平成28年2月定例県議会 発言内容(寺沢功希議員)
◆寺沢功希
おはようございます。早速質問に入らせていただきます。
長野県内では、昨年、飯田市内において暴力団員による拳銃使用の殺人事件が、そして本年に入ってからは、高速道路上において一般車両の通行を妨げた事件が発生しました。さらに、先週2月25日には、松本インター付近において多数の暴力団員が関与していると思われる傷害事件が発生し、地域では、翌日、子供たちに保護者による送迎や集団での登下校の措置がとられました。暴力団員が関与する事件が立て続けに発生し、県民には何が起こっているかわからず、物々しい雰囲気に子供たちも不安を抱いております。
そこで、県警本部長に伺います。
県警として、今後どのように暴力団対策を進めていくのか。また、どのように県民の安全と安心を守っていくのか。お答えをお願いいたします。
続いて、平成18年に施行された就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律により設けられた、保護者が働いているいないにかかわらず就学前の子供に幼児教育・保育を提供する機能と地域における子育て支援を行う機能を備えた認定こども園は、いわば幼稚園と保育園の両方のよさをあわせ持っている施設であり、認定基準を満たす施設は都道府県等から認定を受けることができます。また、幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型と、地域の実情や保護者のニーズに応じて選択が可能となるよう多様なタイプがあり、子を持つ親とすれば選択肢がふえ、また子供たちにとっては就学前に質の高い幼児教育が受けられるメリットがあり、少子化の今だからこそ必要かつ重要な制度であると考えます。
長野県においては、平成27年4月1日現在、公立1園、私立19園の計20園が認定を受けており、タイプ別では幼保連携型が17園、幼稚園型が1園、保育所型が2園、地方裁量型がゼロと公表されております。
そこで、県民文化部長に伺います。
その後の認定状況はいかがでしょうか。さらに、現在の認定待ち、相談中の園はどのぐらいあるのでしょうか。また、長野県の認定数の水準は他県と比べるとどうなのでしょうか。加えて、少子化により子供たちの数の減少が懸念されているところではありますが、県としては、今後の認定に関して積極的に取り組む考えか、または慎重に取り組む考えか。今後の方針をお答えください。
現在、幼稚園、保育園を運営している方々の中には、この制度に興味を持たれ、認定こども園への移行を希望される方がおられます。また、保護者の方からも移行を希望する声が多いと聞いております。国が定める施設の設備及び運営に関する基準を参酌して、都道府県が条例で定めた認定基準により都道府県が認定こども園として認定しますが、申請は市町村経由となっております。運営者にとって最初の相談窓口は市町村であり、また、最終的に市町村が県に申請してくれない限り、審査すらしてもらえないわけであります。
そこで、県民文化部長に伺います。
現在、市町村の対応がさまざまであると聞いております。認定こども園の設置に積極的で、申請に向け親身になって相談に応じてくれる市町村もあれば、その逆に、申請に非常に慎重、または消極的な市町村もあるようです。認定を受けたい運営者と認定する県の間にあって、対応、方向性の違う市町村についてどうお考えで、今後どのように調整していかれるおつもりでしょうか。また、運営者から県への直接の相談についての対応、体制は整っておられるのでしょうか。お答えをお願いいたします。
◎警察本部長(尾﨑徹)
今後の暴力団対策と県民の安全、安心の確保についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、6代目山口組分裂後、県内におきましては、昨年10月6日、飯田市内において暴力団幹部による拳銃使用の殺人事件が発生し、本年1月27日には、伊那市内の中央自動車道本線上において暴力団組員らが自動車2台を故意に停止するという事件が発生し、いずれの事件につきましても早期に被疑者を逮捕したところでございます。
また、先週の2月25日には、長野道松本インターチェンジ出口付近で、暴力団関係者同士と見られるトラブルに端を発して関係者が負傷するという事案を認知し、傷害事件として捜査しているところでございます。
これらの事件の発生に際しましては、捜査活動に加え、必要な場合には警察のみならず市町村等関係機関とも連携しながら、周辺住民の皆さんが不安を抱くことのないよう、また周辺住民の皆さんがこれらの事件に巻き込まれることがないよう、情報提供にも配意しているところでございます。
