平成30年9月定例県議会 発言内容(竹内久幸議員)
◆竹内久幸
信州・新風・みらいを代表して質問を行います。
阿部知事には3選目の当選おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。
第2次中期総合計画であるしあわせ信州創造プラン2.0の達成を初め、今回の知事選前に公表した基本政策2018に掲げた公約を実現し、県民生活向上のため誠心誠意尽力されることを期待を申し上げます。
また、この3期目は人口減少対策への対応や子育て支援、医療介護サービスの確保、地域包括ケア体制の見える化、地域公共交通の確保、産業の育成、働き方改革などなど、結果を残すことが問われるとともに、国民体育大会や全国障害者スポーツ大会の準備やリニア中央新幹線への対応など、中長期的な課題への着実な推進が問われております。
阿部知事には、この重要な3期目に当たり、県議会や市町村、県職員と連携し、県民起点の姿勢で堅実に県政運営を推進していただくことをお願いをしたいと思います。
さらに、県政運営の活性化のためには、知事が率先して、県職員の皆さんが知事に率直に物が言える環境づくりを行うことが求められていますし、職員の皆さんにも知事に対して率直に物を言う姿勢を持っていただきたいと思います。
以上、申し上げて、質問に入ります。
まず、この間の自然災害を教訓とした今後の取り組みについて知事に伺います。
西日本豪雨、北海道地震、台風21号災害、台風24号などにより亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
本県においては、台風による農業被害があり、9月補正予算案に市町村が行う緊急対策事業への支援予算を計上するとともに、7月豪雨等により被災した道路、河川等の復旧予算や、防災・減災対策の加速化のための予算を計上しているところですが、近年の異常気象を考えると、さらなる防災、減災対策の加速化が問われていると思います。
そして、特に西日本豪雨で教訓としなければならないと思うことは、避難指示や勧告が発令されても、行政と住民の認識の乖離から住民の避難行動にはつながらず、被害が拡大してしまったということであります。このいざというときの避難指示や勧告についての住民理解の徹底が今後大きな課題であると思いますが、県として今後どのような取り組みを行っていかれるのか伺います。
次に、県有施設のブロック塀の調査結果と対応について伺います。
6月18日に大阪府北部を震源として発生した地震で、倒壊したブロック塀等の下敷きとなった小学生を含む2名の方が亡くなられたことを踏まえ、県では安全対策の周知を行うとともに、県有施設や県内公立学校のブロック塀の安全点検を指示し、行ってまいりました。
その結果、県有施設では、193カ所のブロック塀のうち、建築基準法の現行基準に適合しないものは116カ所もあり、そのうち倒壊のおそれのあるものが1カ所あり、直ちに撤去するとともに、建築基準法の現行基準に適合しないものは速やかに撤去、または補修するとしました。
また、市町村立学校敷地内のブロック塀の点検結果では、全小中学校544校のうち、塀のある小中学校52カ所中、現行の建築基準法に不適合な塀が22校あり、うち倒壊のおそれがある塀が15存在するとされました。今後の対応として、倒壊のおそれのあるブロック塀については立入禁止とした上で撤去するとともに、建築基準法に不適合なブロック塀についても補修または撤去を行うとしています。
災害は忘れたころにやってくると言われますが、災害発生時には点検、調査を行ったり、当面の方向を示しますが、大切なのは、その後対策が確実に実施されているかであります。その意味で、今後の県有施設の取り組み状況と、実施を確実に担保する仕組みづくりが必要と考えますが、今後の取り組みについて伺います。
次に、知事選結果について知事に伺います。
さきの知事選の結果は、有効投票数に占める得票率で阿部知事が85.14%で圧勝しましたが、投票率は43.28%で過去最低を更新してしまいました。そこで、その受けとめと、今後有権者に県政が身近に感じられる取り組みが問われると思いますが、その取り組みについて伺います。
また、今回の知事選は10代の有権者が投票した初めての選挙であり、阿部知事は10代で投票した有権者の83%の得票を得ており、これらの若者の期待に政策的にどう具体的に応えていくかお考えをお尋ねいたします。
3期目となると、首長はとかくトップダウンになりがちと言われますが、選挙期間中、初心を忘れずとたびたび強調されたことへの思いとは何か。また、3期目の県政運営に挑む姿勢についてもあわせて伺います。
次に、知事選で公約された課題の具体化について知事に伺います。
知事選に当たり、阿部知事は第2次県総合5カ年計画の着実な推進を前提に、公約と言える基本政策集2018を公表し、当選後、その実現のための当面優先して取り組む25の政策パッケージを選挙後初の部長会議で示し、実施のため、今議会に一部補正予算案を提案されました。特に速やかに取り組んでいくとして、補正予算案に防災・減災対策の加速化、7月豪雨災害の災害復旧、県立学校への空調施設の整備、保育士人材バンクの機能強化、地域包括ケア体制準備状況の可視化、医療機器関連産業の集積形成、信濃美術館本館の改築、信州まつもと空港の慢性的な駐車場不足の解消等々の予算を提案されたことに敬意を申し上げたいと思います。
これらの経緯を踏まえ、当面優先して取り組む25の政策パッケージについてはわかりましたが、さまざま公約している中で、任期の中で特に重点的に取り組もうとしている課題は何か、まずお尋ねをいたします。
次に、公約である基本政策2018、以下、基本政策集に略しますけれども、に記載されている主な内容について順次伺ってまいります。
まず、基本政策には、新たな組織等の設置として、幼児教育支援センター(仮称)、信州地域デザインセンター(仮称)、長野県経営本部(仮称)の設置が掲げられていますが、それぞれどのような役割を想定しておられるのか、また、設置の時期について伺います。
基本政策集の重点1「学び」、創造的な学びを推進し、多様な学びの場を整備の欄には、信州型自然保育を一層推進するとしていますが、国が2019年から実施する幼児教育、保育の無償化では、自然保育でも認可保育施設と認可外施設で利用料負担で差が出てしまう可能性がありますが、どのように対応していかれるのかお伺いをいたします。
このことについて、私は、先日、県民文化健康福祉委員会の現地調査で、県の信州型自然保育特化型認定園の佐久穂町にある森のようちえん、ちいろばを視察しましたが、代表者である園長は千葉県から本県に移住し、廃校を活用し、幼稚園を開園し、現在の園児は26名ですが、幼稚園の理念に共感し移住してきた方や、佐久地域から広く園児が通園しているとのことでありました。
しかし、園長からは、今後の課題として、国の制度改正により保育料の無償化が実現された場合、無認可である施設が対象外となれば存続できない可能性が高いことへの対策や、ふえている移住希望者や移住予備軍に対しての空き家や別荘地、田舎暮らし情報の提供等の充実等に取り組んでほしいとの指摘がなされました。
このように、この問題が直面する大きな課題となっておりますので、真剣な取り組みをお願いをいたします。
