平成28年9月定例県議会 発言内容(依田明善議員)


◆依田明善

   

 ひきこもりとニートについて御質問させていただきます。

 今月、内閣府においていわゆるひきこもりについての調査結果が公表されました。それによりますと、15歳から39歳までのひきこもりに該当する方が54万1,000人おられるということであります。2010年の調査では69万6,000人でしたから、6年間で15万5,000人ほど減少したことになります。率にして22.2%の減少、これは、家族、行政、民間団体などのたゆまぬ努力が功を奏した部分もあろうかと思います。

 しかしながら、人口減少、特に15歳から64歳までの生産年齢人口そのものが非常に早いスピードで減少している我が国においては、手放しでは喜べないと私は思います。2010年の生産年齢人口は8,173万5,000人であり、ひきこもりの方の占める割合は0.85%でした。昨年、2015年の生産年齢人口は、推計で7,682万人ですから、ひきこもりの方の占める割合は0.7%前後、つまり、占有率にしてみれば17.6%減少したことになります。ところが、総人口がわずか1.1%の減少にとどまっている中で、生産年齢人口は6%の減少、たった5年間で491万人も減っているわけです。

 この衝撃的な事実に直面している以上、やはりひきこもりやニートの対策にさらに力を入れ、働き手の減少を何とか食いとめていかなければなりません。しかも、今回の調査において対象から外れている40歳から64歳までを含めますと75万人は超えるだろうとも言われております。また、ニートにつきましても、高齢者ニートまで含めますと75万人との推計もあります。そうなりますと、合計150万人、つまり15歳から64歳までの約2%の人々が何らかの理由により仕事についていないということになります。

 このように、生産年齢人口と言っても、実際に働いている方々は統計よりもかなり少ないのではないかと思えるわけですが、産業労働部長はどのようにお考えか。本県の実態も交えて御見解をお伺いいたします。

 さらに深刻だと思うことは、今回の調査でも指摘されているように、35歳以上の働き盛りの皆さんがひきこもりになってしまうケースがふえているということであります。私も、親の立場として、就職さえしてしまえば一安心と思いたいところでありますが、今回の調査では、35歳から39歳の間にひきこもりになってしまった方が10.2%と前回調査から倍増しております。大きな理由は、職場になじめなかったからということのようですが、働き盛りがある日突然ひきこもりになってしまう、そんなことが珍しくない時代が到来したということは極めて深刻であり、看過できません。

 この調査結果を聞いて思い出したのが、4年前の一般質問です。当時、ひきこもりという言葉は使いませんでしたが、精神的な理由で職場に出てこられなくなってしまった教職員の数についてお聞きしております。教育長は、平成23年度においては155人、総数に対する割合は0.8%と答弁されました。

 そこで、今回改めて教育長にお尋ねをいたします。

 県内公立学校教職員約2万人のうち、精神系疾患による長期療養者や休職者の数、年齢構成、療養期間、そしてその状況に至った原因をどのように分析され、どのように対応されておられるのか。その成果も含めてお尋ねをいたします。もちろん、中にはひきこもりの定義に当てはまらない方もおられるでしょうが、全体の傾向を確認したいと思いますので、お答えいただければと思います。

 教育現場の話としては、教師を目指していたある若者のことを思い出します。その方は、教育実習に初めて参加したときに、生徒との交流以外に保護者に対して非常に気を使わなければならない場面や事務仕事が余りにも多く、夢と現実の違いに愕然としたそうです。その結果、この仕事は私には勤まらないということで教師になる夢をあきらめ、民間会社に就職をしてしまいました。その若者は保護者対応がしっかりできていなければ教師は無理だとも言われたようですが、新卒の若者が人生経験豊富で百戦錬磨の保護者にまともに対応できるわけもなく、教師としてのスタートラインに着く前にあえなく夢をあきらめてしまったわけです。果たしてこのケースは本人の資質だけの問題なのか、それとも似たような事例がほかにもあるのか。教育現場を取り巻く最近の状況についてもお答えをいただければというふうに思います。

 次に、今回の内閣府の調査で浮き彫りになったもう一つの大きな問題点はひきこもりの長期化であります。7年以上が34.7%でトップ、中には15年、20年といったケースも珍しくありません。当然ながら、生活費は親の財産や年金だけが頼りですから、親としてはひとたまりもありません。疲労困憊の末、ついに我が子に手をかけるという悲しい事件も後を絶ちません。

