平成28年9月定例県議会 発言内容(埋橋茂人議員)


◆埋橋茂人

   

 続いて、山本健康福祉部長に、全国の厚生行政に携わられてきたお立場も含めてお伺いをしたいというふうに思います。

 健康長寿を目指す上で大変重要ながん検診の向上対策について伺います。

 2007年に施行されたがん対策基本法に基づき、がん対策推進基本計画が策定され、全体の目標の一つとして、がんによる死亡者の減少が掲げられました。また、各都道府県では、国の計画を基本として、都道府県がん対策推進計画を策定しました。そのときに採用された指標であります75歳未満年齢調整死亡率によれば、長野県は、法施行のずっと以前、統計のある1995年以降、がんによる男女計の死亡率は全国で最低でありました。それも、圧倒的に低く、まさに全国に誇るべきものと考えますが、その要因は何であるとお考えですか。

 一方で、平成25年実施の国民生活基礎調査によれば、男性では胃がん、肺がん、大腸がん検診の受診率は4割程度であり、女性では乳がん、子宮頸がん検診を含めた五つのがんの検診率は三、四割程度となっています。ちなみに、欧米では検診率は70%以上に上り、子宮頸がんに至っては米国では85.9%、英国でも80%以上の女性が検診を受けています。しかし、日本では24.5%にとどまっています。重篤な副作用が明らかになった子宮頸がんワクチンの投与には1,000億円以上を要しているとのことですが、検診のほうが効果が高い上、リスクが少なく、かつ低コストだと思います。県の5対象がんの検診率と長野県の全国順位はどうなっているか、お答えをいただきたいと思います。

 二つ目に、がん検診率とがん死亡率には相関関係があると考えられますが、その辺はいかがか、所見をお伺いします。

 また、この相関関係について分析する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

 さらに、がん検診率向上策と県の目標検診率を伺うとともに、直接県は保険者ではありませんが、県の果たすべき役割をどうお考えか、伺います。

 あわせまして、検診費用負担の国、市町村の割合と仕組みはどうなっているのか。また、市町村の受診率向上に向けた特徴ある取り組みを例示いただければと思います。

 以上です。

      

◎健康福祉部長(山本英紀)

 

 長野県のがん検診、がん対策に関する御質問に順次お答えさせていただきます。

 まず初めに、75歳未満年齢調整死亡率が全国最低の要因についてのお尋ねでございます。

 がん死亡者数が最も多い肺がんの死亡率が全国で最も低くなっていることが長野県のがん全体の死亡率が低いことに影響していると考えております。また、国立がん研究センターは、毎年都道府県別75歳未満年齢調整死亡率を公表する際、死亡率が低い要因や高い要因について直接コメントはしておりませんが、がん死亡率が低水準になるには、適切な生活習慣による発症予防、がん検診による早期発見、医療機関における適切な診断、治療が関係していると考えられます。

 生活習慣に関しましては、がんになるリスクは、禁煙、適量飲酒、食生活、活発な身体活動、適正体重の維持の五つの健康習慣を実践することで約40%低下するとされております。長野県の住民の方々は野菜摂取量が男女とも全国1位、男性の喫煙率が全国で4番目に低いなど、食塩摂取量が多いことを除き、健康的な生活習慣を実践していることが知られております。また、がん検診の受診率についても、5大がん全てにおいて長野県は全国10位以内となっております。

 長野県の低いがん死亡率とこれらの要因との関係について、統計学的に完全に説明することは困難でございますが、こうした要因に加え、がん診療体制が整備されていることが関係しているのではないかと考えております。

 続きまして、厚生労働省が実施した平成25年度国民生活基礎調査によると、長野県のがん検診の受診状況は、胃がん46.7%で全国8位、肺がん50.2%で全国10位、大腸がん44.3%で全国6位、子宮頸がん38.2%で全国4位、乳がん39.2%で全国10位という状況となっております。死亡率の低い都道府県は、総じて受診率が高い傾向にありますが、都道府県別の受診率と死亡率のみをもって相関関係を説明することは難しいと考えております。