県内におきましては、昨年8月の6代目山口組分裂以降、組員の引き抜き行為に伴う小競り合いや示威行為に加え、ただいま御説明しましたような事案が発生しているところであります。
警察では、これまでも、全国警察とも連携した徹底した情報収集による実態把握、関係する暴力団組織や暴力団員に対する警戒活動、パトカーや制服警察官による張りつけ警戒や流動警戒、違法行為に対する徹底した取り締まり、市町村等とも連携した周辺住民の皆さんへの情報提供などにより不測の事態に備えてきたところでございますが、情勢はいまだ流動的でありますので、これまで行ってきた警察活動を強化していく中で、発生した事案に対しては速やかに捜査を展開して被疑者を検挙していくとともに、発生するおそれのある事案や前兆事案に対しましても取り締まりを強化、県民の皆さんの安全と安心の確保に努めてまいります。
◎県民文化部長(青木弘)
認定こども園につきまして順次お答え申し上げます。
まず、認定こども園の認可状況等についてでございます。
平成28年度からの開設に向けまして、これまで県に対しまして合計16件の申請届け出があったところでございまして、現在、所要の審査、審議会の開催等の手続を行っているところでございます。なお、平成29年度以降の開設に向けましては、2件の相談をいただいているところでございます。
他県との比較についてでございます。
現在の県内の認定こども園は20カ所でございます。他県との比較では少ないほうでございますが、この20カ所につきましては、平成27年3月に策定いたしました長野県子ども・子育て支援事業支援計画におきます目標数と同じでございまして、今後もこの計画に沿って推進してまいりたいと考えております。
今後の方針についてのお尋ねでございます。
少子化により子供の数が減少する中ではございますけれども、認定こども園には幼児教育、保育の一体的提供や、子育て支援によりまして保護者のさまざまなニーズに対応できること、また保護者の就労状況の変化等によらず柔軟に子供を受け入れられ、集団の規模を確保できるというメリットがございます。こうしたことから、幼稚園及び保育所の希望を十分に勘案した上で、認定こども園の移行を市町村と連携の上で推進してまいりたいというふうに考えております。
市町村の対応等についてのお尋ねでございます。
全ての市町村が子ども・子育て支援事業の実施主体といたしまして、子ども・子育て支援事業計画を策定しております。この計画におきまして、認定こども園を含む提供体制の確保の内容及びその実施時期等を盛り込んだ上で事業の推進をいただいているところでございます。したがいまして、認定こども園の開設等に当たり、この事業計画との調整は不可欠でございまして、認可申請の際には市町村の意見書をいただいているところでございます。
なお、この子ども・子育て支援事業計画につきましては、策定した後も継続的に実施状況の点検評価、見直しを行っていくことが求められておりまして、今後、各市町村におきまして、地域の実情に合った計画となるよう努めていくことを求めていきますとともに、必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。
県の相談体制でございます。
現在、県内10カ所の保健福祉事務所と県庁内の担当課、これはこども・家庭課でございますけれども、におきまして、運営者からの直接の相談にも応じております。今後も、子ども・子育て支援事業の実施主体であります市町村と情報を共有の上、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
◆寺沢功希
ただいま御答弁をいただきました。
県警におかれましては、引き続き県民の安全、安心に対しまして御努力をお願いいたします。
また、認定こども園につきましても、推進という御答弁をいただきました。引き続きお取り組みをお願いいたします。
次に、現在、産業廃棄物処理施設について各地でさまざまな問題が起きております。一般に迷惑施設とされておりますが、現代においてなくてはならない施設であるのも現実です。施設について反対をしている地域住民の方々も、ただ単に自分の住む地域にはだめで、ほかの地域ならよいというわけではなく、必要な施設であると理解した上で、基準に沿ってしっかりと管理された、自然環境や人体に害を及ぼさない施設であれば受け入れるという考えであります。
それゆえ、業者に対し許可を与える県は、厳しい審査をするのはもちろん、その後もしっかりと指導、監督していくことを強く要望いたします。
そこで、環境部長に伺います。
現在、産業廃棄物処理施設設備について、これに特化した基準がなく、一般の設備と同様に建築基準法を適用し、都道府県の多くは、社団法人全国都市清掃会議が定める廃棄物最終処分場整備の計画・設計要領に基づき審査をしていると聞きますが、長野県もこの要領に基づき審査をされ、全ての数値基準のクリアを許可基準とされているのでしょうか。