次に、基本政策集の「産業」、農林業の成長産業化と小規模農家等への支援の欄に、「主要農作物種子法の廃止に伴い、長野県原種センターの位置付けの明確化や伝統野菜などの保全を視野に入れ、広く県民の御意見をお伺いした上で、長野県種子条例(仮称)の制定を検討します。」としています。
このことにつきましては、6月22日に、私たち会派、信州・新風・みらいとして、阿部知事に対し種子法廃止に伴う県条例の制定等について申し入れを行った際、問題意識は共通している。公約の中に載せることも含め前向きに検討したいとし、今回、基本政策集の中に掲げていただいたことに敬意を申し上げます。
そこで、条例制定に向け、生産者や消費者の関心が高いことから、学識経験者や関係者、県民代表等で構成する検討会等を設置する手法についてと制定の時期について伺います。
また、基本政策集には、ほかに公文書管理条例(仮称)と自転車条例(仮称)の制定を掲げていますが、公文書管理条例についてはその目的と制定の時期について、自転車条例についてはその目的について伺います。
これまで、知事は、就任以来さまざまな条例を提案し、制定してきましたが、これまで制定した条例が生かされているのか、時代の変化に対応しているのか等を検証し、見直すべきは見直し、進化させることを求めておきたいと思います。
また、知事が前に公約した条例の中で、障害者差別禁止条例は、国の法整備と重なり保留されたままになっていますが、今後どうされるのかもあわせて伺います。
次に、働き方改革についてですが、労働界には産業育成の力点と比較し、弱いのではないかという指摘があります。そこで、基本政策で職場いきいきアドバンスカンパニー制度の活用を通じた誰もが働きやすい環境の整備に積極的に取り組むことを掲げたことを生かし、この認証企業が最近104社となりましたが、県内企業数の比率から見るとまだまだ少ないことから、もっと積極的な知事の言う攻めの取り組みが必要であり、結果が問われていると思いますが、決意を伺います。
次に、子供の医療費の現物支給を8月1日から実施しましたが、選挙中の新聞報道によると、窓口負担について、低所得者に対する支援を別の形で充実するとか、その分の経費で貧困格差にしっかりサポートしていくことが重要と発言したと報道されましたけれども、低所得世帯の子供に対する支援についてどのような施策を考えておられるのか、具体的な施策についてお伺いをいたします。
基本政策集では、「学び」で、学びや共生の欄で、大学生等の県内定着を促進するための奨学金制度の創設を検討、給付型奨学金の充実を掲げており、同意をするところですが、具体的な取り組み内容について伺います。
基本政策集に関する質問の最後に、働き方改革に関連し、会計年度任用職員制度導入の本県の対応について伺います。
先日、県民文化健康福祉委員会の県内調査の折、上田合同庁舎での東信消費生活センターの職員数の説明で、計6名のうち4名の消費生活相談員が行政事務嘱託員であるとの説明がありました。この説明に対し、私からは、国の働き方改革で2020年4月から会計年度任用職員制度が導入されるが、処遇改善を検討しているのかをただしたのに対し、所長からは、まだ本庁から具体的な指示は来ていない趣旨の答弁がされました。
私からは、なぜこの質問をしたかといえば、日常の勤務の中で主力を担っている行政事務嘱託員の御苦労を把握しているのは現場の皆さんであり、この制度に依拠して少しでも職場環境を改善するために率先してこの機会に処遇改善を果たすよう本庁に意見を言ってほしいと求めてきたところであります。
そこで、消費生活センター等で中枢を担い、尽力されている行政事務嘱託員の会計年度任用職員制度による処遇改善をどのように考えておられるのか、県民文化部長に伺います。
また、2020年4月から会計年度任用職員制度が導入されますが、県の基本方針について、総務部長に伺います。
次に、契約に関する条例の具体化について、知事に伺います。
平成26年3月に長野県契約に関する条例が制定されてから4年目になります。この間、契約審議会の審議を踏まえ、取り組み方針を具体化し、印刷の請負に係る最低制限価格制度の試行と適切な予定価格の検討、信州県産品優先調達制度の試行、建設工事において週休2日制の確保を評価する総合落札方式の試行、除雪業務の入札制度の見直し、賃金実態調査を踏まえた清掃業務、警備業務、設備管理業務における最低制限価格の設定等について実施されてこられたことに敬意を表します。
しかし、審議会が決定した取り組み方針で、経営安定と労働環境の整備を一体的に取り組むことに対し、経営者側からは、労働賃金を改善するといっても平均落札率が低いではないかとの指摘があり、県が失格基準価格を2.5%上げたことにより、最近は平均落札率が92%以上まで上がってきているにもかかわらず労働賃金には反映されていないという声が聞かれます。
また、公共工事設計労務単価は、2012年比で40%以上大幅に引き上げられましたが、現場で働く建設技能労働者の賃金は大幅な上昇は見られず、企業側の収益となっていると指摘されております。
この点について、県では、建設工事における適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式の試行を行ってきましたが、成果はあらわれているのか。また、試行を踏まえた今後の取り組みについてまず伺います。
現在県が行っている建設工事における適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式の試行の主な内容は、下請次数は土木2次、建築3次までに制限し、発注者が指定した指定工種の労務費見積もり総額を設計労務費の87.5%以上とすること。発注者が労働賃金の支払い実態等の調査を行う際には、受注者は支払い書類等を提示し、調査に協力すること。上記の項目を誓約した者へは、価格以外点を0.5点加点、下請者については、見積もり、契約と同額の支払いを受けたことを証する請負代金受取報告書を提出するというものであります。
この9月11日に開催されました今年度2回目となる県契約審議会を傍聴させていただきましたが、この試行の実施状況が報告され、試行状況の考察と今後の取り組みとして、指定工種に係る労務費の見積もり額についてはおおむね設計と同額となっており、見積もり額に基づいた支払いも行われている。標準見積書の活用については企業に十分浸透していないことが確認された。今後も試行を継続し、標準見積書の活用の浸透と適正な労働賃金の支払いの定着を推進するとしました。
この報告に、委員からは、本当に支払われているか確認しているのかとの趣旨の質問がありましたが、県側は、書類上の審査であり確認はしていない趣旨を答えました。
そこで、契約条例制定の趣旨は、適正な労働賃金の支払いが行われる仕組みづくりが課題であることを踏まえれば、書類上だけでなく実際に確認すべきではないかと思いますが、今後の取り組みについて伺います。
また、適正な労働賃金の支払いの定着を推進するとしていますが、どのように定着させていくのか、あわせて伺います。
知事には、建設業で働く皆さんの処遇改善と将来の担い手育成のためにも、この課題について真剣に取り組んでいただくことを強く求めておきたいと思います。
一旦ここで質問を区切ります。
竹内議員の代表質問に順次お答えを申し上げます。
まず、災害時の住民避難についてでございます。