 その一方、がん検診の受診と死亡率の低下の関係につきましては、さまざまな研究がなされており、国立がん研究センターは、佐久地域も参加する追跡調査を実施しており、この調査によれば、胃がん、大腸がんについてはがん検診の受診により死亡率の低下が認められております。

 また、同センターが本年1月に公表した5大がんのステージ別の10年相対生存率を見ると、早期がんであるステージⅠの生存率が69.3%から96.8%であるのに対し、進行度が最も高いステージⅣでは3.7から15.6%と明らかに低くなっており、症状があらわれる前にがんを発見することができるがん検診の受診と死亡率は相関関係があることを裏づけていると考えております。

 本年1月から全国がん登録が開始されており、その中で、がん検診における早期発見であるか否かなどの発見経緯も届け出されていることから、今後がんの罹患、診療等に関する全国的な情報が蓄積されることにより、相関関係等についても調査研究が進められるものと考えております。

 次に、がん検診の受診率の向上については、長野県がん対策推進計画において、胃がん、肺がん、大腸がんは40%、子宮頸がん、乳がんは50%を数値目標として掲げ、長野県がん対策推進条例で定めるがんと向き合う週間を中心に、講演会や街頭啓発など市町村や地域の企業、団体等と連携して普及啓発に努めているところであります。

 がん検診は、健康診査管理指導等事業実施のための指針に基づき実施しており、県は、市町村や検診実施機関に対して、がん検診の実施方法や精度管理のあり方等について専門的な見地から適切な指導を行う役割を担っております。

 がん検診に係る経費は、平成10年度に国庫補助制度の廃止に伴い一般財源化されており、国はがん検診事業に要する標準的な財政需要を基礎として算定し、市町村に対して交付税措置を行っております。

 市町村における特徴ある受診率向上の取り組みとしては、複数部位のがん検診や特定健診との同時実施、休日実施など、受診の利便性の向上に係る取り組みや、大腸がん検診に関する説明イラスト入りのトイレットペーパーの公共施設への備えつけや、保育園児が描きました受診勧奨の絵の配布などがございます。

 以上でございます。

      

◆埋橋茂人

 

 続いて、介護予防・日常生活支援総合事業、新しい総合事業について伺います。

 国は、団塊の世代が後期高齢者に入る2025年を見据えまして、地域包括ケアシステムの構築に向け、医療、介護、介護予防、生活支援を切れ目なく提供できる体制と地域づくりを目指しています。このうち、介護予防、生活支援は、新しい総合事業として、平成29年4月1日までに全ての市町村で実施することが国から義務づけられています。なお、この新しい総合事業の担い手は、それぞれの地域の老人クラブ、自治会、ボランティア、NPO等とされております。

 そこで伺います。

 各市町村における平成29年4月1日に向けた準備状況はどうなっていますか。

 二つ目として、検討が進められている市町村においても、現在の介護サービス機関による提供が中心と言われておりますが、実態はどうでしょうか。

 課題として、新しい総合事業の担い手とされる、先ほど申し上げた老人クラブ以下だけではノウハウ等の不足が理由で限界があるというふうに思われます。地域によっては、地域づくり協議会等を設置し検討を進めているところもありますが、医療、介護の専門家が参画しているかどうか伺います。

 ある施設の責任者に伺ったところによれば、新しい総合事業の担当部署と介護保険事業の担当部署が異なるため、総合的な検討が行われていない状況があるとのことであります。医療、介護の専門家が中心となり総合事業の検討を進めるべきであるが、そうなっていないのが現状であります。総合事業のキーワードの安心な地域づくりという大切な部分が置き去りにされていると言わざるを得ません。