 また、引きこもる側も焦りや申しわけなさを感じている人々が多く、20年以上引きこもっていた44歳の息子が親に対して殺してほしいと懇願し、70歳の父親が手をかけた事件もありました。また、45歳のひきこもりの男性が80歳の母親と無理心中を図るという事件もありました。親の財産も底をつき、かじるすねも失う。それどころか、親の認知症が始まり、介護が必要となってしまった。結局無理心中という道を選択したわけですが、何ともやりきれない事件であります。

 こういった事件が起こるたびに、だったらなぜ働かないんだという声も聞こえてくるわけですが、専門家によれば、ひきこもりが長期化すればするほど、ますます働けない体に変貌していくというのが現実のようであります。しかも、40歳を過ぎればアルバイトの仕事を確保することさえ困難となるので、とにかく長期化をしないように焦らず的確に初期対応することが大切だとのことでありました。

 ひきこもりの長期化は、親や行政の初期対応のまずさも原因の一つだとの指摘もあるわけですが、そうかといって、ひきこもりの初期においては、周囲が過度に騒ぎ立てるのもむしろ逆効果のようです。おのれの心を整理する時間も必要であり、それによって立ち直る人々も多いからだそうですが、ひきこもりにおける定義や正しい対応について、健康福祉部長はどのような御見解をお持ちであるのか、お尋ねをいたします。

 また、ひきこもりというのは心の病であり、単なる怠け者と同じにしてはならないということは承知しておりますが、親のしつけ、両親の夫婦仲がいいか悪いか、あるいは親としての覚悟や力量、対応能力といったものが大きく左右するとも言われております。また、何らかの理由で子供を溺愛する、いわゆる子離れができない場合もひきこもりを招くといった指摘も耳にします。各人各様さまざまな御意見があろうかと思いますが、親としてどのように子育てをするべきなのか、県民文化部長の御見解をお聞かせください。

 さらに、教育現場においても、働くことの重要性を教えなければなりませんが、効果のあるお取り組みがなされているのか、教育長にお伺いをいたします。

 なお、学者や専門家の中には、食材、食生活、あるいは食品添加物、経皮毒、大気汚染、ネット社会、運動不足、不安定な労働環境などの悪影響を指摘する方がおられます。その辺の相関関係をどのように認識しておられるのか、健康福祉部長にお尋ねをいたします。

 さて、我が県におけるひきこもりの実態についてお尋ねをいたします。

 先日、推計で3,300人強との報道がありましたが、これは長野県にとっても深刻な数字です。そうでなくても、若い人材が不足している昨今、まず行政としてやるべきことは、何とか職についていただき、自活できるよう支援することだと思います。

 また、今回の調査は40歳以上の方々は対象になっておりません。このことが彼らをさらに焦らせ、絶望させてしまうように思えてなりません。中には40歳以上はもう手おくれだと一刀両断に切り捨てる方もおられますが、それでは余りにも気の毒だと思います。県としても、ひきこもりの方々への就労支援も行っているところでありますが、押しつけや圧力では逆効果になるとも聞いております。就労支援の難しさや課題、成果について、健康福祉部長にお尋ねをいたします。

 また、ニートといいますのは、御存じのとおり15歳から34歳までの学校、家事、仕事にかかわらない、あるいはわけあってかかわれない人々のことを言います。ですから、心の病を発症させているひきこもりの方々とは一線を画さなければならないと思いますが、県内におけるニートの数、年齢構成やその実態をどこまで把握されておられるでしょうか。さらには、そのニートの方々に職についてもらうために、県としてどのような支援をされておられるでしょうか。産業労働部長の御見解をお聞かせください。

      

◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)

 

 御質問2点、順次お答えいたします。

 まず、生産年齢人口における就業者についての御質問です。

 生産年齢人口には、就業者のほか、失業者、主婦、学生、ニートと言われる方々も含まれているため、議員御指摘のとおり、実際に働いている方は生産年齢人口より少なくなっております。ちなみに、平成27年の国の調査によりますと、長野県の生産年齢人口は約119万人で、そのうち就業者は約89万人、生産年齢人口に占める就業者の割合は75%となっており、この数字は全国平均の67%と比較して8ポイント上回っております。しかし、少子高齢化が進行する中で地域社会の活力を維持するためには、多様な働き方が可能となるよう、労働環境の改善を図り、現在就業していない方々の積極的な参加、就業を進めていくことが大変重要と考えております。