また、ある廃棄物保管施設の周囲の壁について県が審査した結果、構造耐力上安全であると確認することができない、また、引っ張り力に耐えられる強度があるとはみなせないとしながらも、明確な法違反はないとし、改善命令等の行政処分は行わない、期限を区切った改善計画の提出までは求めないと判断されております。安全が確認できないとは、危険であると言いかえることができると思いますが、それでも行政処分を行えないのであれば、一般論としてどの程度までになれば処分ができるのでしょうか。
さらに、県はこの施設の許可申請時において、既に施工設置済みの設備に対して、図面上の寸法が許可基準に満たないため図面の修正を指導し、結果、業者は設備に手を加えることなく、図面の数値修正のみで申請した疑いがあるようです。これは、大北森林組合問題で言うところの行き過ぎた指導と同じではないでしょうか。
とはいえ、先ほどの認定こども園もそうですが、許可申請において、県の指導がなくては非常に難しいのが現実であります。指導と同時に現場の確認が不可欠と考えますが、今後の許可申請時の指導方法、対応についてどのようにお考えか。お聞かせください。
今月22日に判決が下され現在控訴中のものなど、県は幾つかの廃棄物関連の案件を抱えていると思います。現在の法律上、一度許可がおりると、業務停止、許可の取り消しは難しい状況であり、処分をしたくてもできないというもどかしさがあるのではないでしょうか。
そこで、知事に伺います。
自然豊かなこの長野県こそが、迷惑施設とされている廃棄物処理施設を、厳しい基準をクリアし、環境に害のない施設として、地域住民と共存できる都道府県のフロントランナーとなるべきではないでしょうか。そのために、現在、県には廃棄物の適正な処理の確保に関する条例がありますが、さらに厳格な許可及び取り消し基準を定め、加えることはできないでしょうか。御見解をお聞かせください。
◎環境部長(青柳郁生)
産業廃棄物処理施設について順次お答えを申し上げます。
初めに、許可における基準についてでございますが、産業廃棄物の処理施設等の許可に際しましては、法令に基づき審査し、許可、そして不許可の判断をしております。法令に明確な数値基準が示されていない項目につきましては、議員御指摘の廃棄物最終処分場整備の計画・設計要領も含め、さまざまな文献も参考に審査を行っているところでございます。
続きまして、行政処分の判断基準についてであります。
廃棄物処理法に基準が設けられている施設等につきましては、その基準に違反した場合は、指導または行政処分を行っております。行政処分を行う場合には、個別事案ごとに違反の状況を慎重に調査し、国が示す行政処分の指針に準拠している県の要領に基づき、その内容を判断しているところでございます。
一方で、廃棄物処理法で基準が設けられていない施設等に関し、その構造などが安全であるとは認められないような場合には、法に根拠がないことから行政処分をすることはできませんが、安全性を確保するよう行政指導を行っているところでございます。
続きまして、許可申請時の指導方法と現場確認でございます。
議員御指摘の事案につきましては、事後の変更届について不明確な点を明らかにするため追加の説明を求めたものであり、法令に適合させるために書類の修正を指導したものではございません。
なお、指導と同時に現場の確認が不可欠との御指摘でございますが、例えば施設の新規許可申請であれば、許可後に使用前検査を現地で行うこと、また処分業の更新許可申請であれば、更新前の立入検査を行う、また御指摘の事案のような事後の変更届であれば、届け出の受理後に現場確認のための立入検査を行うなどしているところでございますが、それ以外におきましても、住民からの苦情や通報があれば、その都度立入検査を行っており、今後も適切に対応してまいります。
以上です。
◎知事(阿部守一)
廃棄物処理施設の基準についての御質問でございます。
お気持ちとすれば、寺沢議員の主張されている思いも、私はわからないところもなくはないわけでありますけれども、しかしながら、法令に基づいて仕事をしなければいけないという観点から、まずちょっと法令的なお話をさせていただきたいと思います。
これは、今さら申し上げるまでもないわけでありますけれども、地方自治法におきまして、地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、その事務に関して条例を制定することができるというふうにされています。昭和50年の最高裁判決がありますが、国の法令と条例との関係の判決でありますけれども、条例が国の法令に違反するかどうかについては、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾抵触があるかどうかによってこれを決しなければならないというふうにされています。
