平成30年11月定例県議会 発言内容(今井愛郎議員)


◆今井愛郎

   

 信州・新風・みらいの今井愛郎です。順次質問してまいりたいと思います。

 初めに、過去に行った一般質問に関連して、3項目質問してまいります。
 一つ目、私が昨年9月、本年2月と2回にわたって一般質問してきた飲食を伴う会合に出席する職員への公費負担について、過日の西沢議員の一般質問の答弁では、必要性は感じつつも、まだ検討中とのことでした。私が行った2月一般質問からの進展がないようで、知事がよく言われるスピード感が感じられず、残念でなりません。この問題は予算を伴うものなので期中導入は好ましくないと考えますが、知事はいつまでに結論を出すお考えですか。
 また、組織人というのはやはり上司の動向が気になるものです。過去3年間の知事交際費の支出を見ても、会費という項目はあるものの支出はゼロで、生花、香典、名刺印刷が中心となっています。知事がポケットマネーで会合に出席しているといえば聞こえはいいのですが、トップの方針が変わらなければ幾ら制度をつくってみても下の者は利用しにくいと思います。まずは知事御自身が県政運営に必要だと思われる飲食を伴う会費等について支出基準等を作成、知事交際費として予算執行すべきと考えますが、いかがお考えですか。
 二つ目、諏訪圏工業メッセ継続への支援についてお尋ねします。
 ことしも知事御自身が開会式へ出席してくださり、その後、タイと長野県との覚書を交わしていただきました。最大の工業展示会で一定の評価をいただいている工業メッセに知事御自身が毎年足を運んでくださっていることに感謝申し上げます。
 知事は副知事時代から諏訪圏工業メッセに参加いただいているので、今さら展示内容を申し上げる必要はないと思いますが、今や諏訪圏工業メッセ継続開催に向けた最大のネックは施設であります。そのような背景を察していただいたのか、9月に行われた総務企画警察委員会の諏訪地域振興局での現地調査では、調査いただいた委員より、諏訪圏工業メッセを継続開催するためにももう少し県が積極的に施設整備を含めた支援の姿勢を示していくべきではないかとの感謝の意見をいただきました。一義的には、諏訪圏工業メッセが継続、発展してきたのは諏訪圏の力が大きいかと思いますが、県の御支援なくしてここまでの継続、発展はなかったのも事実です。県が一緒になって育ててくれた諏訪圏工業メッセを今後も継続していくためにも、地元の意向が大切であり、地元から声を上げてほしいという知事のお考えも理解するところでありますが、やはり施設整備に向けた県のメッセージも必要と考えます。知事のお考えをお尋ねしておきます。
 三つ目、がん診療連携拠点病院等への支援体制の拡充についてお尋ねいたします。
 以前も一般質問で取り上げましたが、がん治療機器、特に放射線治療関係の機器は高額になります。がん診療連携拠点病院であっても他の医療機関が購入する医療機器と同一の基準で補助を決定していることに違和感があります。がん治療は日進月歩で、外科手術、放射線治療、薬物療法が3本柱であるわけですが、とりわけ放射線治療は機器導入に多額の費用がかかります。がん治療対策を積極的に進めている本県として、がん治療の環境整備のためにも、がん診療連携拠点病院向けの補助メニューが必要と考えますが、現行制度の見直し等について健康福祉部長はいかがお考えですか。
 また、平成28年11月定例会の私の一般質問で、放射線治療機器は高額だが、診療報酬はそうした費用も勘案している旨の答弁がありました。しかし、高度放射線治療の診療報酬を算定する際には、常勤の2人以上の放射線治療担当医師が必要になっているものがあると聞きます。設備に向けた支援ができないのであれば、放射線治療担当医師を2人以上常勤させるための医師確保を支援する必要があると考えますが、あわせて健康福祉部長にお尋ねいたします。
      

◎知事(阿部守一)

 