 国の示す総合事業の担い手では、月一、二回のサービス提供が限界で、事業化には無理があると考えます。また、新しい総合事業は、利用者がサービスを受けに行くことが前提になっています。それでは認知症等で一人では動けない方たちの対応が十分にはできません。個人情報保護法の壁で、独居のひきこもり老人の状況が民間には把握できなくなっている現実もございます。このままだと、総合事業の対象者であります要支援1、2の方のサービスに地域により大きな質、量の差が生まれると懸念されます。県として的確な現状把握と市町村への積極的な働きかけをすべきではないかと考えますが、県の考え方をお示しいただきたいと思います。

 続いて、中山間地の訪問看護・介護への支援対策を伺います。

 中山間地の訪問看護・介護については、都市部と異なり、移動距離、時間が長い上、過疎地も大変多いのが実態です。県内の現状はどうなっているか、お示し願います。

 六つ目として、看護師、介護士の職場環境への支援対策についてお尋ねします

 一つとして、ワーク・ライフ・バランスの推進を図り、看護・介護福祉士に対する育児休暇、介護休暇支援等、スキル維持対策、復帰対策を総合的に構ずべきだと考えます。環境改善支援センターの設置を予定しているとのことでしたが、現状について説明をください。また、短時間勤務への支援と補助が必要だと思いますが、県の考え方はいかがでしょうか。

 以上、山本健康福祉部長にお願いします。

      

◎健康福祉部長(山本英紀)

 

 新しい総合事業の準備状況等の質問について順次お答えさせていただきます。

 まず初めに、新しい総合事業の準備状況でございますが、ことし8月に県が実施した調査では、県内63保険者のうち既に移行済みが15保険者、今年度中に移行予定が8保険者、平成29年4月に移行予定が40保険者であり、それぞれ準備が進められております。

 サービスの内容については、移行済みの15保険者では、従来と同じサービスについて全ての保険者で実施されており、加えて、従業者の資格要件等を緩和したサービスについては14保険者で、ボランティアなど地域住民の活動を活用したサービスは4保険者で実施されております。また、現在移行に向けて検討を進めている48保険者では、サービス提供を担う機関について、地域住民の活動を活用したものを初め、既存の介護保険事業者も含めて検討している段階でございます。

 次に、新しい総合事業の検討への医療・介護専門家の参画状況についてでございます。

 県としては、医療、介護の関係者など地域の多職種の関係者の意見を取り入れつつ事業を構築していくことが重要と考えており、医療、介護の関係者が参画している地域ケア会議を活用するよう、移行に向けた情報交換会や文書により保険者に依頼をしております。

 移行済みの保険者では、朝日村は地域ケア会議を活用して検討を行い、事業を構築し、松本市、駒ヶ根市等8市町村では、保健師や介護支援専門員が配置されている地域包括支援センターが検討に参画しております。新しい総合事業を効果的に実施していくためには、移行後も医療・介護関係者との連携が重要であり、引き続き医療・介護関係者との連携を促進するための働きかけを会議や研修会を通じて行ってまいります。

 新しい総合事業の現状把握については、先ほどお答えしたとおりでございますが、市町村への働きかけといたしましては、全ての保険者が円滑に新しい総合事業に移行できるよう、県内で最初に移行した御代田町の協力を得て、移行するまでの手順や留意事項等について、研修会を平成27年10月に開催するとともに、全県及び広域単位で保険者間の情報交換会を計9回開催しております。また、地域の資源を活用しつつサービス提供体制の整備を行う生活支援コーディネーターの養成研修を平成27年11月に開催するとともに、サービス提供を検討しているNPO法人や宅幼老所とサービスの担い手の確保を考えている市町村とのマッチングのための研修会をことし8月に開催いたしました。

 今後も、こうした取り組みを継続して実施するとともに、進捗状況の確認や相談に対する助言を行い、地域において必要なサービス提供体制が構築されるよう支援してまいります。