廃棄物処理法の目的の一つは、廃棄物の適正な処理等を通じ、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るというふうにされているわけでありまして、こうしたことから、この規制が法と同じ目的で法よりも厳格な基準を条例で設けることは、一般的には法に違反するものというふうに解釈をされています。したがいまして、廃棄物処理法よりも厳格な許可及び取り消し基準を条例で定めることはできないものというふうに考えております。
こうした中で、本県としては、この基準を厳格化するという方向ではなくて、独自に条例をつくる中で、廃棄物処理施設の設置などに当たって、事前に住民と事業者が説明会などの開かれた場において、生活環境の保全等に関して十分なコミュニケーションを行っていただくための事業計画協議制度を設けております。この制度によりまして、処理業者と住民が施設の設置計画をよりよいものにしていただき、また、施設の設置後においても、処理状況の開示等によりまして周辺地域における合意形成を深めつつ、その施設が地域と共存していくことを目指しております。
この法と条例との関係は非常に難しい部分があるわけでありますけれども、長野県としては、こうした法令との関係も十分念頭に置きながら、しっかりと事業者と住民とのコミュニケーションが行われるように、これからも取り組んでまいりたいというふうに考えております。
以上です。
◆寺沢功希
引き続き、適正な対応をお願いいたします。
次に、昨年8月に決定しました中信地区特別支援学校再編整備計画に基づき、現在準備が進められ、この4月より本格的な再編整備がスタートする予定となっております。この計画については、9月定例議会において質問をさせていただき、さまざまな関係者の意見聴取を行うとともに、相当な議論を重ねながら慎重かつ丁寧に検討が進められた結果の計画であり、松本養護学校の過大化、過密化の解消を初めとする中信地区の特別支援学校が抱えるさまざまな問題に対して、その場しのぎでない抜本的な再編整備を行うものだと捉えておりましたが、現場では早くも問題が生じているようであります。
松本養護学校において、この4月の新入生の数が計画策定時の予想を20名ほど上回り、教室が足りず、急遽、隣接する今井小学校の教室を利用する方向で松本市と協議中であるとお聞きをしました。
そこで、教育長に伺います。
そもそも、このようなことがないように計画策定段階では綿密な調査が行われたものと思っておりましたが、実際は、どこが責任を持ち、どのような調査が行われたのでしょうか。
また、現時点では来年度以降もこのようなことが起こる可能性は否定できません。その場合はどのように対応するおつもりでしょうか。
根本的に、今後の児童生徒数の推移に対しての再調査、さらには整備計画の修正を行う可能性はあるのでしょうか。
また、生徒児童数が予想を上回ったことにより、教室の不足以外にも、例えば今ですら不足しているスクールバスですので、利用できない子供たちが出てきてしまうといった問題が生じる可能性があります。現時点で考えられる問題点、またそれに対する対応策をお聞かせください。
◎教育委員会教育長(伊藤学司)
松本養護学校に関しますお尋ねに順次お答えを申し上げます。
まず、松本養護学校の児童生徒数の見込み、どのようにその見込みを出したのかというお尋ねでございますが、松本養護学校の児童生徒数は、平成24年度をピークに横ばいで推移しており、少子化による児童生徒の総数が今後大幅に減少していく見込みの中で、県教育委員会としては、一時的な児童生徒数の増減はあり得るものの、中長期的には横ばいから微減で推移すると見込み、再編整備計画を策定したところでございます。
新年度の松本養護学校の児童生徒数は、高等部はおおよそ見込みどおりでございましたが、小中学部に新たに就学する子供が予想以上に増加をしたところでございます。この要因といたしましては、特別な支援を必要とする児童生徒の就学先は保護者の希望を最大限に尊重し決定する制度となっており、そうした中、全県的には特別支援学級を志向する保護者が近年多くなっているんですが、今年度の松本地区では、早い段階から特別支援学校で手厚い教育を受けさせたいという保護者が例年以上に多かったことによるものと認識をしてございます。
次に、児童生徒数の今後の見込みと再編整備計画の修正についてのお尋ねでございます。
