平成30年11月定例県議会 発言内容(小島康晴議員)
◆小島康晴
私ども信州・新風・みらいでは、今定例会開会に当たりまして、知事に対しまして平成31年度予算編成と当面の課題に関する提案書を提出いたしました。ぜひ予算編成や県政運営に生かしていただきたいと思いますし、これまで、私どもの会派9人のメンバーがこれに基づき順次質問をしてまいりました。私が会派では最後となりますが、同じ観点で2点に絞って理事者のお考えを伺いたいと思います。
まず、青少年のSNS等による被害あるいはトラブルへの対策について伺います。
この問題につきましては、平成27年2月定例会において取り上げまして、私の知る限りの実情をるる紹介し、理事者として現状をどう把握しているか、そして、子ども支援条例、いじめ防止条例でこれに対応可能なのか、さらに、専門的な相談・支援体制の整備の必要性を訴え、質問いたしました。
これに対しまして知事は、子ども支援センターをさまざまな子供たちの相談のハブ機能を有するようにしたい。教育委員会、警察に加えて、市町村、民間の相談機関ともネットワークを構築して子供を守る取り組みを進めていきたい。特に、相談業務については、相談員に十分な研修を行うとともに、ネットのトラブル解決などに実績がある民間の相談・支援機関にも協力を求めて、一緒になってネットによるいじめ、嫌がらせ、そうしたものの防止、あるいはそうしたことが起きてしまった後の対応が行えるように体制のあり方を考えていきたいと答弁されました。
そこで、まず、この子ども支援センターにおいては、昨年度872件の相談の実績があるとなっておりますが、このうちインターネットにかかわるものはどれくらいあり、その相談の成果はどのようか、県民文化部長にお尋ねします。
私の知る限り、この3年半の間に事態はさらに悪化し、小学校低学年にも及んでおります。子供の将来にとって容易ならざる事態と憂慮しておりますが、知事は最近の状況をどのように捉えておられるか。また、この事態に対して県は有効な対策をとってきていると判断しておられるのか、伺います。
知事の公約などにも県民起点とありますが、まさにこの問題は、当事者である子供起点でなければならないと考えます。被害者にも加害者にもなりかねず、結果として将来を閉ざしかねない子供たちを出発点にして、いわゆるワンストップでわかりやすく速やかに対応する持続可能な仕組みが絶対に必要だと考えますが、知事のお考えはいかがでしょうか。
続いて、教育長に伺います。
SNS等インターネットのトラブルについても、一般的ないじめと同様に学校で十分把握されていない、あるいは、把握をしていても学校内で解決しようとし、市町村の教育委員会や県の教育委員会には報告、相談しないのではないかといったことが気にかかります。
いじめが見つかることが担任の先生や校長先生の勤務評定、学校の評価にかかわるのでしょうか。仮にそういうことがあるとすれば、これを改めなければ抜本的な解決はないと考えますが、いかがでしょうか。
子ども支援センターのインターネットにかかわる相談実績及び成果についての御質問でございます。
ネットトラブルに遭った子供やその保護者からの相談先としては、お尋ねのありました子ども支援センターのほか、県教委に設けられた学校生活相談センターがあり、また、最も身近な学校でも相談を受けております。
ネットトラブルを解決するためには、流出した個人の画像の削除など技術的な対応が必要なケースがありますが、これらの相談先では対応が難しいこともあるため、ネット技術に詳しい専門機関が今申し上げました相談機関をサポートする取り組みを平成29年度から委託事業として実施しております。
子ども支援センターの相談状況ですが、平成29年度に寄せられた872件の相談のうち、インターネット等に関係する相談件数は21件、相談者の内訳は、中学生、高校生からが11件、家族からが7件、その他関係者からが3件というふうになっております。
参考までに申し上げますと、学校生活相談センターは平成29年度に693件の相談を受け付け、そのうちインターネットに関係する相談は44件であり、ほかに、先ほどの専門機関が受け付けたインターネットに関係する相談は256件というふうになっております。