 次に、中山間地域の訪問看護・介護の実態については、現在、県内で訪問看護ステーションがない市町村は32町村、訪問介護サービス事業所がない市町村は10町村であり、これらの地域では、当該町村外の事業所によりサービスが提供されている状況であり、介護サービスの提供体制の確保、維持が重要な課題となっております。

 これまで、県では、市町村や各地域の事業所を訪問し、意見交換等を行ってまいりましたが、その中で、中山間地域や過疎地域については、利用者宅までの移動距離や時間が長く、かつ集落が点在しているため、サービス提供が非効率であることのほか、利用者の減少、夜間や冬季における自動車運転の危険性、人材不足などの課題をお聞きしております。さらに、実態を把握するため、過疎地域に住む高齢者にサービスを提供している訪問看護ステーション、訪問介護事業所などを対象に現在アンケート調査を行っており、その結果を踏まえて支援策について検討してまいります。

 医療勤務環境改善支援センターの現状についてのお尋ねがございました。

 医療法に基づく医療勤務環境改善の支援拠点として、長野県医療勤務環境改善支援センターを、本年2月、医療推進課内に開設いたしました。支援センターには、経営面からの助言を行う医療系アドバイザーを配置し、労務管理面を中心とした相談に応じる医療労務管理アドバイザーと連携して医療機関からの相談に対応しております。今年度は、支援センターの業務内容等の周知を図るため、5月から7月にかけて病院管理者向けの説明会や事務長、看護師長などを対象とした事例演習方式のセミナーを計5会場で開催し、多くの参加者から参考になったとの声をいただきました。

 現在、改善を希望する医療機関への戸別訪問を行っており、抱える課題等についての意見交換や県外の取り組みに関する情報提供を行っております。今後は、個々の医療機関の取り組み事例を収集し、医療機関に積極的に提供するなど、さらに医療機関における勤務環境改善に向けた取り組みを支援してまいります。

 短時間勤務への支援については、看護職種に関しましては、これまで新たに短時間正規雇用等を導入する医療機関への助成などに取り組んでおり、多くの医療機関で短時間勤務制度など多様な勤務形態が導入されております。現在は、制度の活用をさらに進めるため、医療機関への好事例の紹介や導入に向けたアドバイス、看護部長等の会議や研修会での県内の取り組み状況の情報提供などを行っております。

 また、介護職員に関しましては、働きやすい環境づくりを支援するために、社会保険労務士などの専門家を派遣する事業を通じて、短時間勤務制度の導入や利用を促すなど、個別に支援を行っているところでございます。加えて、介護人材の定着を支援する事業説明会においても、各機関が実施しております雇用管理改善のための講習会や相談事業等の紹介を行っているところでございます。

 今後も、関係機関と協働して、看護・介護職種が働きやすい環境の整備を支援してまいります。

 以上でございます。

      

◆埋橋茂人

 

 お答えをいただきました。

 要望として、働く方々の子育て環境整備として、病児保育の取り組みが非常に重要であります。子供が病気になった際、遠慮なく仕事を休めることが最善であるのは言うまでもありませんが、どうしても仕事へ行かなければならない方々にとって、病児保育はセーフティネットです。近隣市町村との利用協定やファミリー・サポート・センターでの取り組みを含め、現在、県内59の市町村で病児保育の利用が可能となっていますが、利用形態や利用料金の違い、無料のところもあれば、有料のところもあるなど、施設間に差があります。県のさらなる支援により、市町村における取り組みが充実し、使い勝手がよくなり、看護・介護職員が生き生きと働き続ける環境づくりが進むように要望し、次の質問に移ります。

 続いて、TPP対策について伺います。

 TPPについては、今臨時国会の最大課題となっています。交渉参加国で最も貿易量が多く、TPPの主導国で、グローバリズムの本家本元とも言うべき米国の民主党クリントン、共和党トランプ両大統領候補ともTPP反対の見解を表明しています。また、英国のEU離脱が決まり、グローバリズムへの流れに変化が生じています。そんな中、米国が批准しなければ発効しないTPPに日本が先行して批准しようとすることに大きな疑問を持っているのは私だけではございません。