ただいま申し上げましたとおり、現在の制度では、特別な支援を必要とする児童生徒の就学先については、保護者の希望を最大限に尊重し決定する制度となってございますので、29年度以降の入学予定者を現時点で正確に推計することは困難ではございますが、関係する市町村教育委員会からの聞き取りや学校に寄せられる教育相談の状況を見る限り、入学者が今後も28年度と同じようなペースで増加していくことは想定しがたいところでございます。
市町村教育委員会とも連携し、今後の就学動向を注視し、状況によって柔軟に対応していく必要があると考えてございますが、来年4月に松本盲学校内に設置する高等部分教室や寿台養護学校を含め、重度・重複障害部門における児童生徒の受け入れが進むことから、現時点では再編整備計画の見直しが必要とは考えてございません。
次に、新入生の増加による問題点と対応策についてでございます。
児童生徒数の増加を踏まえ、松本市の協力により、隣接する今井小学校の一室を高等部の作業室として利用させていただくほか、必要な教員の配置や学習用品の購入、給食提供数の増など、新年度の学習に支障がないよう必要な対応を進めているところでございます。
また、スクールバスを4台運行してございますが、既に保護者の都合等をお聞きしながら通学手段の調整を行い、保護者が送迎する場合についても燃料代等の費用は公費で負担し、保護者に負担が極力かからないように取り組んでいるところでございます。
来年度の学校運営に支障は生じないものの、もとより松本養護学校の過大化、過密化の解消は喫緊の課題であることから、再編整備により望ましい教育環境が実現できるよう、計画に基づく取り組みを早急に進めてまいります。
◆寺沢功希
ただいま答弁をいただきました。
保護者の希望が最優先ということでありますが、今年度のようにこんなぎりぎりになって違いが出てくるということが非常に残念なことであります。来年度からはもっと早い段階から保護者に調査をするとか、そこら辺の変更を考えておりませんでしょうか。再度教育長にお伺いします。
昨年の9月定例議会にて総合教育会議について質問させていただき、知事より、新しい総合教育会議の場も十分活用しながら、教育委員会とはこれまで以上にしっかりと連携、協力しながら、特別支援教育の充実、そして学校施設のあり方を一緒に考えていきたいと答弁をいただきました。
特別支援学校の施設整備費が来年度予算において3倍になっているということは、この会議において十分に議論が行われた結果であると評価するところでありますが、一方で、いよいよスタートする再編計画において、たとえ小さいこととはいえ、つまずきがあることは非常に残念であります。
そこで、知事に伺います。
総合教育会議において、特別支援教育の充実についてどのような議論を行い、この会議をどう活用して充実を図っていくお考えか。御所見をお伺いいたします。
◎教育委員会教育長(伊藤学司)
療育をもっと早い段階からの適切な把握をというお尋ねでございます。
私どもも、しっかりと早い段階から教育相談を行いながら、また地元の市町村教育委員会とも連携、情報の共有を図って、できる限り速やかに情報の把握に努めていきたいというふうに思ってございます。最終的には、やはりお子さんをお持ちの保護者の方、途中段階はかなり揺れる部分もございまして、最終の決断というのは遅くなってしまう面もあるわけでございますが、できる限り早い段階からの教育相談を充実し、適切な把握に努めてまいりたいと思っております。業務、居住地やこれまでの赴任地、学校全体の年齢構成等さまざまな事情を考慮し、適切な学校運営ができるように決定しているところでございます。
◎知事(阿部守一)
特別支援教育の充実に向けた総合教育会議の活用についての御質問でございます。
私は、どんな子供たちも、一人一人の子供たちがその持つ能力、個性をしっかり発揮してもらえるような環境をつくっていくということが大変重要だと思っております。そういう中で、特別支援教育も重要なテーマだと思っております。
総合教育会議におきましては、これまで障害のある子供たちへの部局を超えた一貫した支援の必要性でありますとか、あるいは就労支援の充実、また学校現場、教員だけではなく、専門人材、あるいはボランティアの皆さんがかかわっていただくことで教育活動を充実させていくべきといったような、子供たちの学ぶ力、あるいは環境の整備、こうしたことについて意見交換させてきていただいております。
こうしたことも踏まえて、現在、毎年度特別支援学校の教員は計画的に増員中でありますし、また就労コーディネーターの配置、あるいは来年度予算においては特別支援学校の修繕、環境改善のための予算を大幅に増額をさせていただく中で、ソフト面、ハード面、両面で充実に取り組んできております。
