平成30年6月定例県議会 発言内容(小島康晴議員)
◆小島康晴
おはようございます。まず、先月25日発生の栄村での地震、また、今月18日発生の大阪府北部の地震により被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。地方議員の立場としても、引き続き防災・減災対策の推進に努めなければならないと決意を新たにいたしております。
さて、現在のこの議会棟の建物は、今からちょうど50年前の昭和43年5月に完成しております。そして、この年は、参議院議員選挙の関係で、6月定例会ではなく7月定例会であったそうですが、その初日、昭和43年7月4日は、新たに完成したこの議場で初めての本会議が開かれた日とのことであります。以来、半世紀に及ぶ年月が流れました。本年は、県歌「信濃の国」制定50周年でもあり、この本会議場は、県歌「信濃の国」とともに県政にその歴史を刻んでおります。本会議場完成50周年、そんな節目となる定例会の最初の質問を大変光栄に存じつつ始めさせていただきます。
時節柄、全て知事にお尋ねし、お答え願います。県政の成果と課題について伺います。
知事の公約であります基本政策集2014の実施状況について、131項目中約8割が実施済みまたは実施中であるとされ、先日の議案説明でも多くの成果を列挙され、その結果、幸福度ランキング総合3位になったと前向きの評価をされています。しからば、3期目を目指すに当たり、やり残したと思うもの、あるいは不十分であったと考える課題等は何か、伺います。
次に、基本政策集2014では、現場の声から国を変えるを基本スタンスの一つとし、「週末信州暮らし(2地域居住)を増大させるための政策を国に提案する」と掲げています。どのような形で提案し、取り組まれたのか。また、その具体的成果について伺います。
以下、今後の県政運営に当たりぜひお考えいただきたいことなど6点ほど提案し、お尋ねいたします。
先ごろ、東京都目黒区で5歳のお子さんが両親の虐待で死亡するという大変痛ましい事件があり、児童相談所のあり方等に関心が高まっています。全国的にも、児童相談所の相談数は児童虐待を中心に激増しておりまして、職員不足等で十分な対応ができていない、あるいは、夜間や休日の対応も多く、重たい仕事の負担から相談員の方自身が病に倒れてしまうということすらあるとお聞きいたします。そこで、緊急かつ大変重要な課題だと思いますが、長野県の児童相談所の人的体制は十分か、職員不足の現状と職員増加の対策等をどのようにお考えか、伺います。
地域振興推進費につきまして、予算編成時にもその増額を要望してまいりましたが、1年間の実績を見てからとして、昨年度と今年度は同額になっております。小さく産んで大きく育てる発想で、次年度以降はぜひ地域振興推進費をしっかり増額し、それとともに、その推進費を生かすためにも、地域振興局の職員体制の充実をさらに図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
先般、会派の視察で山口県と広島県にお邪魔しました。お話を伺っていて、何か違和感があるなと思って気がついたのは、両県とも市町村という言葉がないのです。そこで、改めて調べてみますと、平成の大合併によりまして、この両県を初めとして、「村なし県」、いわゆる村のない県が13にも上り、35の村を擁する長野県は、村のある県、「村あり県」の断トツの1位となっております。広い県土に村を初め77の自治体があり、それぞれの地域課題に立ち向かっておられるということに改めて思いをいたすところです。町村長さん方とお話ししていても、似たようなお隣同士の村でも抱える課題は千差万別だなというふうに感じます。
そこで、県政の重要部分を占める個々の市町村、とりわけ小規模な町村のニーズにあった支援を行うため、地域振興局が中心となって市町村の声にきめ細かに耳を傾けることが大切と考えるが、いかがでしょうか。
田園回帰1%戦略というものが何年か前から提唱されております。概略を紹介すれば、過疎に悩む地域では、住民数の1%の定住者を毎年受け入れ、地域の外に流出している所得を1%ずつ取り戻すことで地域の人口が維持でき、暮らしや経済が継続的に成り立つという考え方です。提唱者の藤山浩さんの地元でもある島根県などで成果が出始めており、また、飯田市では、これを参考にいたしまして、市内の20の地区でそれぞれ「田舎へ還ろう戦略事業」を実施していこうとしています。大変有意義な施策であり、ぜひ全県下で展開するよう考えたらよろしいのではと考えますが、いかがでしょうか。
知事の公約に基づいて文化振興基金が創設されまして文化芸術振興に取り組まれております。まことに結構なことだと思いますが、9年後に開催される国体や老朽化していく道路や建物などの施設の更新など重要かつ長期的に取り組む必要のある課題については、安定的、計画的に事業が執行できるようにこの文化振興基金のような基金を創設して取り組むべきと考えるが、いかがでしょうか。
