平成30年11月定例県議会 発言内容(堀場秀孝議員)
◆堀場秀孝
順次質問します。
仮称森林環境税、森林環境譲与税の創設は、昨年末の税制改正大綱で決まり、森林経営管理法は本年5月に成立しましたが、市町村林務担当者が不足の中、具体的な取り組みに当たり、対象森林の洗い出しと計画の策定、また、森林所有者への意向確認、所有者不明森林の所有者探索、さらには境界の明確化や市町村を支援する地域林政アドバイザーの人材確保など課題も多いと認識しています。
そこで、新制度施行へ向けて新たな森林管理システムや森林環境譲与税への対応について林務部長に伺います。
まず、林務担当者不足等、市町村が体制面で多くの課題を抱えている状況から、市町村の体制整備として広域的な体制の構築が検討されているとお聞きしているが、県の役割も含めてどのように運用していくお考えでしょうか。
また、県内には間伐がおくれている森林や松くい虫による被害を受けた森林など、課題を抱えた森林が各地域に存在します。今回の新たな森林管理システムではどのような森林が対象となるのかお聞きします。
次に、新たな森林管理システムによる森林整備が本格的に行われるのはいつごろを予定しているのでしょうか。また、新たな森林管理システムの導入によって想定される効果としてはどのようなものがあると考えているのでしょうか。
次に、新たな森林管理システムの導入が一つの契機となり、今後、主伐、再造林が増加していくことが予想されますが、将来的な事業展開を考えた場合、県内各地域の林業事業体数や林業労働力の見通しはいかがでしょうか。特に、林業の現場では一定の機械化が進んでいますが、今後増加が見込まれる植林、保育など人力による作業に従事する労働者を安定的に確保するためには、林業労働者の処遇改善もあわせ、全体的な底上げを図る必要があると考えますが、いかがでしょうか。
最後に、この新たな森林管理システムを進めるための財源として、森林環境税及び森林環境譲与税が創設されることになるわけですが、森林づくり県民税も含めた県民への理解の醸成や使途のすみ分けの透明性、実績の公表についてどのように考えているのか。
以上、林務部長にお聞きします。
6点御質問をいただきました。
初めに、新たな森林管理システムの運用についてのお尋ねでございます。
議員御指摘のとおり、小規模な市町村が多く、約7割の市町村が他の業務と兼務で林務担当をしているという本県の特性を踏まえ、必要な業務を確実に行えるよう、県や市町村が共同で広域連携体制を構築し、この事務を担う方向で検討しているところでございます。
県としては、この体制に参画するとともに、対象森林の選定や森林の管理等に係る技術的な助言、安全で効率的な林業経営を担う人材の育成などを通じ、市町村の支援と地域の森林整備の推進という県の役割を果たしつつ、新たな森林管理システムが円滑かつ自立的に運用できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、新たな森林管理システムの対象となる森林についてのお尋ねでございます。
新たな森林管理システムでは、市町村が森林所有者の意向を調査し、森林所有者みずからが経営管理を実行できない森林が対象となります。ただし、この場合、対象森林となりますと、森林所有者にとっては自由に森林を利用することができなくなるため、みずからの意思で木材収入を目的とした伐採ができなくなるなど一定の制約が生じることとなります。
続いて、新たな森林管理システムによる森林整備の実施時期と想定される効果についてのお尋ねでございます。
システムが導入される来年度から、地域の意向等も踏まえ、県や市町村による広域連携体制の構築を進めつつ、まずは森林所有者の特定や意向調査、あるいは境界の明確化等の条件整備を行う必要があると考えております。現在、森林所有者の世代交代や不在村化が著しく進んでいることから、森林環境税の国民への課税が始まる2024年ごろまではこうした条件整備を徹底的に行うことが望ましいと考えており、それらの条件整備が行われ、一定のまとまりが確保されたところから森林整備が本格的に実施されることとなります。
システムの導入による効果ですが、現状では、今まで所有者不明で手をつけられなかった森林があちこちに点在している中で、こうした取り組みを通じ、面としてまとまりができるので、林業に適した森林では生産性の向上が、また、それ以外の森林では多様な利活用が期待できます。これに加え、公的管理による伐期の分散化やさまざまなイノベーションのフィールドとなるなどの効果も期待しております。
次に、林業労働力の見通しについてのお尋ねでございます。
平成29年度の林業事業体数及び林業就業者数は171事業体、1,594人となっており、近年減少傾向が続いております。背景としましては、森林の保育に係る事業量減少に伴う従事者の減少が要因の一つと考えています。なお、そうした中でも、毎年100人程度の新規就業者の受け皿となっております。