やはり障害がある子供たちには切れ目のない支援をしていかなければいけないと。生まれたときから就学期、そして就労まで一貫した支援が必要だというふうに思います。その中に特別支援教育があります。また、障害を持つ子供たちに対しては、教育の場ということだけじゃなくて、やはり福祉的な対応、医療面での対応、こうしたことが大変重要だというふうに思っております。
そういう意味で、今まで、どちらかというと特別支援学校は教育委員会中心、教育委員会の視点だけで考えていましたけれども、今後、この総合教育会議の場も十分活用する中で、福祉、医療を初めとして、知事部局のさまざまな施策とも連携して、教育委員会と知事部局がしっかりと一体となって、障害がある子供たちがその能力を最大限発揮してもらうことができるような環境づくりに取り組んでいきたいと考えております。
以上です。
◆寺沢功希
誰でもない、子供たちを第一に考えた取り組みをぜひともよろしくお願いいたします。
最後に、昨年12月、ストレスチェック制度が施行されるなど、年々心の病を訴える方が増加しており、教育現場におきましても同様に、さまざまな要因により病を訴える教職員の方がいらっしゃると聞いております。
そこで、教育長に伺います。
今年度の心の病を訴えての教職員の退職、休職、また相談者の数はどのような状況で、義務教育、高等学校、特別支援学校の割合はいかがでしょうか。
また、現状、心の病等を抱えつつ、年度を超えて断続的に休職もしくは療養休暇等を重ねる教職員がおられると聞きますが、その状況はどのようなものでしょうか。加えて、仮にこれらの数がふえているとすれば、県はどこに課題があると捉えていますでしょうか。
さらに、県の進める復帰プログラム等を通じて、心身の不調を経験されながらも、その後安定して現場で勤務を重ねられている教職員の方はどの程度いらっしゃるのでしょうか。お答えください。
◎教育委員会教育長(伊藤学司)
心の病により退職、休職した教職員数等についてのお尋ねに順次お答えを申し上げます。
心の病により退職、休職した教職員数でございますが、今年度2月1日までに、主に精神疾患を理由に退職した者は10人でございまして、年度中途の退職者全体33人のうち、30.3%を占めているところでございます。その内訳は、義務教育段階が6人、高等学校と特別支援学校がそれぞれ2人ずつでございます。
また、主に精神疾患を理由に休職した者は82人でございまして、休職者全体109人のうち、75.2%を占めているところでございます。その内訳は、義務教育段階が57人、高等学校が15人、特別支援学校が10人でございます。
県教育委員会の保健厚生課が受け付けた相談件数でございますが、本人のほか学校長等からの相談もあるため、人数ではなく件数として把握しておりますが、今年度2月1日までに受け付けた精神面の相談件数は352件で、全相談件数370件のうち95.1%を占めているところでございます。その内訳は、義務教育段階が191件、高等学校は104件、特別支援学校が57件でございます。
次に、心の病により休職、療養休暇を重ねる教職員の状況についてのお尋ねでございます。
ただいま申し上げました本年度2月1日までに精神疾患を理由に休職した教職員82人のうち、過去に精神疾患を理由に休職や30日以上の長期療養休暇の経験がある者は32人で、その内訳は、義務教育が22人、高等学校が7人、特別支援学校は3人となっているところでございます。
次に、心の病に至る要因でございます。
心の病に至る要因は、個々それぞれ大変多様ではございますが、私どもが行ってございます相談者からの聞き取り等によりますと、その主な要因といたしましては、例えば業務の多忙化、多様化によるストレスが増大している、児童生徒や保護者との関係で悩んでいる、また教職員同士の人間関係を含む職場環境に悩んでいる、加えて個人的な事情などがあり、これらの要因が複合的に重なっているものと考えてございます。
次に、心の病から復帰した職員の状況でございます。
精神疾患による休職から復帰した教職員数は、平成26年度は30人、平成27年度は2月1日現在、38人でございまして、復帰後においても本人の希望に応じ相談を行いながら、安定した勤務を継続できるよう支援をしているところでございます。
以上でございます。
◆寺沢功希
ただいまの数をお聞きし、やはり義務教育段階で非常に多いなという印象を受けたわけでありますが、病の原因は職場環境、人間関係、子供たち、そして保護者と、さまざまであると思います。その中で、病を抱え、それを訴えたとき、周囲の早期で的確な対応が重要であると考えます。しかし、現実には、不調を訴えても、現場責任者、または市町村教育委員会等がさまざまな理由によりすぐに対応せず、それまでと同様の勤務を強いることもあるようであります。その結果、病の悪化はもちろんですが、最終的には子供たちに影響や被害を与えてしまうのではないでしょうか。