しあわせ信州創造プラン2.0の施策の推進に当たっては、知事の強いリーダーシップとともに、基本政策集2014にも掲げられている職員力の向上が必要と考えます。職員個々人と職員組織の双方の強化が必要と考えますが、現状と課題について伺います。
以上、知事に伺います。
小島議員の御質問に順次お答えを申し上げたいと思います。
この間の県政を振り返っての御質問でございます。2期目の公約でやり残した課題、不十分であった課題という御質問でございます。
私は、県民の皆様方から選挙で選んでいただいた立場として、県民の皆様方とのお約束はしっかり守ろうという思いでこの4年間懸命に取り組んでまいりました。そうした中で、御質問にも引用いただきましたように、2期目に掲げた公約の8割以上は一定の成果を上げてくることができたんじゃないかというふうに思っております。
ただ、必ずしも私自身が十分だというふうに納得できていない分野もございます。幾つか例を申し上げますと、例えば、地域内経済循環の促進という観点で、昨年度末にもしあわせバイ信州運動にかかわる取り組みを県内の小売店と連携して行わせていただきましたけれども、地産地消であったり、地消地産であったり、そうした地域内経済循環を進めていく上での取り組みはこれからまだまだ本格化させていかなければいけないというふうに思っています。
また、発達障害者の方たちへの支援ということも、各分野ごとにそれぞれ一定の推進をすることはできたというふうに思っておりますけれども、しかしながら、教育であったり、医療であったり、福祉であったり、さまざまな分野がより連携して対応していかなければいけない部分が多いということもあり、また、とりわけ小学校入学時の段階は、市町村との連携ということもさらに確保していかなければいけないと思っております。そういう意味で、より充実した取り組みが必要だと思っております。
また、地域交通も、貨客混載であったり、タクシー定期であったり、企画振興部の努力で、交通事業者、バス事業者、タクシー事業者の皆さんと対話をしながら、かなりいろいろな取り組みを進めてくることができたというふうに思っておりますけれども、ただ、広い県内の地域交通の確保についての本格的な取り組みといったような観点では、まだまだこれからやるべきことがたくさんあるという認識であります。
そういう意味で、今申し上げたような点については、新しい総合計画、しあわせ信州創造プラン2.0の中にも反映させてきておりますので、今後、県議会の皆様方の御理解も得ながら、しっかりと着実に政策が進むように努力をしていきたいというふうに思っております。
それから、2地域居住増大のための国への提案と成果という御質問でございます。
私どもの提案としては、通勤手当、これは2地域居住を進める上で、都会と長野県を行き来しやすいように通勤手当の非課税枠の拡充をしてほしいといったようなことに加えて、高速料金の割引制度であったり住宅取得における税制上の措置、こうした点について私ども長野県としても国に対して提案いたしましたが、より広くほかの都道府県と連携していこうということで、関東知事会であったり、将来世代応援知事同盟の提言の中でも国に提案をさせてきていただいております。全て実現したというところには至っていない部分が残念でありますが、このうち、例えば通勤手当の非課税枠につきましては、平成28年度の税制改正におきまして、一月当たり10万円から15万円に限度額が引き上げられております。これによりまして、例えば都内の新宿から長野駅までの通勤もこの通勤手当の非課税枠の対象になるということで、大変大きく範囲が拡大されたところであります。
また、総務省でさまざまな移住政策の検討をしておりますが、これからの移住・交流施策のあり方に関する検討会に本県職員も参加して、関係人口創出のための施策構築にも参画をしました。その結果、今回補正予算の中にも関連経費を盛り込ませていただいた「関係人口」創出モデル事業といったものも実現してきておりますので、引き続き国とも連携しながら、また働きかけながら、この移住や2地域居住が進むように取り組んでいきたいと思っております。
それから、個別テーマについての御質問でございますが、まず、児童相談所の人員体制についてであります。
これは、私もかねてから問題意識を持って児童相談所の職員と対話をしながらあり方を考えてきております。そうした中で、児童福祉法が改正されて、順次この配置基準が充実の方向に向かってきております。平成29年4月の見直しが行われましたが、現時点で本県はこの基準を満たしているという現状でございます。
ただ、まだまだこの困難事案に対する体制の強化を行っていかなければいけない部分があるというふうに思いますし、また、基準自体もさらに引き上げられてくるという状況でありますので、私どもは現場の実態をしっかり把握させていただいた上で引き続き増員に努めていきたいと考えております。