避難指示等災害関連情報の発令時における行動、住民の皆様方が的確に行動をとっていただくということは大変重要なことだというふうに私も考えます。そのためには、住民の皆様方に対するわかりやすい情報提供、そして、平素からの住民の皆様方の御理解と、さらには実際避難指示を出す立場の市町村の皆様方の問題意識がしっかり確立されているということが重要だというふうに考えております。
まず、避難指示や避難勧告といった用語についてはわかりにくいという御指摘もございます。情報発信の際には簡潔でわかりやすい表現を加えるなど、市町村とともに住民の目線に立った情報発信のあり方について考えていきたいと思います。
また、県としても県民の皆様方に対して災害時住民支え合いマップや地区防災マップの作成、さらには、市町村が実施する避難訓練等への参加を通じまして、災害を我が事として捉え、災害時の危機意識を正しく持っていただくことができるよう防災教育や普及啓発を行ってまいります。
7月豪雨災害におきましては、住民同士の声がけが避難行動につながった事例等も報告されております。こうした先進事例等を市町村と一緒に県もしっかり研究していきたいというふうに思っております。その上で、的確な避難行動がとれる学びの県づくりに取り組んでいきたいというふうに思っております。
次に、県有施設のブロック塀の調査結果と対策の実施についてでございます。
6月18日に発生した大阪府北部を震源とする地震におきまして、県立学校を含む県有施設のブロック塀について6月20日から緊急調査を行いました。この結果、竹内議員の御質問にもありましたように、建築基準法の現行基準に適合していないブロック塀が116件、このうち倒壊のおそれがあるものが1件ございました。この1件につきましては直ちに撤去させていただいております。
10月末までにはこの116件のうち約4分の3の88件の対策が完了する予定になっております。残りのブロック塀につきましては、長さが150メートルを超える長大なもの、あるいは撤去することによりまして隣地にも影響が出てくるもの等があり、調整に時間を要しているものもございますが、来年の3月末までには対策を全て完了することができるように取り組んでいきたいと思っています。財産活用課を中心にしっかり問題意識を共有して取り組んでまいります。
次に、知事選の結果についてでございます。投票率の受けとめについてでございます。
まず、候補者として立候補させていただいた立場からすれば、非常に猛暑の中、多くの皆様方に投票所に足を運んでいただいたことに心から感謝申し上げたいと思っております。
ただ、投票率が過去最低になってしまったこと、これは残念なことというふうに受けとめております。県政を身近に感じていただけるような取り組み、県政に参加意識を持っていただけるような取り組み、こうしたことをしっかり進めていかなければいけないというふうに改めて感じております。
私自身も、今後、移動知事室の実施回数をふやしていきたいというふうに思っておりますし、タウンミーティング等の機会もしっかり確保していきたいと思っております。特に、地域振興局長を初め現地機関の職員に頑張ってもらっていますけれども、地域の中にどんどん出かけていって県政を身近に感じていただけるような取り組みを組織を挙げて行っていきたいと思っています。
また、CATVとの連携強化、あるいはソーシャルネットワークサービス等多様な広報媒体の活用等を通じて県の政策をわかりやすくお伝えすることによって県としての発信力を向上するとともに、県民の皆様方の県政への御理解、御協力、そうしたものを深めることによって身近に感じていただけるように努力をしていきたいというふうに思っております。
次に、若者の期待に政策的にどう応えるかということでございます。
今回の選挙は、多くの若い方々にも投票いただいたことにまず感謝申し上げたいと思います。
選挙中、大きく三つの観点からの政策を訴えましたが、その一つが子供、若者が希望を持てる政策ということでございます。今回取りまとめさせていただきました攻めと守りの政策パッケージの中におきましても、これを大きな視点の一つに位置づけさせていただきました。しあわせ信州創造プラン2.0の中でも、この若者に関連する施策を数多く盛り込ませていただいております。
生きる力と創造性を育む教育の推進、あるいは郷学郷就の産業人材育成確保、若い人たちが魅力を感じていただけるような市街地の活性化、若者のライフデザインの希望実現、子供、若者が夢を持てる社会づくり、こうしたことに県全体で着実に取り組みを進めていきたいというふうに思っております。
引き続き、若い皆さんともしっかり対話をさせていただく中で、問題意識を共有しながら、若い皆さんに夢と希望を持っていただける長野県づくりに取り組んでまいります。
次に、初心を忘れずと強調した思いと3期目の県政運営に挑む姿勢ということでございます。
私も知事として多くの皆様方の御支援をいただく中で仕事をさせてきていただいております。これは、知事としてのポジションを与えていただくに当たっての選挙においても、あるいは県政を進めるに当たっても、本当に全ての県民の皆様方から力をいただき、そして多くの皆さんの御協力を得ながらこれまで県政を進めてきております。そうした多くの皆様方の思い、お気持ち、こうしたものをこれからもしっかり忘れずに取り組んでいきたいというふうに思っております。
特に、県民起点の県政ということを掲げさせていただいておりますので、県民の皆様方の思いをしっかり受けとめて、共感と対話、県民参加の協働、こうしたことを引き続き堅持していきたいというふうに思っております。
また、私がどうして知事になったのかと県庁見学の子供たちにもよく聞かれてお話し申し上げてきておりますのは、長野県は本当にいいものがたくさんある。そうした潜在力をしっかりと発揮できるようにしていきたい。それが私の思いですよということで子供たちにお話ししております。
この長野県の強みを生かすという点、そして、県民の皆様方とのお約束を守る、光が当たりにくいところに光を当てる、こうした就任当初から掲げてきた考え方についてもしっかり堅持をして、初心を忘れず、これからも県政に取り組んでいきたいというふうに思っております。
3期目の県政運営に挑む姿勢でありますが、攻め、守り、温かさ、こうしたことを意識して取り組んでいきたいと思っております。特に、時代が大きく変化しようとしている中で、やはり積極的な政策展開、アグレッシブに取り組んでいきたい、攻めの姿勢で取り組んでいきたいと思っておりますし、また、県民の皆様方と今回の選挙中にもかなりお話をさせていただきましたけれども、やはり安心して暮らせる県にしてほしいと、自分たちの暮らしが持続可能なものになってほしいと、そういう地域の皆様方の声を聞いてまいりましたので、そういう意味で、県民の皆様方の安全、安心、そうしたものを確保するための守りの行政、こうしたこともしっかり意識して取り組んでいきたいというふうに思っております。
次に、公約のうち特に重点的に取り組むものについてという御質問でございます。
県民の皆様方とのお約束でございますので全て実現できるように最大限努力していきたいというふうに思っております。ただ、特に私として重点的にという観点で申し上げれば、やはり一朝一夕にはなし得ないような大きな課題にしっかり向き合っていきたいというふうに思っております。