 私に対しては、交際費と諏訪圏工業メッセに対する支援、大きく2点の御質問をいただきました。
 まず、交際費等の支出についてであります。
 県政運営上必要な懇談会あるいはレセプションに職員が自己負担で出席しているという現状については私も問題意識を持っているところでございます。県政課題によりましては、御指摘のとおり速やかな対応を必要とするものもございますが、私を含む職員の交際費のあり方という部分については、これは県民の皆様方の税金を使わせていただくものであります。そうした観点から、県民の皆様の御理解を得られるようしっかりとした検討が必要だというふうに考えております。
 知事として先行して実施すべきという御提言をいただいたわけでありますが、これはトップが率先垂範するといったような類いのものではないというふうに考えますので、県全体の問題として捉えて取り組んでいきたいというふうに考えております。
 続きまして、諏訪圏工業メッセ会場の施設整備に向けた支援という御質問をいただきました。
 諏訪圏工業メッセは、今井議員の御質問にもありましたように、私ども県としても応援をさせていただき、関係者の皆様方のお力で地方最大級の工業系展示会へと年々成長してきているわけであります。私もほぼ毎年参加をさせていただいておりますけれども、関係者の皆様方の御尽力に深く敬意を表する次第でありますし、また、将来に向けても一層発展をしていただくことを強く願っているところであります。
 このメッセ会場につきましては、現在、所有者であります諏訪市が、諏訪市駅周辺市街地あり方検討会におきまして、旧東洋バルブ工場跡地活用基本構想の検討を行われている最中というふうに伺っております。その場における議論を見守っていきたいというふうに考えております。
 以上です。
      

◎健康福祉部長(大月良則)

 

 がん診療連携拠点病院等への支援につきまして2点御質問いただきました。
 まず、治療機器補助制度の見直しについてでございます。
 医療機関は、診療報酬による収入の中で中長期的な計画を立て、施設や設備の整備を行っております。そうした中で、がん診療連携拠点病院等は質の高いがん医療に必要な診療機能を備えていることから、診療報酬上の加算が措置されているところであります。一方、がん相談支援事業など診療報酬として算定されない各種事業の経費については、がん診療連携拠点病院等整備事業補助金として国と県で助成を行っております。
 がん治療における高額機器への対応については、地域医療介護総合確保基金を活用したがん医療提供体制施設設備整備事業補助金においてがん診療連携拠点病院等への基準額の加算要件を設けております。限られた財源の中で、医療機関の意向も踏まえつつ、可能な支援を検討してまいります。
 次に、放射線治療医の確保についてでございます。
 県では、長野県ドクターバンク事業や医師研究資金貸与事業による即戦力医師の確保により県内医療機関を支援しております。放射線科医師につきましては、ドクターバンク事業により、これまで2名の放射線科医に県内の医療機関に就業いただき、そのうち1名が放射線治療医であると承知をしております。
 がん治療の業務に従事する放射線科の専門医につきましては、平成24年度から特別に医師研究環境整備資金の対象として、これまで2名の放射線治療専門医に研究資金を貸与し、県内の医療機関に就業していただいております。県といたしましては、がん治療の業務に従事する放射線科の専門医等確保につきましても、各医療機関と連携してしっかり支援をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
      

◆今井愛郎

 

 交際費については、ぜひ早期の取り組みをお願いしたいと思います。
 そしてまた、メッセについては、市が考えたらということであれば、ぜひその要望がありました折にはしっかり応えていただきたいと思います。
 また、がんについては、治療病院の補助、人が先か、物が先かという議論はありますけれども、人がいないことによって2,000万、3,000万の収益が失われているという話も聞きます。ぜひとも人をしっかり支援していただきたいとお願い申し上げたいと思います。
 次に、新年度に向けての取り組みについてお尋ねいたします。
 まず、学童保育、いわゆる放課後児童クラブの制度改正についてお尋ねいたします。
 放課後児童クラブの運営に当たっては、2015年から1教室に2名以上の職員を置き、かつ、うち1名は保育士、社会福祉士等の資格を持っていて、都道府県が行う研修を受講した放課後児童支援員を配置することとされていましたが、全国知事会等の要望もあり、2019年度より基準が参酌基準となり、職員数、資格等は自治体裁量とする方向が明らかになりました。確かに、児童の数や特性、教室の広さが違うわけですから全国一律の基準を適用すべきでないという主張はわかるわけですが、参酌基準になったことにより、自治体裁量になったら放課後児童クラブの体制が悪くなったと保護者から言われるようでは本末転倒と考えます。今まで県は研修会等の主催をしてきたと思いますが、参酌基準となる来年度以降、県として放課後児童クラブにどのように携わっていくか、お考えを県民文化部長にお尋ねいたします。
 次に、太陽光発電に関連して、以下3項目、環境部長にお尋ねいたします。
 一つ目、来年から住宅用太陽光発電の固定価格買い取り期間、FITが順次満了し、単価が大きく引き下げられます。全国では、2019年にFIT期間が満了する住宅は53万件と言われていますが、県内に2019年でFIT契約が終了する住宅件数、発電設備容量がどれくらいになるか把握されていますか。また、この引き下げは、余剰電力を使ったビジネスチャンスとなる一方で、単価引き下げに乗じた消費者被害を生じさせる可能性があります。太陽光発電を推進してきた本県として何らかの対応をお考えでしょうか。
 二つ目、来年度から経産省は、2012年から2014年の3カ年にFIT契約されている約5万3,700メガワット中、未稼働となっている約2万3,500メガワットについて契約単価を見直す方向で調整しています。県内にある未稼働数、発電設備容量とともに未稼働割合はどれくらいか把握されていますでしょうか。また、今回の計画が決まりますと、一部業者は太陽光発電計画を中止するとも言われています。長野県環境エネルギー施策への影響はあるのでしょうか。
 三つ目、経産省がFIT契約の見直しを決定したことに関連して、11月24日の朝日新聞に、他県のことではありますが、太陽光発電設備の建設のために県の環境アセスメントに3年以上かかり、やっと事業着手したという事例が紹介されていました。昨日の日経電子版でも、大規模案件には猶予期間を設ける等の報道もありましたが、いずれにせよ、FIT価格の見直しが明らかになったことで、未稼働施設では駆け込み着工が予測されます。このような駆け込みにより、事業実施に伴う県の許認可等がFITの変更期日までに協議が調わず、結果的にFIT単価が切り下げられた場合、業者から損害賠償請求されるようなことはないのか、県の見解をお尋ねしておきます。
 また、FIT単価が下がる前に県の許可を求めて早期の許認可を求める業者も出てくると思いますが、県の対応を重ねてお伺いしたいと思います。
      