それから、地域振興推進費の増額と職員の充実についての御質問でございます。
地域振興推進費につきましては、各地域振興局長がリーダーシップを発揮して課題解決に向き合っていただこうということで創設をしましたが、まだ1年経過したばかりということで、今年度の予算額については据え置かせていただいたところであります。本年度からは、局長の提案、要望を各部局の予算要求に反映するという仕組みも新たに導入してきております。この予算のあり方については、引き続き地域振興局を充実させるという観点で考えていきたいというふうに思っております。
また、組織体制につきましては、例えば年度内の局内の職員の異動や現地機関同士の兼務発令、こうしたものは地域振興局長ができるようになっております。また、局長が定数要望できるという制度にもさせてきていただいておりますので、ぜひ各局長にはこうしたものをフルに活用してもらいたいと思っておりますし、また、県全体としても、この地域振興局が地域の皆さんにしっかり向き合って結果を出せるような組織となるように常に検討を重ねていきたいというふうに思っております。
それから、地域振興局を中心に市町村の声に耳を傾けるべきだということ、これは私も全く同じ思いでございます。今回の総合計画策定に当たりましても、市町村の皆様方の声をかなり聞かせていただいております。地域振興局長も、地域戦略会議や広域連合の会議への参画、さらにはブロック会議等さまざまな場面で市町村の皆様方の声を積極的に聞いてきているというふうに思っております。市町村と私ども長野県は行政を進めていくパートナーでありますので、これからもしっかりと連携協力できるように取り組んでいきたいと思っております。
それから、田園回帰1%戦略の取り組みについてという御質問でございます。
この田園回帰1%戦略を提唱された藤山浩先生につきましては、本県にも複数回お越しをいただき、私も直接お話を伺わせていただいております。中山間地域における持続可能な経済構造創出の必要性ということについて、私どもも理解をし、認識を深めてきたところであります。
新総合計画、しあわせ信州創造プラン2.0の中にも、先ほど申し上げた地域内経済循環の促進や移住定着の推進、こうした観点を盛り込んでおりますが、これらの政策、具体化はこれからという状況でございます。我々県は、一般的にどうしてもふわっとした形で地域を把握してしまいがちですけれども、御質問の田園回帰1%戦略のようなことを考える上では、やはり具体的な地域をイメージしないと進められませんので、市町村の皆さんとしっかり連携しながら、我々も具体的な地域にしっかりと目を向けて、庁内各部局が連携してこうした視点の実現に向けた取り組みを行っていきたいというふうに思っております。
それから、長期的かつ重要な課題に対応するための基金の創設についてという御質問でございます。
今後、国体の開催や老朽施設の更新など、御指摘のとおり多額の財政需要が見込まれております。これに対してどう向き合うかということは、私も大変重要な課題だと思っておりますし、御提案がありました基金の設置ということも一つの手段だというふうに思っております。
ただ、他方で、社会保障関係経費が毎年増加し続けている中で、必ずしも毎年の財政に余裕があるという状況でもないわけであります。そういう意味で、今後、国体や障害者スポーツ大会、あるいはリニア中央新幹線の関連事業などさまざまなインフラ更新の総事業費をまずは適正に見積もっていきたいというふうに思っております。その上で、中長期的な課題に対応していくために特定目的の基金を創設して対応するのか、あるいは毎年度のやりくりの中で対処していくのが適切なのか、この辺をしっかり検討を行っていきたいというふうに思っております。
それから、職員力の向上、個人と組織の強化ということで、しあわせ信州創造プラン2.0を実現していく上では、御指摘のとおり、県職員と組織の力を総動員していくということが大変重要だというふうに思っております。
現状、幾つか課題があると思っております。どうしても多忙感がある職員が多い状況でありますので、新たな知識や技術を学ぶ機会が必ずしも十分ではないというふうに思っておりますし、また、組織としても、職員相互の協力関係、あるいは県の組織外部の市町村や企業との連携協働ということもまだまだしっかりやっていかなければいけない部分であるというふうに思っております。
こうした観点で、しあわせ信州創造プラン2.0の中では、「「学ぶ県組織」への転換」ということを掲げております。こうした中で、職員研修の充実強化、市町村や企業との人事交流の活性化、こうしたことを通じて、より課題にしっかり向き合える職員の育成を図っていきたいというふうに思っております。また、県組織の仕事の仕方自体も、部局横断あるいは組織横断で仕事をするような習慣をつけていくことが必要だと思っております。そういう意味で、チャレンジプロジェクトということ自体、この組織の仕事の仕方を変えていく一つの取り組みだというふうに思っております。