一つは、これは教育委員会と連携しながら取り組まなければいけないわけですけれども、新しい時代に向けた学校教育への転換ということであります。そして、地域の皆様方の安心を確保するための持続可能な医療介護提供体制の構築、そして、さまざまな政策分野に関連いたしますけれども、公共交通の充実と地域の移動手段の確保、さらには、昨今の豪雨災害等に鑑みて、やはり安心、安全の県土づくり、広域的な防災体制の整備、そして、こうした社会全体に活力がある長野県であり続けるための産業支援体制の再構築、こうした大きなテーマに正面から向き合って県民の皆様方からの期待に全力で応えていきたいというふうに思っております。
次に、公約に掲げられた機関の役割と設置時期について御質問いただきました。
まず、幼児教育支援センターの役割と設置時期についてでございます。
幼児教育支援センターにつきましては、幼児教育の質の向上を図っていくために、保育士あるいは幼稚園教諭等の経験年数に応じた体系的な研修の実施、幼保小のスムーズな接続を目指したモデル的なカリキュラムの作成、また、配慮が必要な子供たちへの対応について専門機関と連携を図る仕組みづくり、こうした役割を担うものというふうに考えております。
現在、幼児教育あり方検討会におきましてセンターの具体像について検討しているところでありまして、来年度の設置を目指して取り組んでまいります。
次に、信州地域デザインセンターでございます。
このセンターは、未来に続く魅力ある町づくりを実現するため、公共、民間、大学等の連携によりまして市町村と協働してまちづくりを行うとともに、まちづくりにかかわる人材育成等も行っていくものというふうに位置づけております。
現在、学識者等から構成されます検討委員会におきまして、支援内容や方法、体制等の検討を進めているところでありまして、来年度の前半を目途に設置いたしたいというふうに考えております。
次に、長野県営業本部(仮称)の役割と設置時期であります。
長野県営業本部につきましては、本県の農作物や加工食品、伝統工芸品等の県産品の中でも、新品種、新商品、希少性の高い限定品等高品質ですぐれた県産品に力点を置いた販路拡大、流通ルートの開拓を行ってまいります。
また、あわせて市場のニーズを捉え、売れる商品づくりにつなげるサポート、あるいは、県産品の販路開拓にあわせて信州の魅力を発信するメディア戦略、こうしたことを担っていく組織として設置してまいります。
そのため、民間の専門人材を活用いたしますとともに、首都圏等へ売り込みやメディア展開に対応する意欲ある職員を配置することによりまして一体的なマーケティング活動を機動的に実施をしていきたいと考えております。既に、関係部によります本部設置のための検討会議を立ち上げておりまして、来年度の設置に向けて鋭意検討を進めてまいります。
次に、信州型自然保育の認可保育施設と認可外保育施設で幼児教育の無償化にあわせて利用料負担に差がついてしまうことへの対応についての御質問でございます。
無償化になる施設とならない施設が出てくる可能性があるわけでありますけれども、このいわゆる無認可の認定園に関しましては、今後認可保育施設となることを目指そうという園がございます。そうした園に対しましては、今後、園舎の整備など、移行が円滑に行えるように支援を行っていきたいというふうに思っております。
また、一方で、認可外施設のまま継続したいというふうにお考えの園もございます。こうしたところに対しましては、私としては何らかの支援が必要ではないかというふうに考えております。幼児教育無償化の国の制度設計を見据えまして、県としても具体的な支援のあり方を検討して具体化を図っていきたいというふうに思っております。
次に、公約に掲げた条例の目的と制定の時期について御質問いただきました。
まず、農作物種子条例(仮称)の制定手法と制定時期についてでございます。
条例制定に当たりましては、本県らしい条例となりますよう、農業者、種子生産者、農業団体等さまざまな立場の皆様方から個別に十分御意見をお聞きしていきたいというふうに考えております。いただいた御意見を踏まえて、来年の1月までには骨子案を作成していきたいと考えております。また、幅広く県民の皆様方の御意見をお聞きするためにパブリックコメントも行ってまいります。
食と農業農村振興審議会におきまして御議論いただいた上で、来年2月の定例会に条例素案をお示しした上、6月の定例会には条例案を提出する方向で取り組んでいきたいと考えております。
次に、公文書管理条例(仮称)の目的と制定時期であります。
公文書管理の適正化を図ることによりまして、公文書に対する信頼性を高め、県民の皆様方への説明責任を全うするため、公文書管理の基本的事項を条例として定めていきたいというふうに考えております。しごと改革、働き方改革の観点からも公文書管理を抜本的に見直すべく、しっかり検討を重ねていきたいと考えております。来年度中を目途に条例を制定いたしたいと考えております。
自転車条例の目的についてでございます。
自転車、これは子供から高齢者まで幅広い世代にとって手軽な移動手段でありますと同時に、魅力あふれる観光地域づくりや豊かな環境の保全、健康長寿を支える健康づくり等にも大きな可能性を持っているというふうに考えております。
一方で、昨年県内で発生した交通人身事故7,952件のうち、約12%の928件は自転車が関係しております。交通ルールの遵守、あるいはマナーの向上が課題になっております。
こうした観点から、さまざまなメリットがあります自転車の利用を促進し、持続可能な社会の実現と、一方で、安全で安心な県民生活の確保を目指しまして条例を制定いたしたいというふうに考えております。
次に、障害者差別禁止条例の今後の方針についてということでございます。
障害者差別禁止条例につきましては、これまで研究会を設置して報告書を取りまとめていただきました。その後、平成25年の6月に障害者差別解消法が成立したことから、法の周知、職員対応要領の策定、相談窓口の設置等の対応を行ってきたところでございます。
これと並行しまして、この研究会のメンバーとの懇談を踏まえまして、平成28年には茨城県に条例の効果、課題についてのヒアリング調査を行いました。また、法律の施行にあわせまして、障害者差別解消・虐待防止連携会議を設置いたしまして条例の制定についての意見交換を行ってきているところでございます。
法律が成立してからの全国の条例制定状況を見ますと、24の都府県で条例が制定され、5県で条例制定予定という形になっております。障害者が暮らしやすい社会づくり、あるいは共生社会の実現、こうした法律を補完するような内容の条例となっております。
私としては、この法施行後の差別解消等の実態をまずしっかり把握をしなければいけないというふうに思っております。その上で、私もぜひ当事者の方々と直接意見交換をさせていただき、関係の皆様方の思いをしっかり共有をさせていただきたいというふうに思っております。その上で、他県の状況等しっかり把握をした上でこの条例の制定の必要性について判断していきたいというふうに考えております。
続きまして、職場いきいきアドバンスカンパニーの積極的な攻めについての決意という御質問でございます。
