきたところでございます。

 御質問の軽井沢町におけるバス横転事故では、佐久医療圏域内の医療機関が重症度に応じて26名の負傷者を分担して受け入れ、このうち1名については、佐久医療圏の病院から長野市内の病院へドクターヘリによる転院搬送が行われました。また、4名の患者については群馬県内の医療機関への搬送が行われるなど、患者の受け入れや転院について、県内外の消防機関や医療機関で緊密な連携が図られたところでございます。

 災害時や大規模事故において、県内はもとより、県境を越えた救急搬送や転院搬送等を円滑に行うためには関係機関の連携が重要と考えており、県としても引き続き連携体制の充実に向けて取り組んでまいります。

 以上でございます。

 

◎観光部長(吉沢猛)

 

 G7交通大臣会合の県内へのMICE誘致への波及についてのお尋ねでございます。

 今回の交通大臣会合に関しましては、先ほどの石原産業労働部長の答弁にもありましたように、情報発信コーナーを設置し、観光も含めた本県の魅力を発信するとともに、会合開催前に行われる海外メディアを対象としたツアーや大使館の事前視察の際に県内の観光地を訪れていただくことになっております。これにより、これまで接点のなかった海外メディアを初め、会合参加国の政府関係者や大使館職員等を通じて、長野県の持つさまざまな魅力や強みを国内外に発信していただくことで、将来的なインバウンドの増加や、それに伴う地域経済のプラス効果が期待できます。こうした観点から、今回の交通大臣会合は、今後のMICEのモデルになり得るものと考えております。

 県としては、今回の開催で培われる新たなつながりやノウハウといったものが本県にとって大きな財産になるものと考えておりますので、市町村や企業、観光関係者等との間でこれらを共有し、県内へのMICEの誘致拡大に生かしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◎知事(阿部守一)

 

 G7交通大臣会合に向けた熱意についての御質問でございます。

 今回の交通大臣会合は、県内で初めてのG7各国大臣が集う国際会議でございます。成功に向け万全を期するとともに、長野県の持つ魅力を世界に向けて発信する絶好の好機と捉えて準備を進めてまいります。

 警備などの開催支援につきましては、警察本部はもとより、国土交通省、軽井沢町などとも十分連携を図って取り組みますし、地元の皆様方の理解と協力を得ながら、着実に進めてまいります。

 また、本県の持つ魅力や強みにつきまして、各国政府団、あるいは駐日大使館、海外メディアに対しまして、会合期間中だけではなく、さまざまな関連事業の機会を最大限に生かして、世界に向けた積極的な情報発信を行ってまいります。また、お越しいただく各国大臣、関係者の皆様方に、信州軽井沢の快適な環境を存分に御満喫いただくことができますよう、歓迎やもてなしにも意を用いてまいります。

 今回のG7交通大臣会合を成功させること、そして長野県、信州軽井沢の魅力を発信することにより、MICE、あるいは観光等において世界から選ばれ続ける地域となりますよう、私も先頭に立って取り組んでまいります。

 以上でございます。

 

◆花岡賢一

 

 知事からの思いも聞かせていただきました。また、各方面からも答弁がありましたけれども、国際的な面を持つ軽井沢町は、皇族の方々とも関係の深いところであります。また、天皇皇后両陛下をお迎えするなど、警備については一定の高さがあることは確かであります。しかし、このなれているという感覚が一番危険であることは間違いないはずです。格段のお取り組みをお願いいたしまして、質問を移ります。

 続きまして、本県におけるジビエの可能性についてお伺いいたします。

 全国的に鹿による農作物の被害や森林の被害が懸案事項であり、各自治体が取り組みを展開しています。旧来より本県では、鹿肉などを山肉として食してきた人たちがいます。また、ノーベル賞の授賞式での晩餐会のメーンディッシュとして、料理人が尊敬の意識を持って調理してきた高級食材としての一面もあります。また、食材として扱いづらい面もありますが、近年ジビエが注目され、それに関連した報道も多くなっています。

 本県も、ニホンジカ捕獲強化事業を拡充することや、ハンターデビュー支援事業を行い、年間捕獲頭数4万頭を目標とするなど、各方面に対して多角的に対策が講じられていることがうかがえます。しかし、その一方で、他県でのイノシシ猟の法令遵守違反、狩猟期間と捕獲期間のとめ刺し方法の違い並びに捕獲、流通の法令遵守違反など、狩猟をもととしたさまざまな山肉、ジビエを取り巻く状況は、旧来のガイドラインの遵守が、市場のニーズの変化からおくれているのではと思われることが多々存在しています。また、その実例を知り、今まで扱っていたジビエの取り扱いをやめてしまった事業者もあります。