子ども支援センターの相談内容を見ますと、子供からは、スマホの使用方法やインターネットサイトへのアクセスによる架空請求の心配、個人情報の漏えいへの不安などが寄せられ、保護者からは、子供のスマホ依存への対応などの相談がございました。
子ども支援センターでは、例えば架空請求に関する相談に対して、自分で解決しようとしてむやみに画面の操作をしないように助言し、相談者に非がないことを伝え、安心感を持っていただきながら消費生活センターなどの機関につなぐなど、ネットトラブルに関係する機関と連携し、ネット被害防止を図っております。
青少年のSNS等による被害について何点か御質問いただきました。
まず、状況認識についてということであります。
先ほど県民文化部長から御答弁申し上げました県及び専門機関に寄せられております今年度に入ってからの子供のインターネット関係の相談件数を見ますと、いずれも昨年度を上回るペースで相談が寄せられているという状況にあります。
この相談内容を見ますと、オンラインゲームやネットショッピングでパスワードを教えたことによる金銭的な被害、あるいはSNSによります個人情報の流出、不適切な画像、動画の投稿、あるいはいじめ、またSNSで知り合った相手との出会い、こうしたものが主なものとなっております。
今年度の専門機関の相談では約19%が小学生であります。ネットトラブルは小学生にも及んでいるという状況がうかがえます。教育委員会の調査によりますと、スマートフォンを使用している小学生の割合は、平成27年度の28.4%から、今年度47.2%に上昇しているという調査結果もあり、こうした影響もあるものというふうに考えております。こうしたことから、スマートフォン等の普及によりまして、県内の青少年のネットトラブルはより複雑化、そして低年齢化しているものというふうに考えております。
こうした被害を防ぐための対策でありますが、これまでも官民協働組織であります県青少年インターネット適正利用推進協議会におけるフォーラムの開催や県民の皆様方がインターネットの適正利用等について学ぶ研修会に対する助成、あるいは子どもを性被害から守るための条例を踏まえた外部の専門的な講師を性被害防止教育キャラバン隊として派遣するなどさまざまな取り組みを行ってきております。しかしながら、今申し上げましたように、相談件数の増加といった現状を鑑みますと、さらなる対策の充実が必要ではないかというふうに考えております。
続きまして、子供を起点にしたワンストップ、わかりやすく速やかに対応する持続可能な仕組みづくりの必要性について御質問いただきました。
長野県におきましては、学校や県の相談機関をインターネットに詳しい専門機関がサポートすることによりまして、相談から支援、解決までを一貫して行う体制を平成29年度からつくらせていただいております。この体制は、完全なワンストップの仕組みとまでは言えないものの、県の相談機関と専門機関との協働の体制として子供のネットトラブルの解決を目指す一定の仕組みとなってきているというふうに考えております。
しかし、先ほど申し上げましたとおり、子供のネットトラブルの相談件数は増加してきているという状況でございます。こうした状況に対応するための専門人材の確保養成などの課題があるというふうに思っております。さらなる体制の充実を図ってまいりたいというふうに考えておりますので、そのための具体的な方策を検討していきたいと考えております。
以上です。
いじめの認知に関する教員や学校の評価についてのお尋ねでございます。
いじめの認知がおくれていじめの初期に有効な対応がとれないまま深刻な事態に至るようなことは絶対に防がなければなりません。そのためには、児童生徒の同じ言動を目にしても、ある教員はいじめであると受けとめ、別の教員はいじめではないと受けとめるといった認識のずれがないようにすること、そして、いじめの認知をマイナスと捉えるのではなく、いじめを積極的に認知し、有効な対応をした学校、教員こそ評価されるべきだという認識が浸透することが重要だというふうに考えております。
県教育委員会として、学校や市町村教育委員会はもとより、保護者を含めた地域社会全体がいじめの認知に対するこうした認識を共有し、いじめの問題に取り組んでいけるようしっかり進めてまいりたいというふうに考えております。