こうした取り組みを通じて、職員一人一人の能力の単純な総和ではなくて、組織として総合力をしっかり引き出すことができるような取り組みを行っていきたい。その上で、県民の皆様方の期待に応えられる組織へと変わっていきたいというふうに思っております。
以上でございます。
児童虐待への対応につきましては、児童相談所だけの仕事とか責任ではないと当然思うわけですが、やはり児童相談所が頼れるべき一番の柱には違いないと思いますので、ぜひ早急な対応をお願いしたいと思います。
それから、地域振興局にかわって1年数カ月たちまして、私の地元の振興局の皆さんも大変頑張っていただいているというふうに感じておりまして、大いに期待するところでありますし、同時に、県と市町村の協議の場というような場もありますけれども、やはり身近な県の組織の振興局が、現地と一番接する組織として、個々の町村の具体的な悩みの相談に乗っていただけるようにさらに頑張っていただけるとありがたいと申し述べておきたいと思います。
職員力の向上にかかわって、1点再質問いたします。
組織のあり方について水と船の関係に例えられることがあります。名君も支えるよい水があってこそと私は理解いたしますが、いわば県庁の外から来られて知事に就任され、この7年、8年の間に、先ほどお聞きしました職員力の向上にかかわって、職員や職員組織と知事との信頼関係の醸成は十分できてきたかどうか、現状について所感を伺いたいと思います。
次に、通告いたしました大きな2番目につきまして、先ごろ、長野県世論調査協会から、しあわせ信州創造プラン2.0につきまして、「内容を含めて知っている」が7%にとどまり、「全く知らない」が49%との調査結果が示されました。知事としてもさまざまに県民参加を進めて計画策定をしてこられましたし、私ども県議会としても研究会をつくって策定に積極的にかかわったことを思いますと、まことに残念なアンケート結果でもあり、危機的意識も持つところでありますが、知事はどのように受けとめておられるか所感を伺います。また、今後、どのように認知度を上げ、せっかくつくった総合計画を県民共有のものとしていくのか、お尋ねいたします。
それから、大きな3番目といたしまして、新たな総合計画がスタートした年度の最初の議会定例会にもかかわらず、知事の提案説明を目を皿のようにして見返してみましたが、リニアのリの字もありませんでした。県政の守備範囲は大変広く、毎回毎回全ての課題に触れていただくことは難しいとは承知しておりますが、一言もないと若干気がかりになります。
そこで、総合計画でもしっかり位置づけてはいただいておりますが、リニア中央新幹線の開業が9年後に迫る中、国やJRの事業も含めまして、リニア中央新幹線と三遠南信自動車道の進捗状況の評価について知事の所感を伺います。また、高速交通網整備による長野県、とりわけ伊那谷の発展に向けた知事の意気込みを改めてお伺いいたします。
まず、再質問でちょうだいしました職員との信頼関係ということでございます。
これは、知事として仕事をしていく上で、県民の皆様方の御理解と御協力、そして県の職員がしっかり力を発揮してもらえる環境をつくること、この両面が重要だというふうに思っております。両副知事、各部長を中心に、政策会議等を通じて私の思いを伝えさせていただき、また、各部局の課題を私も共有しながら県政を進めてきております。できるだけ多くの職員と接する機会を持ちたいということで、今年度新しく課長になられた方々とのランチミーティングといったようなことも行って、仕事以外の部分でも職員の皆さんと意思疎通を図ろうという取り組みも始めました。引き続き、県職員の皆さんと一緒になってこの県政をしっかり進めていけるような体制づくりに意を用いていきたいというふうに思っております。
それから、しあわせ信州創造プラン2.0の周知についてでございます。
まずこの世論調査に対する所感ということでございますが、新しい総合計画スタート前のアンケートであり、半数の方に知っていただいているということは結構知っていただいているなというふうな受けとめであります。この後、私は、各種団体や県民の皆様方にこのしあわせ信州創造プランのお話をさせてきていただいておりますので、これからもっともっと我々自身努力をしていかなければいけない部分もあるというふうに思っていますが、今回、計画策定の段階から県民の皆様方との対話を重ねてきたということが、このスタート前でも半数の方が知っているということにつながってきているんじゃないかというふうに思っております。
行政の計画、特に、市町村と違って、県の場合は身近な行政部分を担っていないところも多くありますので、そういう意味では全ての県民の皆様方に深く計画の内容を御理解いただくというのが率直に言ってなかなか難しい部分があるというふうに思いますが、計画の基本目標としての「学びと自治の力で拓く新時代」であったり、あるいは確かな暮らしが営まれる美しい信州を目指すんだという基本目標、こうしたものについてはできるだけ共有していけるように努力をしていきたいというふうに思っております。