職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度、これは、ワーク・ライフ・バランスの推進と働きやすい環境づくりに取り組む企業を県として認証する制度であります。これまで104社認証しております。県内企業の人手不足が深刻化する中、より多くの企業で認証取得を進めていただきたいというふうに思っております。その中で、女性を初めとするさらなる多様な働き方を進め、労働参加を促進していきたいというふうに思っております。
昨年度行ったアンケートによりますと、多様な働き方を導入していない企業では、導入の必要性を感じていない企業というのが依然としてたくさんございます。また一方で、必要性は感じているけれども小規模な企業なのでなかなか取り組みが難しいといったような声もあります。
こうしたことを考えますと、個々の企業の状況に応じてアプローチをしていくことが必要ではないかというふうに考えております。このため、まず必要性を感じていないという企業に対しましては、県のアドバイザーが直接企業を訪問させていただき、多様な働き方制度の導入のメリット、必要性、人材定着の効果、こうしたことについてまずは丁寧に説明して取り組みを促していきたいというふうに思っております。
また、小規模な企業に対しては、この職場いきいきアドバンスカンパニー認証企業の制度自体、毎年のように職員を雇用しているような企業ではない場合にはなかなか認証基準が実態に合っていないというような部分もありますので、規模にかかわらず、不利にならないよう、認証のあり方の見直しを行っていきたいというふうに思っております。そうすることによって小規模企業の取り組みを応援していきたいと思っております。
また、認証企業の中でも、女性や高齢者の活用等に積極的に取り組んでいるより先進的な企業もございます。こうした企業に対しては、特別認証、これまでの認証に加えて特別認証を行う仕組みづくりの検討も現在行っているところでございます。
今後とも、職場いきいきアドバンスカンパニー認証企業を拡大することを通じて、多様な働き方を進め、そして、誰もが働きやすい環境整備に取り組んでまいります。
次に、低所得世帯の子供に対する支援についてでございます。
昨年行いました子供と子育て家庭の生活実態調査の調査結果を踏まえまして、貧困等さまざまな困難を抱える子供たち、そして、その御家庭への支援を一層充実していくことが必要だというふうに考えております。
具体的な取り組みについては、現在広範に検討しているところでありますけれども、例えば低廉、無償の学びの場の充実等について、学生あるいは教員OBなどボランティアの活用ができないかというような観点、あるいは、児童養護施設に入所している子供に対しては、大学進学のための給付型奨学金制度をつくったわけでありますけれども、そうしたものに加えまして、社会的な自立に必要な資格取得など就業支援をより充実していくことができないか、こうした検討を行ってまいります。
来年、消費税の引き上げに伴いまして幼児教育の無償化が行われる予定になっております。これにあわせて、県あるいは市町村が子供たちに対して支出をしている財政負担、財政措置も大きく変更してくることが見込まれております。こうしたことから、貧困対策を含む今後の子育て支援の充実策につきまして、11月に予定をしております市町村との協議の場におきましても議論をして、市町村の皆様方と一緒になって取り組みを進めていきたいというふうに考えております。
続きまして、奨学金制度について、まず給付型奨学金の具体的な取り組み内容についてということでございます。
本県では、全国に先駆けて、平成26年度、給付型奨学金制度を創設いたしました。加えて、児童養護施設等入所児童に対する奨学金に新たに入学一時金を設けるなど、給付型奨学金の充実に取り組んでまいりました。
他方で、県内大学等進学奨学金の受給者は1学年当たり30人程度にとどまっておりますので、奨学金が十分活用されていない状況もあります。
現在、募集時期は9月ということにさせていただいておりますけれども、まだ9月の段階では進路が確定しない状況もありますので、2月ごろに追加募集を行うことも含めて来年度に向けて制度改正、制度改善を行っていきたいと考えております。
また、長野県と国の奨学金をあわせて受給をしても、一般的な学費、あるいは生活費の半分未満の水準であるというような状況もあります。国における奨学金の検討状況も踏まえまして、より子供たちが学業に専念することができるよう、さらなる奨学金の拡充について検討を行っていきたいというふうに考えております。
また、大学生等の県内定着を促進するための奨学金についてでございます。
人手不足時代に県内産業が持続的に発展していくためには、さまざまな人材の確保が重要であります。とりわけ、大学生等若い人材の確保は極めて重要な課題でありまして、奨学金制度、あるいは返還支援制度の導入は一つの有効な施策だというふうに考えております。
現在、各都道府県の実施状況の調査を行っている段階でございますが、都道府県によって業種の限定、あるいは地域限定、いろいろな制度設計がなされております。
本県といたしましても、企業や経済団体、学生、地域ニーズ等しっかり把握をさせていただきながら、本県が必要とする人材の確保に真につながるような制度のあり方について検討を行っていきたいというふうに考えております。
次に、契約に関する条例の具体化についての御質問でございます。
まず、総合評価落札方式の成果と今後の取り組みについての御質問でございます。
建設工事におきます適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式につきましては、建設業の経営安定と労働環境の整備を一体的に進める取り組みの一つとして平成28年度から試行しております。この試行は、下請人からの見積書に基づく下請契約を求めて、さらに、その支払い状況を確認することによりまして、下請人へのしわ寄せがない適正な金額での契約と支払いを定着させ、労働賃金の底上げを目指すものであります。
現時点で、本方式を採用して、竣工後、関係書類提出に至った工事は26件ございますが、その全てで、元請、下請間の適正な契約と支払いを確認をいたしております。ただ、その数はまだ少ない状況でありまして、成果として評価する段階にはまだ早いと考えております。今後引き続き試行を継続して、課題等の検証を行ってまいります。
次に、適正な労働賃金の支払い実態の確認と定着についてという御質問でございます。
賃金支払い実態の確認につきましては、労働者の賃金が適正な水準にあることとする条例の基本理念を達成するためには重要なことというふうに認識をしております。しかし、他方で、建設労働者の方々はお一人が複数の職種を担っていたり、また現場ごとに役割も異なっておりますことから、お一人お一人の適正な賃金を確認するということはなかなか容易ではない部分もございます。そのため、本試行におきましては、契約審議会での審議を経て、企業間での労働賃金支払いの総額を書類により確認する現在の方式がとられております。
ただ、今後、試行を進めていく中で、確認方法について改めて契約審議会の御審議をいただきながら検討していきたいと考えております。