今、マイナス思考であるというお話がありました。いじめとかネットトラブルというものを、前向きに捉えるというのは言い方が変かもしれませんけれども、教育長には、ぜひこの事案を直視して解決、改善するように引き続き御努力をお願いしたいと思います。
それから、子ども支援センター、あるいは学校の相談センターにつきましてはそれぞれ取り組んでいただいてはおりますが、いわゆるネットトラブルについては十分な数ではないし、対応できていないのかなというふうにお聞きいたしました。原因を分析するとともに、一層の対応の強化をお願いしたいと思います。
今、知事からは、ワンストップのサービスについて一層の体制の充実を図りたいという御答弁をいただいたところでありますけれども、2017年の内閣府の調査では、小中高生の平日1日のネット利用時間は平均で159分だそうで、ほとんど3時間近いこと、それが平日毎日、しかも平均でということでございます。
2年ほど前に中国でサービス開始されたTikTokという動画サービスは瞬く間に1億5,000万人のユーザーを得るほどの人気ということでして、何の気なしに友達の動画を投稿すれば、それが全世界にさらされてしまいます。さらされたと気づいた本人が削除してもらおうとしても、これは簡単に削除できないという状況だそうであります。
このほか、時間がないので例示し切れませんが、知事からもありましたとおり、フェイスブックを乗っ取られて画像を要求されたり、誤ってパスワードを知らせたら高額な請求が子供に来たり、あるいはインターネット依存症で不登校になったり、いじめをしたり、されたり、性被害に遭ったり、犯罪一歩手前まで行ったり、さまざまなトラブルに何百人という子供が毎年巻き込まれていっております。
これに対して、ネットのトラブルに実績がある民間の相談機関というお話がありましたけれども、まさに協力を求めるどころではなくて、おんぶにだっこの状態だと私は思います。実質一人の方が、24時間、365日、電話、ファクス、メール、真夜中にもメールが来る、これに対応し、県内を東奔西走、現地指導まで行っています。直接赴かなければ解決できないし、手おくれになってしまいかねないからです。
お聞きしたところでは、4月から10月までにかかわった事案は282件、費やした時間は300時間余り、飯山から飯田方面まで毎週のように駆け回っておられます。これに対して県が用意していただいた予算は、昨年度が30万円ほど、今年度は80万円ほどであります。まさに県民の有志の個人の善意に甘えているとしか言わざるを得ません。
一層の体制の充実ということであれば、24時間対応できる、それから県民の方から見て、県というのはやはり役所ということで敷居が高い、あるいは県の職員の皆さんは3年平均で交代していく、そういうことを踏まえれば、県の責任のもとで、県と一歩離れたところでワンストップの窓口をつくってこれら子供の事案に対応してほしいと思いますけれども、その点について再度知事の御見解を伺いたいと思います。
この問題は、先ほども御答弁申し上げましたが、非常に深刻な問題だというふうに受けとめて対応していかなければいけないというふうに思っております。
小島議員の御質問にもありましたが、今、我々の対応は、県が将来世代応援県民会議に補助金を支出して、そこから専門機関に委託するという形でありますし、予算額についても、平成29年度に比べると今年度は大分増加させていただいているところでありますけれども、しかしながらまだまだ十分な予算にはなっていないという御指摘だというふうに受けとめております。
先ほど申し上げましたように、このネット対応というのは、やはり専門的な知識も必要になってまいります。そういう意味では、限られた人材を皆さんにどう有効に活躍していただけるかということとあわせて、やはり対応できる人材の裾野を広げていくということも必要だというふうに思っています。この専門機関のお考えも十分お伺いしながら今後のあり方について考えていきたいというふうに思っております。
以上です。
若干関連がございますので、先にもう一つの課題について質問させていただきたいと思います。さきの9月定例会でもお尋ねいたしましたが、重ねて南信運転免許センターについて伺います。