 次に、ニートの実態と就労支援についての御質問です。

 平成27年の国勢調査によりますと、県内の15歳から34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない、いわゆるニートと言われる方々の数は約7,500人となっております。この数は同年代人口の約2%に当たり、その中にはひきこもりの方も含まれております。7,500人の年齢構成でございますが、20歳から24歳が2,200人と最も多く、25歳から29歳、30歳から34歳の層がそれぞれ1,900人となっております。国の調査によりますと、これらの中には、病気、けがを理由とするほか、自分の能力や知識に自信がないなど、就職を希望しながら求職活動に踏み切れない方々も相当数あるものと考えております。

 そこで、このような方々の社会参加、就労を促進するため、県では、ジョブカフェ信州において、国の地域若者サポートステーションと連携をとりながら、一人一人に寄り添う形で職業適性や自己理解といった個々の悩みへのアドバイスから職業紹介までをワンストップで対応することにしております。今後も、職業マナーやコミュニケーションスキルなどの基礎的な研修も実施し、若い方々が自立できるよう、その就業を今後も支援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

      

◎教育長(原山隆一)

 

 まず、精神系疾患による長期療養休暇者、休職者の数等についてでございますが、平成27年度は144人でございまして、年齢構成で見ますと、特定の年代に偏っている状況ではございません。療養期間については、1年6カ月までのものが全体の89%というふうになっている状況です。

 精神系疾患に至る要因としては、聞き取り調査によりますと、業務の多忙化、多様化によるストレスの増大、児童生徒や保護者との関係の悩み、職場環境の悩みに加えまして、個人的な治療なども上げられておりますので、複合的に重なっている状況だというふうに判断しております。

 対応についてでございますが、未然防止対策として、採用3年目、15年目、25年目の教職員を対象とした研修の機会を設けまして、本年度は949名、対象者の74%の参加があったところでございます。さらに、今年度からは早期の気づきを促すためのストレスチェックを導入しております。また、管理監督者向けのメンタルヘルス研修会も開催し、本年度307名の参加を得たところでありまして、各学校におきましては、安全衛生委員会におきましても、不調者の発見と適切な対処力の向上に努めているところでございます。さらに、職場復帰に向けた訓練によりまして、昨年度7人が復職したところでございます。

 次に、教育現場を取り巻く最近の状況で、議員御指摘の中の教師をあきらめた具体的な事例でありますけれども、それについては把握はしておりませんが、教育実習を通して自身の適性を判断し、教員以外の道を選ぶ者もあるだろうというふうには考えております。教育という営みの中では、子供の健やかな成長を願う保護者とのコミュニケーションは、昔も今も大変重要なポイントであると思います。一方、核家族化、少子化等の社会状況の急激な変化や、幼少期の自然体験や社会体験等の希薄化、グローバル化や情報化の進展等の中で、学校は子供の教育の充実のためにこれまで以上の取り組みを求められているというふうには認識しております。

 教員に限らず、どの仕事にも夢と現実にはギャップがあるわけで、自分に合うと思う仕事だからやりがいがあるということではなくて、仕事の中で出会うさまざまな困難を少しずつ乗り越えながら、そうした喜びを積み重ねて仕事の本当のおもしろさややりがいを見出していくものだというふうに考えております。

 それから、働くことの重要性を教える取り組みでありますけれども、急激に社会が変化する中で、子供たちの社会体験や労働体験の希薄化が進んでおりますが、こうした状況の中では、働くことで成り立っている社会というものと学校とがより強いつながりを持っていくことが大切であると考えております。

 そのため、県の教育委員会では、キャリア教育の推進に加えまして、地域の教育力を学校運営に生かした信州型コミュニティスクールを推進したり、学校での学びと地域での実践的な働きを相乗的に営むデュアルシステムを取り入れた新たな人材育成モデル事業を行ったりしているところでありますが、また一方で、子供たち一人一人に寄り添った支援の充実も欠かせないところでありまして、人間関係づくりが苦手な生徒に対して、コミュニケーション能力を高めるためのワークショップを行ったり、就職に向けての模擬面接を行ったりなどするソーシャルスキルトレーニングを実施しまして、働くことの重要性の意識と社会で自立するために必要な力の育成に取り組んでいるところでございます。

      

◎健康福祉部長(山本英紀)

 