また、適正な労働賃金の支払いの定着を推進するためには、企業経営の安定への配慮が必要でございます。県発注工事におきます予定価格等の適正な設定、下請にしわ寄せが及ぶダンピング受注を防止する入札契約制度の改善などの取り組みも重要だというふうに考えております。本試行を通じて、適正な労働賃金の支払いに関する課題を検証してまいりますとともに、企業経営の安定に資する取り組みも継続して適正な労働賃金の支払いの定着を推進していきたいというふうに考えております。
以上でございます。
会計年度任用職員制度導入への対応のうち、私には消費生活相談員の処遇改善についての御質問でございます。
県の消費生活センターには現在15名の消費生活相談員を配置しておりますが、この相談員は、国家資格を有するか、またはこれと同等以上の専門的な知識、技術を有することが必要でございます。日々の業務におきましても、相談者にわかりやすく納得いただける助言を行うなど、相談員には高い対応力が求められますことから、処遇や任用期間等につきましては、一般の行政職員に比べて一定程度配慮したものというふうに認識しております。
そのさらなる処遇改善につきましては、今後の会計年度任用職員に関する県の制度設計の状況を踏まえまして検討してまいりたいというふうに考えております。
会計年度任用職員制度の導入についてのお尋ねでございます。
地方公務員法等の改正によりまして、行政事務臨時嘱託員につきましては、顧問、参与など専門的な知見に基づき助言等を行う職を除き、2020年度に会計年度任用職員への移行を予定しております。現在、新たに支給が可能となる手当の取り扱いなどにつきまして、整理すべき課題について洗い出しを行っているところであります。
質の高い行政サービスを維持、提供していくためには、正規、非正規にかかわらず、全ての職員がその能力や経験を生かして活躍できる環境づくりが大切であります。地方公務員法等の改正趣旨を踏まえながら適切に制度設計を進めてまいりたいと考えております。
ありがとうございました。
知事には公約実現のために全力で頑張っていただきたいというふうに思います。
1点、総務部長にお伺いしますけれども、会計年度任用職員制度の導入について、これは条例の整備が必要になると思うんですけれども、どの辺の時期を考えておられるかということをお聞かせいただければと思います。
それから、要望させていただきますが、契約に関する条例の具体化につきまして、適正な労働賃金の支払いを評価する総合落札方式をこれからも引き続き試行していくというお話でございましたが、確認のあり方もそうなんですけれども、実際に現場で働いている人たちがなるほどなという実感が持てるようにしていただきたいということがございまして、ぜひその点は結果が出るように、しっかり力を入れて取り組んでいただきたいということを要望させていただきたいと思います。
それでは、続きまして、公共交通の維持と充実について知事及び企画振興部長に伺います。
知事は、知事選に当たり公表した基本政策集の中で、「高速バス等広域的基幹的な公共交通については、交通事業者と連携して存続・充実に取り組みます。」としています。しかし、私は、前にも、千曲バスの佐久―長野間の高速バスの廃止と、アルピコバスの長野―松本間の減便を例に質問しましたが、本県にとって県内各地を結ぶ高速バスの存在は必要不可欠ですが、採算性や運転手不足、少子・高齢化と人口減少により、今後さらに存続が危ぶまれることが予想され、早期の対策が求められていると思います。
この点について、昨年9月議会の答弁で、阿部知事は、「今後は、鉄道も含めた県全体の交通ネットワークの形成維持の観点から、県有民営方式の活用などさらなる支援策を検討していきますとともに、バス事業者や沿線市町村とも連携して観光を含めた利用促進策を検討するなど、高速バス路線の維持確保を図っていきたい。」と答えていますが、基本政策集に掲げた「交通事業者と連携して存続・充実に取り組みます。」とは、具体的にどのような施策を考えておられるのか、今後の取り組みについて伺います。
知事は、これまでも、公共交通の維持と充実は大切な課題であることを強調してこられましたが、私から見ると具体策に乏しいと思います。そこで、人口減少による中山間地域への対応や、県全体の交通ネットワークの形成維持、観光を含め利用促進策を検討するため、学識経験者や事業者などで構成する条例による審議会を早急に設置し、具体策を打ち出すべきと思いますが、決意を伺います。
また、私は、昨年9月議会で、県内共通の交通系ICカードの早期導入について質問しましたが、この質問に、小岩企画振興部長は、「2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えまして県内共通ICカードの早期導入を実現したいと考えておりますが、具体的な時期につきましては、どのようなシステム構成にするのかと表裏一体の問題でございます。今年度中には方向性について関係者間の合意が得られるよう努めてまいりたいと考えております。」との答弁をしております。そこで、取り組みの現状と今後の見通しについて企画振興部長に伺います。
次に、公共交通に関連して、県内を連結する道路整備について伺います。
知事は、基本政策集の「交通」の中で、「中部横断自動車道、中部縦貫自動車道、三遠南信自動車道、松本糸魚川連絡道路、木曽川右岸道路などの道路整備や、信州まつもと空港の国際化、中央東線の利便性向上など、本州中央部広域交通圏構想を推進します。」としておりますが、このことは私としても支持をしたいと思います。
しかし、リニア中央新幹線整備が具体化しつつある今日、リニア中央新幹線整備後の県内の公共交通等の利便性を考えれば、中信地区の、特に松本地区の利便性が取り残されることになることから、県内の均衡ある発展のためには、今後の課題として松本地区の首都圏のアクセスの利便性をどのように高めるかが課題となっていると思います。
この点について、知事の基本政策集には、県内10地域の取り組みの方向性が示されていますが、上田地域の中で、「松本地域と結ぶ青木峠トンネルの調査・整備などを通じて、他地域との交流促進を図ります。」としております。そこで、新幹線上田駅へアクセスする基幹道路としても位置づけ、今後の重点課題として取り組むべきと思いますが、お考えをお尋ねいたします。
次に、県立病院機構の運営について知事に伺います。
私はことしの2月定例県議会で、県立病院機構の運営について、平成28年度決算で2億6,300万円の損失となり、給与カットの提案や、県の人事委員会勧告による差額支給が行われないなどの実態を招いていることについて、その原因は、年金制度改革に伴う共済年金掛金の増加、人事委員会勧告に準じた給与引き上げの影響、厳しい医師不足等としていますが、県が定めた第2期中期目標の県の運営費負担金の検討や計画の認可の際、目まぐるしく変わる医療改革や賃金値上げ等を考慮せず、硬直化させてしまったのではないか。病院機構の厳しい状況に対応するため、中期計画の変更や県負担金の見直しを行うべきではないかとする趣旨の質問をいたしました。
そして、この問いに、阿部知事は、経営収支でマイナスという厳しい経営状況になっているが、経営改善に向けて現在病院機構において取り組みを行っている状況であり、見守っていきたい。県民にとって重要な機能を果たしているので、県として必要な負担を行っていきたいとの趣旨の答弁をしております。