◎県民文化部長(角田道夫)

 

 放課後児童クラブにおける国の基準の見直しについての御質問でございます。
 放課後児童クラブにつきまして、国は、平成26年に省令で放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定めております。これは、それまで運営等の明確な基準がなかった放課後児童クラブにおいて、全国的に一定の質を確保することを目的に定めたものでありまして、放課後児童支援員の配置数や資格要件について、市町村が条例で定める際の従うべき基準として規定しております。
 一方、本県を含む全国の市町村では、人材不足により、基準に定められた放課後児童支援員の確保に苦慮しているところも出てきております。こうしたことから、全国知事会、全国市長会及び全国町村会が3者共同で基準の見直しを国の地方分権改革有識者会議に要望し、議論の結果、従うべき基準については、子供の安全性の確保等一定の質を担保しつつ、地域の実情を踏まえ、参酌すべき基準とする旨の方向性が本年11月に示されたところです。こうした方向性は、市町村がみずから定める条例により放課後児童クラブの質を確保しつつ、みずからの責任と判断によって地域の実情を踏まえた運営を可能とするものでございます。
 現在、厚労省では、見直し後も質を確保するため、利用者の目線から放課後児童クラブの活動や運営について評価を推進するといった方策を検討するとの方針が先ごろ示されております。県といたしましては、今後、国が示す具体策を踏まえ、国庫補助による放課後児童支援員の処遇改善や放課後児童支援員の認定資格等の研修等を通じ、県内の放課後児童クラブにおける質の確保を支援してまいりたいというふうに考えております。
      

◎環境部長(高田真由美)

 

 太陽光発電につきまして3点御質問をいただいております。
 初めに、住宅用太陽光発電の買い取り期間満了についてでございます。
 2019年に買い取り期間が満了となります県内の件数と発電設備容量につきましては、国において都道府県別の数字が公表されていないため、把握しておりません。
 次に、県の対応でございますが、まずは住宅用太陽光発電をしている県民の皆様に10年間という買い取り期間が設定されていることや、期間満了後は、自家消費や、従来どおり小売電気事業者へ売電するといった選択肢があるということを正しく伝えていくということが重要と考えております。国でも、「どうする?ソーラー」という専用の情報サイトを設けて対応を始めております。県といたしましても、こうした情報をホームページに掲載し、市町村にも情報提供して広報、啓発を行うとともに、太陽光発電に関係する県内の団体に協力を依頼するなどして県民の皆様に正確な情報が伝わるよう努めてまいります。
 次に、未稼働の事業用太陽光発電の状況と県の環境エネルギー施策への影響についてでございます。
 国からは、今回の制度の見直しで直接影響を受ける2012年度から2014年度の3年分の未稼働の都道府県別の内訳については公表されておらず、把握しておりません。公表されているのが2017年度末現在の固定価格買い取り制度、FITに係ります認定と稼働の総合計でございます。これから未稼働分の計算をいたしますと、件数にいたしまして約5,300件、発電設備容量で約71万5,000キロワットとなりまして、これを割合にしますと、件数ベースでは21%、発電設備容量ベースでは45%となっております。
 今回の制度見直しによる施策の影響につきましては、それを推しはかることは困難でございますが、県といたしましては、環境エネルギー戦略に掲げる目標の達成に向けまして、建築物の屋根での太陽光発電の普及など、再生可能エネルギーの普及、拡大に取り組んでまいります。
 最後に、県との協議に時間を要した場合の求償の可能性と許認可手続期間の短縮を求める事業者への対応についてでございます。
 県に求償するか否かについては県としてはお答えする立場にございません。また、許認可等の手続につきましては、期限ありきではなく、関係法令等に基づき適切に対応してまいります。
 以上でございます。
      