それから、今後どう認知度を上げていくかということでございますが、まず、私どもが政策を進めていく際にともに取り組んでいただくパートナーとしての市町村や関係団体の皆様方に十分御理解をいただくということが最重要だというふうに思っております。
地域戦略会議や地域懇談会などさまざまなコミュニケーションの機会を活用して理解を深めていただけるように取り組みを行ってきていますが、これからもしっかり着実に浸透するように努力をしていきたいと思っております。
また、多くの県民の皆様方とこの考え方を共有していく上では、県の職員一人一人が自分たちの業務の中で発信していく、あるいは自分たちの業務がこのしあわせ信州創造プラン2.0の中でどういう役割を果たしているかということをやはりしっかりと認識していくということが重要だと思っております。
そういう意味で、組織内における浸透ということもしっかり行っていく必要があると思っておりますが、チャレンジプロジェクトを初めとする庁内での政策議論や政策研究の場、あるいは力量形成ゼミなどの場で、職員一人一人がこの計画の目指す姿についてそれぞれの仕事に引きつけて考えを深められるように取り組みを行っていきたいというふうに思っております。
それから、リニア中央新幹線と三遠南信自動車道の関連でございます。
まず、進捗状況評価ということでございますが、リニア中央新幹線につきましては、一昨年に着工いたしました大鹿村の南アルプストンネル長野工区を初めとする4工区で非常口の掘削、工事用道路の整備、準備工事等が地域の皆様方の御協力のもと着実に進んできているところでございます。
去る6月11日にリニア建設促進長野県協議会総会を開催いたしましたが、その場において2027年の開業が確実に実現するよう事業を着実に進めることを決議して、JR東海に要請させていただいております。
また、三遠南信自動車道につきましては、長野県内の計画延長約50キロのうち現道活用区間も含めて約34キロが供用済みという状況であります。残る区間も全て事業中でございます。今年度は、仮称青崩峠トンネルの本坑掘削に着手いたしますとともに、来年度には仮称天竜峡大橋が完成し、天竜峡インターチェンジから龍江インターチェンジ間が開通の見通しであります。このように着実に事業は進んできているというふうに受けとめております。物流の効率化によります地域産業の振興を図りますとともに、リニア中央新幹線の効果を広く波及させるため、引き続き早期の開通を国に働きかけていきたいと考えております。
それから、高速交通網整備によります長野県、とりわけ伊那谷の発展に向けた意気込みという御質問でございます。
高速交通網の整備、これは長野県をより活力ある地域にしていく上で大変重要な事業だというふうに思っております。特に、伊那谷におきましては、今まで比較的交通の利便性が低い地域であったわけでありますが、リニア中央新幹線や三遠南信自動車道が開通することによって飛躍的に置かれている状況が変わってくるというふうに思っております。私どもの努力次第という部分もございますが、観光の振興あるいは移住、定住の促進、物流や企業連携の強化、こうした多くの効果が期待されているわけでございます。私ども長野県としては、まずはインフラ整備ということで、伊那谷人口の85%が東京90分圏内となるよう関連道路の整備をしっかり進めていきたいというふうに思っております。
また、あわせて、このインフラを活用して地域が発展することができますように、伊那谷自治体会議における議論を県としてもさらに進めていきたいと思いますし、リニアバレー構想の実現に向けて私が先頭に立って全力でこの伊那谷の発展に向けた取り組みを市町村の皆さんと連携して進めていきたいと考えております。
以上でございます。
総合計画の認知ということにつきましては、私も、何かお話しする機会があるたびに、学びと自治、学びと自治というようなことを申し上げておりますけれども、知事を先頭に、教育委員会や警察まで含めれば何万人という職員の皆さん一人一人が総合計画を自分のものとして県民の皆さんに広げていただくということがやはり肝要かなというふうに考えております。
昨日、わけありまして大きな荷物を持って両手がふさがっていて、本庁舎から出ようとしたところ、通りがかった県の若い職員の方が足をとめてわざわざ二つのドアをあけて私を通してくれました。大変助かりましたし、すがすがしい気持ちでいっぱいになりました。小さな思いやり、気配りを数千人の職員の皆さんが積み上げて広げていただければ、大きな輪となりまして、県政と県民の皆さんとのきずなを一層強めることにもつながり、総合計画もみんなで力を合わせてやっていく、そんな形になると思います。そんなことを申し上げまして、終わります。