警察本部にあっても、知事部局にあっても、重要課題と捉え、鋭意研究、検討していただいているところですが、運転免許センターがある北信、中信、東信の地域の皆さんは、その多くの方が日曜日も含めて免許証の更新は即日交付されることができます。一方、南信、特に伊那谷南部では、大半の方が警察署に二度足を運ぶ、1カ月待つといった状況でありまして、急ぎの場合は塩尻まで出向いていくということでございます。このような状態を知事はどのように認識しておられるのか伺います。
また、昨年の12月、ちょうど今時分に、飯田の広域連合の皆さんが打ちそろいまして、知事及び警察本部長に、せめて新年度予算に調査費を盛ってほしいという要望をいたしましたが、1年間いわばたなざらしになっております。新年度には最低でも調査費を計上していただき、前向きな姿勢を示していただきたいと思いますが、知事の御英断を伺いたいと思います。
南信地域の皆様方にとって、この運転免許センターが南信地域には存在していないという現状、これは地域の皆様方からも設置に向けた要請をいただいているところでありますし、私としても免許証交付手続の利便性の向上が課題であるということは十分認識をさせていただいております。
私の英断という御質問がありましたけれども、これは、警察本部のほうでまずはしっかり考えていただかなければいけない課題であり、警察本部においても十分問題意識を持ってお取り組みをいただいているものというふうに認識をしております。
私としても、今後とも警察本部としっかり課題を共有させていただき、考え方を十分お伺いしながら、予算調整権を有する知事の立場としても必要な対応を検討していきたいというふうに考えております。
以上です。
あるところとないところの差というのは、ある意味では不公平だというふうに考えるんですけれども、これをできるだけ長いこと放置しないでいただきたいというのが基本的な要望でございます。研究する、検討する、認識している、考えていますという答弁がずっと続いておりますけれども、問題は、結局はやるかやらないか、お金をつけ、人をつけるかどうかというふうなことだと思います。
予算編成が基本的にはボトムアップであることは承知しておりますし、つかさつかさを大切にすることも大事だと思いますが、今回、部局長裁量経費の創設なんていうことも結構なことだと思いますけれども、時には200万県民の負託を直接受けた知事として、予算調整権、あるいは人事権を持っている知事として、ことしはこれをやろう、例えば新しい子供を守るためのシステムに500万出そうとか、あるいは免許センターをつくるために何らかの予算計上をしようということをいわゆるトップダウンでお示しいただいてもいいのではないかと思いますが、その辺の知事の考えを伺いたいと思います。
私は、知事として、これまでも相当各部局に叱咤激励させていただいております。全てボトムアップで上がってくるものを黙って待っているというような県政運営ではなくて、恐らく、各部からすると、知事からの宿題が多過ぎるというふうに受けとめている部局が多いんじゃないかというふうに思っています。
この免許センターの設置という話については警察本部の皆様方がいろいろ検討されていますが、これまでも本部長から答弁していただいているように、いろいろな課題をどう解決するかということを検討されているわけでありますので、私がつくれと言っただけで簡単につくれるというものでは当然ないわけであります。
政策の方向性としては、何度も繰り返し申し上げておりますように、県警本部長も私も問題意識を持って取り組ませていただいております。しかしながら、これはやはり飯田地域、下伊那地域、伊那谷地域、地域をどうするかということにも関係してまいりますので、そうしたことをしっかり考える中で県としての方向づけをはっきり行っていきたいというふうに思っております。
以上です。
その叱咤激励の中にぜひきょうお願いした2点を入れていただきたいと思うわけでございます。
信州の将来を担う子供たちを守るために、予算の枠、シーリングがあってはならないと思いますし、免許証交付という県のサービス、いわば県政の恩沢に県民が等しく浴することができるように、理事者の皆さんの御決断を重ねてお願いして、終わります。