 本県にありましても、厚生労働省が平成26年11月に策定した野生鳥獣肉の衛生管理に関するガイドラインと、長野県として平成19年9月に策定したガイドラインと衛生マニュアルに隔たりがあるなど、もはや一部の山の恵みであった山肉がジビエとして多数流通することが可能となっていく時代にあって、再度検証し、見直さなくてはならない状況を感じます。

 また、地元や県内の方々は当然として、観光に訪れた方々、訪れずとも長野県の魅力を感じ、実際に喫食してみたいと感じた消費者にとっても、混乱を生む可能性を生みかねません。そして、その背景にある猟に携わっておられる方々の努力と苦労にも焦点を当てなくてはなりません。しかし、現状、厚生労働省のガイドラインと、先んじて取り組んできた本県のガイドラインと衛生マニュアルとが十分に理解されていないのではと思われる、いわゆる空回り感を感じます。より安全で、高付加価値が伴うものこそが、他県のジビエのまねではない信州オリジナル食材であり、認証信州ジビエであるべきと考えます。

 そこで、以下、お伺いいたします。

 まず、平成19年9月に策定された信州ジビエ衛生管理ガイドラインの改定された箇所は、抜粋でわかりやすくされて発信されている「信州ジビエ活用のためのQ&A」のクエスチョン11のみでしょうか。考え方として、クエスチョンの9の削除は考えなかったのか。お伺いいたします。

 そして、厚生労働省の策定したガイドラインで、既にガイドラインを策定している都道府県などにあっては、管内の実態を踏まえ、必要に応じて既存のガイドラインの改定について検討されたいとありますが、長野県が先行して策定したガイドラインと適合していないと考えられる箇所がほかにもあればお示しいただきたくお願いいたします。

 また、一部の獣医の方の声の中には、今の検査体制でジビエが流通していることを心配している状況があります。山梨県内ではありますが、町営のジビエ処理施設では保健所職員の立ち会いが行われている管理体制もある中、当県の今の検査体制が脆弱ではないのかと疑念を抱いている状況を耳にします。検査体制をさらに強化する考えはあるのか。以上3点について健康福祉部長にお伺いいたします。

 また、林務関係で、先ほどより申し上げておりますガイドラインの「はじめに」の中に、土中埋設が現状であるとありますが、聞くに全体の9割近くが土中埋設を行っている現状があるそうです。その土中埋設についての項目をガイドラインに組み込む必要性を強く感じます。

 年間4万頭の捕獲を目標としている本県にあって、ニホンジカ捕獲強化事業とハンターデビュー支援事業の取り組みがある中、よりよいハンターに対する指導を行っていかなければならない、またその指導によってよりよいハンターの誕生も期待するところであります。

 そのような状況の中、信州ジビエ活用推進事業の中で、消費拡大としているにもかかわらず、意欲ある流通の担い手による首都圏の大口需要など県内外の販路拡大、こうした事業は来年度の予算ではゼロであります。販路拡大の予算は講じないでどうやって県内外に流通させるのか。そして、意欲のある担い手に委託するとありますが、そのような事業者がどれぐらいいるのか。そして、ジビエに適した捕獲、処理を適切に行える人材の養成講座とありますが、現行のガイドラインの遵守で、より高付加価値のジビエの枝肉はできるのか。そして、長野県の食として認証信州ジビエのロゴがついたものは、その名前、ロゴが見えることにより、安全であり安心である内容を発信していくための戦略は存在しているのか。以上4点を林務部長にお伺いいたします。

  

◎健康福祉部長(小林透)

 

 本県におけるジビエの可能性の御質問に順次お答えをいたします。

 まず、信州ジビエ活用のためのQ&Aの改正、削除についてでございます。

 御質問の県のガイドラインの改正点につきましては、御指摘の平成26年11月に厚生労働省のガイドラインが示され、飲食店において野生鳥獣の解体等の処理を行う場合は、飲食店営業に加えて食肉処理業の許可を受けるよう新たに定められたことから、これにあわせて問11についてのみ平成27年3月に改正したものでございます。

 また、問9はジビエを販売する上での規制を説明したもので、飲食店におけるジビエの取り扱いについて説明した11とは異なる内容であり、問11の改正後においても問9は必要と考えているところでございます。