資源の状況と今回の新たな森林管理システムにより、計画的な伐採、再造林が可能となりますので、素材生産量は伸びると見込んでおり、結果として初期の保育作業現場もふえてくると見込んでおります。
一方、人口減少化で確実な労働力の確保は課題となります。このため、新たな5カ年計画では、ICT等の活用による省力化、合理化もあわせて進めることにより、必要な林業就業者数を平成34年度において2,200人と計画しているところであり、この確保に向けて、関連団体、部局と連携して取り組んでまいります。
続いて、林業労働者の処遇改善と全体的な底上げの必要性についてのお尋ねでございます。
林業労働者の確保に向けましては、長野県林業労働財団と連携し、Iターン、Uターン者も含めた県内外の就業希望者を対象とする就職説明会、相談会の開催やトライアル雇用への支援、能力向上に向けた研修の実施、事業体に対する育成経費への補助等の支援を行っております。
また、他産業に比べ平均所得が低い現状を改善するためには、林業事業体の経営全体の底上げが必要であるため、ドローン等ICT技術の活用、あるいは伐採と造林の一貫作業システムの導入等による林業事業体の生産性や収益性の向上、あるいは労働環境の改善に向けた支援を現在進めているところでございます。
さらに、新たな森林管理システムにおいて中心的な役割を担う意欲と能力のある林業経営者につきまして、生産性や事業実行体制に加えまして、雇用管理の改善や労働安全対策の取り組みが認定基準の一つとなるところでありまして、今後、経営者の適切な育成、認定を通じて林業事業者のさらなる処遇改善が図られるよう、制度導入に向けた検討準備に取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、森林環境税、森林環境譲与税、いずれも仮称ですが、これらの県民への理解の醸成等についてのお尋ねでございます。
森林環境譲与税の主な使途につきましては、森林経営管理法に基づく新たな森林管理システムの実施に要する費用に充当するという考えが国から示されております。この制度が森林所有者による管理が困難な森林を対象とする取り組みであることから、森林所有者の費用負担を前提とした森林づくり県民税とは基本的に区別できるものと考えておりますが、取り組み内容等の周知を図り、両税による適正な森林管理と整備が県民の皆様の御理解のもとで相乗的に進むよう努めてまいる所存です。
なお、森林環境譲与税の実績の公表等の説明責任は、市町村における取り組みは市町村の役割となりますが、広域連携体制においてもその確保が図られるような仕組みについて検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
答弁いただきました。林業に従事する人々が、林業を続けていてよかったと実感できるような、また、新規に林業をやってみようというような人々があらわれるような対応を要望いたします。
次に、教育長、建設部長に伺います。
平成28年11月議会の答弁で、知事は、県営野球場につきましては県の行政・財政改革方針、県のファシリティマネジメント推進会議で策定いたしました施設の有効活用・転用集約化計画に基づきまして、所在する市への移管に向け協議を行っているところでありますと答弁され、野球場が必ずしも県営である必要はないと考えておりますとも答弁をいただきました。それを受けてでしょう。本年2月議会での答弁で、教育長は、長野市、上田市に移管に向けた協議を進めているところですと答弁され、建設部長も、飯田運動公園野球場の移管につきましても他球場と同様に飯田市との協議を行っています。合意に至っていないので、引き続き協議を進めてまいりたいと答弁いただきました。
そこで質問します。
伊那市にあった県営野球場は移管できましたが、長野市、上田市、飯田市との協議はいつから開始して現在はどのような状況になっているのか、教育長、建設部長に伺います。
県営野球場の移管についてのお尋ねでございます。
教育委員会が所管しておりました伊那運動公園野球場を含め、長野運動公園野球場と県営上田野球場は、長野県行政・財政改革方針等に基づきまして、平成25年度からそれぞれの野球場が所在する市に対して移管協議を進めてまいりました。
このうち、伊那運動公園野球場は、伊那市から提出された条件を検討する中で大規模改修を実施し、平成29年4月に移管を行ったところでありますが、その他の野球場についてはこれまで合意には至っていない状況であります。今後も引き続き協議を進めてまいりますが、特に、長野運動公園野球場は9年後の国体の硬式野球の競技会場地として内定を受けたところであります。今後具体的な施設整備の方針を検討していく中で移管協議が進展できるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
綿半飯田野球場の移管協議についてのお尋ねでございます。
建設部が所管しております綿半飯田野球場を含む飯田運動公園につきましては、県の財政改革推進プログラムに基づき、平成16年度以降、飯田市への移管協議を進めてきておりますが、本年2月定例会の一般質問でお答えしましたとおり、移管について飯田市との合意には至っておりません。