 続いて、この件に関して、情報開示と対応策について小岩企画振興部長に説明を求めます。

 TPPにおける正文と言っている公式言語に日本語が入っておりません。大筋合意内容を確認、検証するのは非常に困難になっています。交渉参加国で日本は米国に次ぐ2番目の貿易量であり、日本が批准しなければTPPは発効しないにもかかわらず、日本語が公式言語に採用されていません。正文は英語、スペイン語、フランス語ですが、交渉国でもないフランスの国語であるフランス語が採用されており、私は疑問に思っておりました。協定には、中央政府のほかに地域政府という概念が設けられていて、フランス語が英語と並んで公用語になっているカナダのケベック州が地域政府に該当し、それに対応するものだと聞きました。これでは貿易量2番目の日本はカナダの1州以下ということになりますし、日本の都道府県は残念ながら地域政府の範疇には入っておりません。

 また、英文の協定書にアクセスすると、ニュージーランド政府のホームページにリンクが張られているのが現状です。日本語で交渉し、英語で正式文書となり、再び和訳されて今TPPの協定文書が公にされているという実態です。加えまして、政府のTPPに関するホームページを見ても、日本語訳で30章、2,897ページに及ぶ膨大な内容です。とても読み切れません。一例を挙げれば、第2章「内国民待遇及び物品の市場アクセス」の附属書2―D「日本国の関税率表譲許表」だけでも988ページにもなります。これでは、大筋合意の内容の検証、確認をしようにも、膨大な労力と日数を要し、十分な論議のベースが整っているとは到底言えるものではございません。県当局にはどのレベルまで開示され、どのように説明され、県当局ではどのように分析、検討されているのか伺います。

 続いて、農業関係について北原農政部長にお尋ねします。

 農業に大きな影響が出ることは、国も県も影響額試算の多寡は別にして認識されているところですが、昨年10月15日に設置された県のTPP農業分野等対策本部で論議されていることの概要と重点対策を説明いただきたいと思います。特に、マイナスの影響が必至な米、果樹、畜産、酪農について、県の基本的な対応策をお聞かせいただきたいと思います。

      

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 TPPに係る国からの情報開示と分析、検討状況についての御質問でございます。

 国は、交渉過程におけるやりとりの一部を除き、概要資料、協定本文及び日本にかかわる附属書の英文及び和訳文、関税交渉の結果、Q&Aなど関連情報を全て開示しているとしております。また、これらの資料や総合的なTPP関連政策大綱、経済効果分析等の内容につきまして、都道府県担当者を対象に、これまで複数回の説明会が開催されております。県では、これらの国の情報に基づき、農林産物の生産額の影響について分析し、その対応方針について、TPP農業分野等対策本部において本年2月に決定したところでございます。

 今後とも、引き続きTPPをめぐる動向を注視していくとともに、国からの情報開示など必要な情報収集に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

      

◎農政部長(北原富裕)

 

 県の農業分野におけるTPPへの対応についてでございますが、昨年10月5日の大筋合意を受け、10月15日に長野県TPP農業分野等対策本部を設置して以降、3回の本部会議を開催し、情報の収集と関係部局での共有、県民への正確な情報提供、また、今後の対応方針等について協議してきております。

 本部会議での議論を踏まえ、本年2月8日に、農林業への影響緩和、攻めの農林業を展開するための体質強化、県産農産物等のブランド化と輸出・地産地消の促進、この三つの視点に立ったTPP協定に係る農林業分野対応方針を策定いたしました。この対応方針では、品目別に具体的な対策を明示し、米については、中心的な担い手への農地集積と生産コストの削減、果樹については、県オリジナル品種の生産拡大と長期出荷体制の整備、畜産については、経営の規模拡大とブランド化の推進などを柱としまして、生産対策、流通対策、販売対策を一体として進めることとしております。