 次に、厚生労働省と県のガイドラインの相違点についてでございます。

 本県のガイドラインは、平成19年に学識経験者、狩猟関係者及び食肉処理業者などで組織されました信州ジビエ衛生管理基準等検討会において、検討、策定されたものであり、野生鳥獣肉の汚染の防止の観点から、野外での内臓摘出を認めないこととしてございます。一方、厚生労働省のガイドラインにおいては、やむを得ない場合、野外で内臓を摘出することを認めるとしておりまして、この点が異なるものと考えております。

 次に、ジビエ検査体制の強化についてでございます。

 食品衛生法に基づいて策定した食品衛生監視指導計画により、野生鳥獣肉処理施設22カ所のほか、ジビエを取り扱う飲食店、食肉販売店についても立入検査をしているところでございます。引き続き、食品衛生法等に基づき厳正な監視指導を実施してまいります。

 以上でございます。

 

◎林務部長(塩原豊)

 

 本県のジビエの可能性について御質問をいただきました。

 初めに、販路拡大の予算についてのお尋ねですが、今年度実施した販路拡大事業によりまして、新たに流通事業者が県内外への流通を担い、販路を拡大していく仕組みが構築できましたので、平成28年度以降は、流通事業者が県からの委託等に頼ることなく通常の営業活動で県内外への販路拡大に取り組んでいくことができるものと考えております。

 このため、来年度は、信州ジビエ研究会等との協働による信州ジビエの県内外での商談会の開催や情報発信、信州ジビエフェアの開催などを通じまして、流通事業者による販路拡大の活動を支援してまいりたいと考えております。

 次に、信州ジビエ流通の意欲ある担い手の事業者についてのお尋ねですが、これまで信州ジビエの流通を担う事業者はおりませんでしたが、平成27年度事業で県内外への販路拡大に新たに取り組む事業者を公募しましたところ、県内の食品流通事業者1社の応募がございました。当該事業者による新たな流通の仕組みが構築されましたことを受けまして、今後は、その他の事業者による参入も期待できるものと考えております。

 次に、より付加価値の高いジビエの枝肉はできるのかとのお尋ねでございますが、信州ジビエ衛生管理ガイドライン・衛生マニュアルを遵守することによって、消費者にとっての安全、安心が確保され、信州産認証鹿肉の付加価値の向上につながっていると考えております。

 今後、さらなる高付加価値を目指して、平成28年度においてはレストランや飲食店などの事業者のニーズ、例えば若い雌鹿のロース肉を入手したいなどといったニーズに対応できるように、商品を分類し、信州産認証鹿肉のブランド力強化に取り組んでまいります。

 次に、信州ジビエがより安全、安心であることを発信する戦略についてのお尋ねですが、信州産シカ肉認証制度の認証信州ジビエのロゴが添付された認証製品につきましては、安心、安全であることが認められ、今年度、県内の大手スーパーマーケットでの販売につながり、消費者の皆様への浸透も進んできていると考えております。

 これまでも、銀座NAGANOなどで行う信州ジビエの商談会や、JR東日本の皆様と連携して取り組む信州ジビエフェア等におきまして、信州産認証鹿肉が安全、安心なブランドであることを事業者にアピールしているところでございます。

 来年度は、信州への誘客に向けた信州ジビエを扱う飲食店情報の発信や、県内各地でのジビエイベントなどに新たに取り組む中で、信州産シカ肉認証制度のロゴマークが安全、安心なジビエのあかしであることを広く県内外にPRしていきたいと考えております。

 以上でございます。

 

 

◆花岡賢一

 

 先ほどの答弁で、野外にて内臓を摘出するということが項目として変わったというふうにお答えをいただきましたけれども、そもそも野外で内臓を出したものというのは食用にしないことということがガイドラインに入っているはずです。その時点でも違いが出てきているということに対してもう一度質問させていただきたいのですが、そういった形で相違があるということについてどういう認識をしているのかということを先ほどお伺いしたんです。もう一度お答えいただけますでしょうか。

 

◎健康福祉部長(小林透)

 

 厚生労働省と県のガイドラインの相違点につきましての再度の御質問にお答えをいたします。

 先ほど申し上げましたのは、厚生労働省のガイドラインにおいては、やむを得ない場合、野外で内臓を摘出することを認めていると。県のガイドラインにおきましては、野外での摘出を認めていないということでありまして、これはより衛生的なことを考えまして、野生の鳥獣肉の汚染防止の観点ということを厳格に適用して、ブランド力をアップしているものというふうに考えているところでございます。

 以上であります。

 

◆花岡賢一

 