しかし、ことし6月末に発表された県立病院機構の平成29年度決算によれば、2年続けて赤字となり、欠損額は1億3,000万円となっていますが、これは表面上の数字であり、県の人事委員会勧告による差額分9,000万円を組合との協議により支払わなかったことをプラスすれば、約2億2,000万円の赤字であったということになります。
病院機構の関係者にお聞きすれば、さまざまな経営努力はしていますが、しかし、ことし人事委員会が給与値上げを勧告すれば、今年度また赤字となる可能性が高く、ドキドキしているということであり、職員の皆さんが将来に不安を抱え、ドキドキ状態で仕事をしているのが現状であると思います。
このまま放置すれば、人材の確保やサービスが悪循環となるとともに、特に木曽病院は存続の危機に陥る可能性があると私は思っております。独立行政法人化したとはいえ、県立病院の担う役割は僻地、過疎医療、救急、小児、周産期、災害、精神など不採算、特殊部門にかかわる医療の提供があり、これらの課題は本県にとって欠かせないものであり、病院機構を絶対に衰退させてはならないと私は思います。
このような県立病院機構の2年続けての厳しい経営状況について知事はどのように受けとめておられるか、また、県としての今後の支援策を考えておられるか、伺います。
今9月議会に評価委員会の平成29年度の総合評価が報告されましたが、それによると、県及び機構の自己評定ともに、全体としておおむね中期計画における所期の目標を達成していると認められるのB評価、財務内容の改善に関する事項の評価では、県及び機構の自己裁定ともに、中期計画の達成のためには改善を要するC評価となっていますが、今年度に入っての経営状況と見通し、そして、ことしも県の人事委員会勧告はプラス勧告が予想されますが、その場合の病院機構の対応についてあわせて伺います。
次に、障害者法定雇用率の水増し問題について知事に伺います。
中央省庁が障害者雇用を水増ししていた問題について、8月28日、ようやく厚生労働省が各省庁の障害者雇用の実態について調査結果を公表しました。調査の結果では、33の国の行政機関のうち8割の27の機関で3,460人の水増しがあり、実際の雇用率は法定を大きく下回る1.19%にとどまることが明らかになりました。
民間部門に対して率先して障害者の働く場を広げる立場にある中央省庁が、みずからルール違反を犯し、組織的な脱法行為と言われても仕方のない不正を行っていたものであり、国の信用を大きく失ったと言わざるを得ません。
また、雇用率の水増しは、単に形だけの数値目標達成にこだわっただけではなくて、本来は就業できるはずだった多くの障害者の労働機会を奪った深刻な問題であるとともに、障害者の働く権利を奪い、基本的人権を大きく侵害するものであり、政府は障害者やその家族の願いを踏みにじってきた責任を痛感すべきであります。
水増し問題は自治体でも行われていたことが判明し、本県でも、県の発表によれば11件の水増しがあったとされています。このことは、中央省庁同様に、本来民間部門への法定雇用率向上を推進する立場にある県の信用を失墜させたと言わざるを得ませんし、率先、垂範すべき県がこれでは、県民にも示しがつかないと思います。
なぜこうした問題が起こったのか原因を明らかにするとともに、再発防止の具体的対応と今後の取り組みを示していただきたいと思います。
また、引き続き教育委員会、県警、外郭団体等の実態調査を行うことを求めるとともに、法定雇用率の向上や検証のため、障害当事者や障害者雇用の専門家による第三者委員会を設置すべきと考えますが、お考えをお尋ねいたします。
次に、大北森林組合問題への対応について知事に伺います。
9月14日、監査委員が知事に提出した平成29年度長野県歳入歳出決算審査意見書の概要版によりますと、「県が大北森林組合に対し請求した返還金については、履行期限の延長処分が行われ、平成29年度は返還計画に基づいた返還がありましたが、引き続き適切な管理が必要です。 また、組合の事業の経営状況等を随時把握し、必要に応じて指導助言などを行うことにより、組合の経営の健全化と債権の計画的かつ早期の回収に努めてください。他の補助事業者に対する返還請求で未納になっているものについては、引き続き債権回収の手続を確実に履行してください。組合元専務等に対する損害賠償請求については、その全額が収入未済となっていますので、債権回収の対策を講じるとともに、補助金不適正受給問題については、今後も職員が一丸となって再発防止に取り組み、県民の信頼回復に一層努めてください。」と指摘されました。
この監査委員からの指摘を踏まえ、県はどのように取り組んでいかれるのか、まず伺います。
また、この間、県は補助金不適正受給事案に関し、国から課された加算金について、長野県職員の損害賠償責任に関する監査請求を行い、その後の監査結果に基づき、ことし3月19日に対象職員に対して監査結果のとおり損害賠償請求を行いましたが、その後の対応について伺います。
次に、本県の資産老朽化比率の改善について総務部長に伺います。
9月17日の新聞報道によりますと、総務省が示した統一基準により地方自治体がまとめた2016年度決算の公会計データを日経グローカルが独自に分析した結果、都道府県では島根県に次いで本県が資産老朽化の進みぐあいを示す指標が高いと報道されました。これは、日経グローカルが入手した39の道府県と全政令市のデータを分析した結果ですが、公共施設やインフラなど自治体が持つ資産の老朽度合いを示す有形固定資産減価償却率、資産老朽化比率のことですけれども、これが本県は71.8%で2番目に高いということであります。
そこで、この結果をどのように受けとめておられるか、また、この数値をどのように改善していくお考えかお伺いをいたします。
さらに、ファシリティマネジメント基本計画による取り組みはどのように進んでいるのかお尋ねをいたします。
質問の最後は、PFIコンセッション改正法への県の対応について総務部長及び環境部長に伺います。
ことし6月13日に、国会でPFIコンセッション改正法案が可決、成立しました。PFIコンセッション改正法とは、企画立案、設計から建設、維持管理、運営までの全ての工程を網羅しているPFI法にコンセッションを加えたものであり、その対象が道路、港湾、空港、上下水道から、さらに市街地再開発、区画整理、廃棄物処理、医療、社会福祉等の施設まで、公共サービスのほぼ全体を網羅し、30年契約としてこれを進めるために邪魔になる規則は全て撤廃、または緩和を推進するとしています。
つまり、民間の創意と工夫、利益をあらかじめ上位に置き、これの妨げになる規制は全て廃止、変更する狙いがあると言われています。
この法改正により、まず危惧されることは、上下水道への民間事業者の参入です。その理由は、日本の下水道管渠の耐用年数が50年ですけれども、既にそれを超えるものが現在3%、15年後には25%にふえると指摘されていること。上水道の管路の耐用年数は40年ですが、既に15%は超えており、2014年度末の耐震適合率は36%にとどまっていること。そして、これらの整備費は全国で年間1兆4,000億が必要で、それを賄うには6割以上の料金値上げが必要とも言われており、地方自治体の上下水道の維持管理等、運営が財政難から厳しくなることを想定し、外国企業を含め、民間事業者の参入に道を開く意図があると思うからであります。