飯田運動公園は比較的規模の大きな施設であり、また、飯田市内には移管対象となっている他の県有施設が複数あることから、これらの移管協議を優先している状況です。その状況を踏まえて、飯田運動公園につきましては、改めて移管に向けた協議を本格化させたいと考えております。
以上でございます。
答弁いただきました。長野市、上田市の野球場については平成25年から、飯田市の野球場に関しては平成16年からと答弁がありました。協議をしているということでございますが、その協議というのは、どのようなものを協議と言うのか。具体的なお話ができればお聞きいたします。教育長と建設部長にお願いいたします。
御質問がありました協議の中身といいますか、どういうものを協議と言うのかというお話でございます。
先ほど御答弁申し上げましたとおり、例えば、伊那運動公園野球場は、伊那市から提出された条件を検討する中で、改修等を踏まえた形で合意に至ったというような経過もございます。それぞれの市のほうからの条件もあろうかと思いますし、私どものほうの考え方もあろうと思います。そういったものを詰めていく中で協議が進んでいくというふうに考えているところでございます。
協議の内容ということについてでございますが、協議の経過ということで御説明をさせていただきますと、平成16年11月に飯田市と打ち合わせを行いまして、移管に向けての申し入れを行っております。その後、17年に飯田市から回答がございまして、新たな負担が発生する提案には応じられないということであります。その後、平成19年、20年、22年、23年、それから28年にわたって飯田市との間で移管に向けての協議を進めさせていただいているところであります。28年の際には、飯田運動公園のみならず他の県有施設も含めまして飯田市に対して移管をお願いをしているということであります。
以上です。
答弁いただきました。協議という言葉の何とも言えない日本語の難しさを感じました。
長野市の県営野球場は、2巡目の国体の競技施設に内定している施設でございます。競技施設整備には今からの対応が必要と考えます。国体が成功して、国体開催以降も県民が有効活用できるような施設整備を要望します。
教育長にお聞きします。
先月、2027年開催予定の国体の競技会場地の1次選定分として14競技の会場地が11市町に内定されました。49年ぶり、2回目の国体では、県内各地で競技が開催され、全県で県民も盛り上がる大会になってほしいと考えるのは私だけではないはずです。公開競技やデモンストレーションスポーツという国体開催県での競技があると聞いています。特にデモンストレーションスポーツについて教育長に伺います。
国体の実施競技についての御質問でございます。
正式競技以外の競技のうち公開競技につきましては、日本スポーツ協会の加盟競技団体の競技であり、かつ24以上の都道府県において体育協会に加盟していることが条件となっておりまして、競技種目は、綱引き、パワーリフティング、ゲートボールなどがあるところでございます。
一方、デモンストレーションスポーツにつきましては、これまでの例を見ますと、競技種目はマレットゴルフやウオーキング、ダンスなどの地域に根差した気軽に親しめるスポーツが中心となっているところでございます。このデモンストレーションスポーツの対象競技につきましは、原則として県体育協会加盟団体の競技のほか、本県の特性を生かした競技等を県体育協会で推薦し、準備委員会が決定することとなっているところであります。デモンストレーションスポーツの実施は、県内各地でより多くの県民が国体に参加できる機会であるとともに、県民が国体を身近に感じ、大会終了後の地域スポーツの普及、定着にも大きく寄与していくものというふうに考えているところでございます。
答弁いただきました。小布施で行われているスラックライン、本年インドネシアで行われたアジア競技大会で正式種目として実施されたコントラクトブリッジ、デモ競技として実施されたeスポーツ等、デモンストレーションスポーツが9年後の国体で県民が楽しみ、県民の健康長寿につながるような対応を要望します。
先ほどの県営球場の件ですが、私の地元の県営上田野球場は、2020年までリトルシニアの全国大会が開催される予定になっております。県内外から多くの人々が来県して野球を楽しんでいますが、雨漏りが発生しており、壁紙等にしみが残っている状態であります。県から調査に来たが、その後何もないとは球場の係の方の声です。県であれ、市であれ、利用者の利便性を考える必要があります。野球場ですのでグラウンドがよければいいじゃないかという声もあると思いますけれども、中で会議をやったり着がえたり、いろんなことをする施設が野球場であります。スポーツ合宿の対象施設でもありますし、それがまた観光客誘致につながると思います。
県民にわかるような協議になるよう要望いたしまして、質問を終わります。