 より厳しい内容で処理していくという形は、やはり衛生面ですばらしいことだと思いますので、より厳しい体制で臨んでいただきたい、そう思っております。

 県内の鹿肉の利用率は、全体の個体数に対しておよそ5%でございます。しかし、実際のところ、都内ではその個体のまま買い取ってくれる業者も存在していて、その業態が先ほど申し上げたガイドラインに沿っているのかどうなのかも不明であります。

 しかし、需要は確かに存在しています。そうなると、残りの95%ないしは90%の活用という考え方は当然生まれてきます。しかし、実際のハンターの方に聞くと、ジビエとしてしとめられる鹿はよくて1割程度、あとは喫食の対象から外れてしまっている状況があるそうです。だとすれば、公では流通し得ない個体が存在し得る市場が形成されかねない状況があるわけです。

 森の恵みをいただき、我々と同じく自然の中に生きる動物の命を頂戴するジビエのルールにのっとった安全な鹿肉の流通についてはどう考えていくのか。先ほどの答弁にあわせて健康福祉部長にお伺いいたします。

 また、新たに建設される獣肉処理施設の整備に係る経費に対する支援とありますが、県として建設する考えは今のところないという状況は、県営獣肉処理施設のようなものは住民の理解が得にくいということが主なる理由だと思われます。中には、民間の方々の努力で施設建設まで至るケースもありますが、建設へ向けて近隣住民説明会を開いても、理解されずに断念するケースもあると聞きます。

 そこで、提案なのですが、昨年の一般質問でも取り上げました移動調理施設、キッチンカーの考え方を導入してみてはいかがかと考えます。厚生労働省のガイドライン、長野県のガイドライン双方を見比べても、設備に関して建屋がなければいけないといった記述はありません。建屋ありきの考え方はあるとは思いますが、時代の流れで需要があるのならば、屠場が狩猟場に行けばいい。ハンターはしとめた個体を必ず自分の車に積み込みます。そうであるならば、その車のあるところ、駐車場に屠場が向かうことは可能ではないのか。そうすることにより、より早く適切に処理が可能となります。この処理体制が可能となれば、施設が近づくことで処理までの時間が短縮でき、また検査を行える人間を同席させることで安全な処理を可能とし、より高付加価値な枝肉が形成できる可能性を含むと考えますが、その可能性はいかがか。健康福祉部長にお伺いいたします。

 

◎健康福祉部長(小林透)

 

 御質問に順次お答えをいたします。

 法令遵守されていない方法で処理されたジビエの流通についてでございますが、食品衛生法等に基づきまして厳正な監視指導を実施していくほか、ジビエ取り扱い事業者に対して、適正な処理が行われるよう、ガイドライン、マニュアルを周知してまいりたいと思います。

 次に、自動車を用いた食肉処理の導入についてでございます。

 野生鳥獣肉の処理を行うためには、専用の施設設備を設け、食肉処理業の許可を得た上で、食品衛生法及びガイドライン、マニュアルを遵守し、衛生的に行う必要がございます。

 食肉衛生業の許可を得るためには、知事が定めた施設基準に基づき、作業が効率的にできる構造で、取扱量に応じた面積を有する屠殺放血室、解体室、処理室等を設け、流水式の手洗い設備、器具の洗浄消毒設備、冷蔵庫等を設ける必要がございます。

 車で処理をする場合においてもこれら施設設備を満たす必要がございまして、現場における駐車スペースや排水処理などを含めまして、適合できるか検討してまいりたいと思います。

 以上でございます。

 

◆花岡賢一

 

 設備に関してですけれども、基準は、屠体の懸ちょう設備、つり上げる設備と83度で煮沸ができるその消毒設備という形が一番メーンになって行われています。その中で、食品衛生法上の中では、やはり設備の床であるとか壁であるとか、そういった衛生面についても記述はあるわけです。ですけれども、先ほどの話、法律も含めてなんですが、検討していくという答えをいただけましたので、その点に関してはやはり前向きな御意見をいただけたのかなというふうに思っています。

 私も、昨年の議会で馬の可能性について取り上げましたけれども、その馬の可能性は頭数の少なさが課題でありました。しかし、鹿の個体数はおおよそ30万頭と言われています。その可能性に強く期待するとともに、知事も開会日の議案説明の要旨の中で、これはコンプライアンスの関係ではありましたけれども、社会の環境変化に敏感に反応し、県民の皆様の期待に応えるために、必要とあらば法令等のルールの変更をするための行動を起こしていくということに触れていらっしゃることに大きな期待を含ませまして、私の質問を終わらせていただきます。