◆今井愛郎

 

 太陽エネルギー政策は大きな転換点となると思いますので、引き続き注視していただきたいと思います。
 最後に、救急安心センター事業、いわゆるシャープ7119の本県への導入についてお尋ねいたします。
 平成28年3月31日に消防庁が全都道府県に通知した「救急安心センター事業の更なる取組の推進について」では、救急搬送がほぼ一貫して増加している中で、救急車の適正利用の推進及び緊急度判定体系の普及の観点から極めて有効であり、導入に積極的に取り組むよう求めるとともに、関係者との合意形成に時間を要することから、速やかな検討を求めております。
 長野県の出動に関して見ますと、平成22年に下沢代表が質問に取り上げたときから比べますと、22年は8万2,337回だったのが、28年は9万5,329回で約1.15倍、1万3,000件ほど増加しています。とりわけ、理由別不搬送件数の「緊急性なし」は709回から984回と1.4倍増加しており、通知で記載されている傾向は本県でも同じではないでしょうか。緊急性のない救急出動は、救えるはずだったほかの命を救えなくなる可能性を生じさせるばかりか、消防隊員の意欲の低下や働き方にも悪影響を及ぼすものと考えられます。
 また、消防庁がまとめたシャープ7119導入実績報告によれば、救急車の軽傷病搬送の減少や不急の救急出動の抑制など救急車の適正利用、医療機関の受診適正化や相談電話の減少に伴う業務効率の向上、住民への安心、安全の提供などの導入効果だけでなく、横浜市では、事業費1億6,500万円で6億6,800万円の医療費適正化効果が報告されるなど、シャープ7119はさまざまな面から投資効果のある事業と考えます。
 さらに申し上げるならば、国は本事業を積極的に進めるために、事業導入のためのアドバイザー派遣や導入時の補助、運営経費の交付税措置など、幅広い支援でシャープ7119の導入を促しております。下沢代表が導入提言されて8年以上が経過しました。当時は導入予定はないとの答弁もありましたが、救急搬送を取り巻く環境は大きく変化し、当時は想定していなかった救急搬送や医療に携わる方々の働き方改革につなげるためにも、救急相談ダイヤル、シャープ7119を長野県にも導入すべきと考えますが、阿部知事はいかがお考えでしょうか。
      

◎知事(阿部守一)

 

 シャープ7119の導入についての御質問であります。
 適正かつ円滑な救急活動を担保していくためには、不要不急な救急出動を抑えて、救急隊員の方々の負担軽減や真に必要な出動を確保していくということが重要だというふうに考えております。県としては、既に子供を対象とする救急電話相談、シャープ8000を開設しておりますが、こうしたことに加えて、昨年度策定しました第2期信州保健医療総合計画におきまして、全世代が対象の救急相談ダイヤル、シャープ7119の導入の可否について検討を行うこととしているところでございます。
 導入に当たりましては、既に導入済みの9都府県、4地域の状況などを踏まえた上で、出動したものの搬送に至らない事案が全国に比べて少ない本県における導入効果の検証、24時間体制での医師、看護師、消防関係者など相談員の確保、医療、消防関係者間の合意形成などが必要になってくるというふうに考えております。こうした観点から、消防や医療機関の皆様とともに検討を行っていきたいと考えております。
 以上です。
      

◆今井愛郎

 

 知事から御紹介があった9都府県、4地域、これは、国民の人口でいうと40.6%がもう既にこのサービスを受けられる体制でいます。これから広島県の近隣でも入るようであります。長野県は、移住あるいは観光、あるいは高齢化の中で、こういったことに取り組むことが住民サービスにつながるし、いい数字しか言わないのかもしれませんけれども、報告書に出てくる数字は非常に費用対効果がある。いわゆる行政として投資する価値があるものだと私は思っております。本県が最後にならないように、先ほど知事も言いましたが、導入調整するのに相当時間がかかります。早期の検討をお願い申し上げまして、一切の質問を終わりにいたします。ありがとうございました。