 今後とも、農業者の皆様の声をお聞きし、県単独事業も含め、追加的な対策も検討しつつ、本県農業が持続的に発展できるよう取り組んでまいります。

 以上でございます。

      

◆埋橋茂人

 

 お答えをいただきましたけれども、国の情報開示がおくれ、また膨大な中で、恐らく論議をしていくのは非常に難しいものがあろうというふうに思います。国は国として、県は県として、ちゃんとした分析に基づいて対応策を講じていただくことをお願いして、次の質問に移ります。

 最後に、雇用の質の向上対策について、石原産業労働部長にお伺いします。

 有効求人倍率が1倍を超え、数字上は雇用状況が改善しているように見えますが、長野県の新規求人数に占める正社員の割合は全国平均の40%台より低い30%台にとどまっています。ちなみに、7月は、全国が43.0%に対し長野県は35.2%で、全国順位は46位と非常に低く、要するに後ろから2番目であります。6月の44位からさらに低下しています。

 職場いきいきアドバンスカンパニーについても、さきの県の施策のKPI中間指標でも道半ばとの評価でした。経済の実態はデフレに戻ってしまったとの声も実際に商売している方たちから聞くことが多くなっています。年金や担税力にも大きな影響のある雇用の質の改善策について、現下の情勢を踏まえてどう臨むのか、見解と具体策を示していただきたいと思います。

 二つ目、正社員有効求人倍率が全国で沖縄県と長野県のみ非公表ですが、労働局からその理由を聞いているか伺います。さまざまな施策を実施するには、正確な数字に基づいて判断することが重要であり、公表するよう県から申し入れを行うべきではないかと私は考えますが、県当局のお考えはいかがですか。お答えをいただきたいと思います。

      

◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)

 

 御質問2点、順次お答えいたします。

 まず、雇用の質の向上対策についての御質問でございます。

 雇用環境が好転してきております今日、雇用対策も量から質にバランスをとるべきと考えております。新規求人数に占める正社員の割合は議員御指摘のとおりでございますが、実際に働いている方々におきましても、非正規労働者の割合は24年調査で39%、約4割となっております。非正規労働者につきましては、雇用が不安定、賃金が低いなどの課題があることから、少なくとも、正社員を目指したがやむを得ず非正規となっている方々を早期に解消する取り組みを進める必要があると考えております。

 そのためには、求人側と求職側、双方からのアプローチが必要でございます。求人側への対策といたしましては、まずは長野労働局と連携して、経済4団体に対しまして新規学卒者の正社員の採用拡大や非正規労働者の正社員化などの働きかけを行っております。また、多様な働き方の導入により、正社員を確保した企業を県が認証する職場いきいきアドバンスカンパニー制度の一層の浸透も図ってまいります。

 一方、求職側への対策といたしましては、若者や子育て中の女性を対象に座学と実習をあわせ、直接正規雇用に結びつける県事業を継続して行うとともに、若者の就職支援を行うジョブカフェ信州の強化策といたしまして、上田サテライトに引き続き、来月銀座サテライトも開設する予定でございます。

 雇用情勢は、全国的な景気動向に影響されやすい面がございますが、こうした取り組みを粘り強く行うことにより、正規雇用の増加、雇用の質の向上につなげてまいりたいと考えております。

 次に、雇用情勢の指標についての御質問でございます。

 議員御指摘のように、長野労働局が発表する毎月の雇用情勢の公表資料には、長野県の正社員有効求人倍率の記載がございません。しかし、労働局の記者会見時には口頭で発表していることから、公表資料においても数字が確認できるよう、県からも長野労働局に働きかけてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

      

◆埋橋茂人

 

 もろもろ回答いただきました。特に、TPPについては、まだ始まったばかりなのに、もう国会審議で批准というような状況に相ならないようにしていただいて、ぜひこの負の影響が及ばないように県としても御努力いただくことをお願いして、私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。