 ひきこもりに関する御質問に順次回答させていただきます。

 まず初めに、ひきこもりの定義、対応についてのお尋ねがございました。

 ひきこもりは、単一の疾患や障害の概念ではなく、対人関係を含む社会との関係に生じる現象の一つをあらわしている言葉であり、厚生労働省は、ひきこもりを、さまざまな要因の結果として就学、就労、家庭外での交遊などを回避し、原則的には6カ月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念と定義しております。ふだんは家にいるが、近所のコンビニなどへは出かける、あるいは自分の趣味に関する用事のときだけ出かける場合もひきこもりに含まれます。

 ひきこもりの方への対応につきましては、ひきこもり状態になった原因を突きとめることよりも、今の膠着状態を変えるためにどのような工夫が必要かということを優先し、かかわりを始めることが重要と考えております。また、ひきこもりの長期化を防ぐためには、できるだけ早く相談、診療を受けることが重要であると考えております。

 県では、平成22年4月に精神保健福祉センター内にひきこもり支援センターを設置し、電話や面接による相談、家族や支援者を対象とした研修などの支援を行っております。また、身近な地域での対応が重要であり、保健福祉事務所や市町村においても、相談や家族教室などを行うとともに、必要に応じて自主的に結成された家族会などとも連携しながら対応しているところでございます。

 次に、ひきこもりの要因についてのお尋ねがございました。

 ひきこもりが生じる原因には、いじめ、家庭環境の問題、病気などが挙げられることがあります。また、ひきこもりには、気分障害、不安障害、発達障害などが関係しているという調査報告がある一方、これらの存在が考えられないにもかかわらずひきこもりの状態の方もいらっしゃいます。このようにひきこもりの明確な原因は解明されていないことから、ひきこもりは一つの原因から生じるわけではなく、生物学的、心理的、社会的な要因などのさまざまな要因が絡み合ってひきこもりという現象が生じるものと認識しております。

 次に、ひきこもりの方々への就労支援の難しさ、課題と成果についてのお尋ねがございました。

 本県では、生活困窮者を支援する生活就労支援センターまいさぽに来られた65歳未満の相談者のうち、直ちに就職することは困難であるものの、1年以内の計画的な支援により一般就労は可能であると見込まれる方に対して就労準備支援事業を実施しており、その中にはひきこもりの状態である方々も含まれております。

 この就労準備支援事業では、相談者一人一人の課題を把握し、訓練計画を作成した上で、規則正しい生活を送る習慣づけ等の日常生活の自立、コミュニケーション能力の形成等の社会生活の自立、地域の協力事業所等での就労体験や職業訓練等を通して、一般就労に向けた知識やビジネスマナー等のスキルの習得を目指す就労自立と段階を踏んで支援を行っております。昨年度は、全県で33名の方々に就労準備支援事業を受けていただき、そのうち現在までに5名の方が就労に結びついております。

 一方で、支援対象者の中には、長年のひきこもりにより社会経験が不足している方、自信を喪失している方、就労の意思が希薄である方もおり、就労の意識づけ等の支援には、一人一人に寄り添った細やかな配慮が必要となっております。また、就労という成果に結びつかず、対象者が訓練等の効果をわかりづらいことも課題と考えております。引き続きよりよい支援のためのノウハウの蓄積や共有を図るとともに、就労体験等を行う協力事業所をふやすなど、一人でも多くの方が就労し、自立していただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

      

◎県民文化部長(青木弘)

 

 ひきこもりを招かない子育てというお尋ねでございます。

 ただいま健康福祉部長からもお答え申し上げましたが、ひきこもりは単に家庭環境が与える影響だけではなく、さまざまな要因が関係しているものと思われますけれども、親との関係につきまして内閣府が平成27年に行いました若者の生活に関する調査では、小中学校時代の家庭での経験を尋ねたところ、「困ったときは親は親身に助言をしてくれた」を挙げた方の割合は、ひきこもりの方で26.5%に対しまして一般の方で41.3%と、ひきこもりの方のほうが約15ポイント低くなってございます。また、同様に、「親とは何でも話すことができた」を挙げた方の割合は、ひきこもりの方が18.4%であるのに対しまして一般の方は40.5%と、ひきこもりの方は一般の方の割合の半分以下となっている状況でございます。こうしたデータからも、子供が安心して何でも話すことができるような家庭内の環境づくりを進めることが子育てに当たって大切ではないかというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

      

◆依田明善

 

 それぞれ御答弁をいただきました。農家の皆さんは、かつては日本の高校生や大学生のアルバイトを盛んに雇っておりました。ところが、近年は極めて雇用に消極的であります。理由としては、体力がない、根気がない、打たれ弱い、労働に対する喜びを感じてもらえない、お金だけは欲しがる、すぐキレる、すぐ逃げるといった嘆きや怒りにも似た話が耳に入ってまいります。