そこで、教育長に伺います。
特に、小中学校において教職員が心の病等を訴えた場合、学校、市町村教育委員会、県教育委員会はそれぞれどう対応することとなっているのでしょうか。また、当然小中学校については、市町村教育委員会が現場の状況を把握していると思いますが、県教育委員会への状況の報告、それぞれの情報共有はどの程度行われているのでしょうか。
加えて、そもそも県の組織として、県教育委員会のもと、各地域に教育事務所がありますが、そこで組織体系としては途絶えてしまいます。県の採用による県費負担教職員が現場にいながら、現場と県教委のつながりが曖昧なところに問題はないのでしょうか。先ほどの特別支援学校の問題もそうですが、このしっかりとした縦のつながりがないことがそれぞれの立場という状況を生み、結果、県が把握する情報と現場の実情が違うというような問題が生じるのではないでしょうか。法律等さまざまな問題があるとは思いますが、教育県と言われる長野県において、独自に現状の県、市町村、現場の縦のつながり、教育委員会の組織、制度について改革するお考えはありませんでしょうか。御見解をお聞かせください。
◎教育委員会教育長(伊藤学司)
順次お答え申し上げます。
まず、教職員が心の病を訴えた場合の対応についてでございますが、これは小中学校におきましては、学校ではまず管理職が当該教職員の話を丁寧に聞き、学校医やスクールカウンセラーなど専門家も相談に乗りながら、必要に応じて専門医につなぎ、その診断をもとに当該教職員の公務の軽減を図るとともに、本人の意向を踏まえ、療養休暇等を取得させているところでございます。
また、病状が重かったりある程度の療養期間を要したりする場合には、校長は当該教職員について市町村教育委員会に連絡し、さらに市町村教育委員会は、教職員の療養休暇が1カ月以上となる場合には、児童生徒の教育活動に支障が生じないよう、代替者の任用に係る内申をする必要がございます。また、休職が必要となる場合には、休職に係る内申をそれぞれ県教育委員会に対して行っているところでございます。県の教育委員会では、市町村教育委員会からの内申を受け、代替者の任用や休職の手続を行うとともに、当該教職員に対する職場復帰訓練や、校長に対する職場環境改善等への支援のための管理監督者メンタルヘルス相談等を実施している、こういう流れになってございます。
次に、県教育委員会への市町村からの状況の報告や情報共有についてのお尋ねでございます。
ただいまお答えを申し上げましたとおり、県の教育委員会では、療養休暇が1カ月以上となる教職員について代替者を任用する必要が生じる場合や、教職員に休職が必要となる場合などについて、該当する教職員の情報が市町村教育委員会から県教育委員会に伝えられ、市町村教育委員会との情報共有を図っているところでございます。
次に、現状の県、市町村、現場の連絡体制、さらに教育委員会の組織や制度の改革についてのお尋ねでございます。
市町村立小中学校の教職員にかかわる休暇制度などの服務監督につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づき、市町村教育委員会の権限と責任で行うとともに、県費負担教職員制度のもと、休職などの任免にかかわるものについては、県教育委員会と市町村教育委員会が情報を共有し、県教育委員会の権限と責任のもとで適正に行う制度となってございます。
なお、県費負担教職員制度は、市町村立小中学校の教職員であっても、県教育委員会がその任免を行うことになっているために、服務監督権者と任命権者が異なるという複雑な制度になっているところでございますが、これは市町村の規模や財政力によらず、全県的な教育水準の維持向上を図るために、必要な教職員を確保する上で必要な制度として設けられているところでございます。特に、小規模市町村の多い本県におきましては、この制度のもと地域に密着した教育が進むよう、より一層市町村教育委員会と連携を図っていくということが必要ではないかというふうに思ってございまして、その情報の共有、さらに教職員の人事などについては、市町村教育委員会の意見も聞きながら、また市町村長の御意見も聞きながら、今まさにその改革を進めているところでございますが、こうした大きな制度を踏まえながら、小規模な町村であってもしっかりと教職員を確保できるよう、私ども全県の教育水準の維持確保に向けて今後とも取り組んでまいりたいと思っております。
◆寺沢功希
大人の都合で子供たちが受ける教育に影響が出ることがないよう、強く要望をいたします。
最後になりますが、伊藤教育長におかれましては、長野県の教育行政に御尽力をいただきまして、大変ありがとうございました。今後のますますの御活躍を御期待申し上げまして、私からの全ての質問を終わります。