 ただし、私も同じ日本人として、こういう情けなくなるような話を100%うのみにはしたくありませんし、勤勉で根性のある若者たちがおられることも事実であります。それに、日本の若者に悪いレッテルを張ったところで、日本の将来を担っていくのは紛れもなくその若者たちであり、決して外国人研修生や移民の皆さんではありません。したがって、役に立たないといってほったらかしにするのではなく、何とか一人前に育て上げることが本当の愛情であり、我々の責務であるというふうに思います。

 仕事に打ち込める人は幸せ者だとよく言われますが、彼らが近い将来就職し、厳しい環境に置かれた場合、つらいことがあってもそれを乗り越え、生涯元気で仕事に打ち込めるような人材に育てるには、幼少のころからの愛情を込めた教育が極めて大切だと思います。

 県は今、子ども支援条例を制定したり、信州型自然保育の普及に努め、質実剛健、勤勉で感性豊かな人づくりなどにも力を入れておりますが、だとすれば、いっそのことひきこもりやニートが日本一少ない県というものを標榜し、幼少のころからの人材育成に尽力することも重要だと思います。最後に知事の熱い思いをお伺いし、一切の質問とさせていただきます。

      

◎知事(阿部守一)

 

 ニート、ひきこもりに対する一連の御質問の後で、私に対してはニート、ひきこもりが日本一少ない県を目指して頑張れという御質問をいただきました。

 いろいろ若者に対する評価はあると思いますけれども、先日、上田でふろぷろという取り組みがあって、高校生のプレゼン大会でありましたけれども、私も一部聞かせていただいて、地域に対する熱い思い、やっぱり自分たちで行動しようといった積極的な姿勢がすごく見られました。まだまだ信州の若者は捨てたもんじゃないなという思いを新たにしたところであります。

 そういう中で、まず幼少のころからの教育という部分でありますけれども、確かに幼少期の過ごし方がその後の人生に大きく影響していく部分もあるというふうに考えております。そういう観点で、子供のころからコミュニケーション能力あるいは自己肯定感を育んでいくということが重要だと思っております。

 私ども長野県は、自然に恵まれた県でもあります。そういう中で、信州型自然保育の認定制度も開始いたしました。こうした五感を育むような教育をこれからもどんどん広げていきたいというふうに思いますし、また、自然保育に限らず、やはり幼児期の教育、保育所あるいは幼稚園等で質の高い保育、幼児教育を受けていくということが重要だと思ってます。保育、幼児教育の体系化、あるいは支える人材の研修体系等について、今年度から専門家の意見も聞きながら検討を始めました。こうした中で、長野県をしょって立つ人たちをどんどん育てていきたいと思いますし、全ての皆さんが希望を持って暮らせる社会にしていきたいと思います。

 また、ニート、ひきこもり対策、私ども長野県としてもいろいろな取り組みをしてきています。専門的な自立支援のための場を運営している民間団体への支援であったり、あるいはひきこもり、ニート等の若者の支援を行う団体の連携を図るための子ども・若者地域支援協議会の設置、運営の支援だったり、あるいは精神保健福祉センター内にひきこもり支援センターを置いて、そして家族の皆様方からのひきこもりに関する相談に対する対応をしていますし、また、生活就労支援センターまいさぽで、日常生活、社会生活の支援を行ってます。また、産業労働部長から御答弁申し上げたようなジョブカフェ信州の運営等も行っているわけであります。

 ただ、課題は、今申し上げましたけれども、先ほど各部長が答弁しているということに一つあらわれているのかなと。いろんな施策がそれぞれの部局で縦割りで行われているということも大きな課題の一つじゃないかというふうに思います。

 そういう意味では、実はこのニート、ひきこもりの問題だけではなくて、自殺対策であったり、貧困の問題であったり、さまざまな課題があります。こうした課題は、決して一直線に原因と結果があるわけではなくて、さまざまな要因、さまざまな支援が必要な分野であります。そういう意味で、人に向き合ってしっかり仕事をしていくという姿勢がこれからの長野県にますます求められてきているというふうに思いますので、いま一度、このニート、ひきこもりの皆さんを初めとして、一人でも多くの皆さんが幸せを実感していただけるように、県民の幸せの実現に貢献するというのが私ども長野県のミッションでありますから、そうしたことをもう一度しっかり各部局と確認し合ってこうした対策を一層進めていきたいというふうに思っております。

 以上です。