なぜなら、新たな法のもとでは、管理運営権は物権となるため、事業者はこれを抵当権として資金を借りることができるために投資の対象となるからであります。しかし、水の安全、モニタリング、水質管理は微生物や化学物質など51項目を基準値にしていますが、営利を目的とした民間事業者で十分な対応ができるのかどうか。
フランスでは、コンセッションを導入した長い経過がありますが、パリでは水道事業の民営化は、水は命との国民の声から、民から官へ移行している状況にあります。
そこで、PFI法において公共施設等運営事業、コンセッション事業が拡充されていますが、本県の今後の施設管理と県民サービスのあり方について総務部長に伺います。
また、今回の法改正を受けて、上下水道事業のあり方について環境部長に伺います。
さらに、もしこのコンセッションを導入した場合は雇用問題が想定されますが、その場合の対応について、現在、命名権を活用した県有財産がありますが、この法律を活用して管理運営権の売却につながることを懸念しますけれども、所感をあわせて総務部長に伺います。
先ほどの会計年度任用職員制度の導入に関連をいたしまして、再質問をいただきました。
条例制定の時期はということでありますが、2020年4月1日の施行に間に合うよう、来年度中に条例制定できるよう鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、有形固定資産減価償却率、いわゆる資産老朽化比率が全国2位とされたことについての受けとめと改善策についてのお尋ねであります。
この指標は、貸借対照表上に計上された県庁舎や道路などの償却資産の取得価格等に対する減価償却累計額の割合であり、資産の取得からどの程度経過しているかを示すものであります。貸借対照表の作成に当たりましては、国から示された統一的な基準に基づいているものの、取得価格や供用開始時期の精緻な把握が困難な資産の計上方法などについては各県の判断に委ねられております。
例えば、償却資産の約半分を占めております道路の計上方法については、各県の運用に任されていることからばらつきが生じています。このため、今回の指標のみをもって単純に他県と比較することは適当ではないものと認識をしております。
しかしながら、過去に整備をした公共施設やインフラ資産は、今後一層老朽化していくことが確実であることから、長寿命化や更新に力を入れていく必要があります。人口が減少する中、資産の適切な維持管理は重要な課題であり、県民の皆様の安心・安全の確保のため、財政の健全化に留意をしながら計画的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、ファシリティマネジメントの取り組み状況についてのお尋ねであります。
平成29年3月に定めた長野県ファシリティマネジメント基本計画では、四つの基本方針に基づいて取り組みを進めております。
方針の一つ目、県有財産の総量縮小については、施設の有効活用、転用、集約化計画の策定に向けた施設アセスメントを実施しております。また、平成29年度には、未利用県有地26件のほか、松川青年の家などの県有施設の市町村への譲渡、移管を7件行いました。
方針の二つ目、県有財産の有効活用については、太陽光発電用の屋根貸しや、おためしナガノの居住用施設としての活用などを行っております。また、職員宿舎の管理戸数適正化や共同利用の推進にも取り組んでいるところであります。
方針の三つ目、県有施設の長寿命化につきましては、県有施設の修繕、改修工事の優先度評価を実施しております。平成32年度末の中長期修繕・改修計画の策定に向けて、今年度は高等学校、特別支援学校の102施設について定期点検を実施しております。
方針の四つ目、維持管理の適正化につきましては、比較分析が可能な168施設において光熱水費のベンチマーキングを行うとともに、課題がある施設に対して改善策を提案し、維持管理費の適正化に取り組んでいるところであります。
次に、PFI法のコンセッション事業についてのお尋ねであります。
今回の改正は、国による支援機能を強化するとともに、PFI法に基づく事業の一つでありますコンセッション事業に係る制度面での改善や上下水道事業への導入促進を図るものであります。
コンセッション事業は平成23年度に制度化され、利用料金で独立採算が見込める公共施設を対象として、公共が所有する施設の運営権を民間事業者に設定し、自由度の高い運営を可能とすることを目指しております。
今後、本格的な少子・高齢化社会が到来する中で、効率的かつ効果的に社会資本を整備し、質の高い公共サービスを提供していくためには、民間事業者が行うことが適切なものはできるだけ民間事業者に委ねていくことも一つの手法と考えております。
最後に、コンセッション事業における雇用問題と運営権の売却についてのお尋ねであります。
コンセッション事業の導入に伴い、新たな民間雇用が創出されることとなりますが、外郭団体等で事業を実施している場合の職員の雇用問題や、コンセッション事業者の職員の低賃金の問題などが発生するおそれがあり、そうした雇用問題への配慮も必要となります。
コンセッション事業の導入については、提供する県民サービスが最も効率的なもの、そして良質なものとなるよう、サービス水準やそのコスト、利用料金などについてメリット、デメリット等を十分に検討した上で判断していく必要があるものと考えております。
以上であります。
公共交通に関連して、まず公共交通の維持に向けた取り組みについての御質問でございます。
広域・基幹的な交通ネットワークの維持確保は、通勤通学のみならず観光あるいはビジネスといった面からも重要な課題だというふうに考えております。
これまでも、県としては、市町村をまたぐ地域間幹線バス路線に対し、運行経費の補助や県有民営方式によります車両導入の支援を行ってまいりました。
ことしの1月には、交通事業者の皆様方と直接意見交換をさせていただき、さまざまな事業者の皆さんの課題やこれからの展望について直接お話を聞かせていただきました。いろいろな課題を率直にお伺いできて、私としてはこれからの政策を考える上で非常に参考になりました。
今後とも、こうした当事者の皆様方の御意見にもしっかり耳を傾けながら、必要な路線をしっかり守っていくことができるよう取り組んでいきたいと考えております。
具体的な取り組みとしては、まず経営面での支援として、広域・基幹的なバス路線を維持するための補助制度について検討を行っていきたいというふうに思っております。また、貨客混載など運賃収入以外の収入の確保策を応援していきたいと思っております。また、自動運転バスについて共同研究を行うことを考えていきたいと思っております。
また、利用促進策としては、信州ナビを活用した観光面での利用促進、そして、路線情報の大手検索アプリへの提供、こうしたことに取り組むことにより、公共交通の維持、存続に向けた取り組みを強化していきたいと考えております。
次に、条例による審議会で交通に関する具体策を打ち出すべきではないかという御質問でございます。
現在、地域における移動手段の確保・補完に関する検討会を設置してさまざまな御意見をいただいております。学識経験者、交通事業者のほか、福祉、商工、観光の関係者の皆様方にも御参画をいただいて、実務的な視点での活発な御意見をいただいているところであります。
この場での御意見を踏まえて、今年度、新たに、バスロケーションシステムの構築、ユニバーサルデザインタクシーの導入や定期券タクシーの運行といったこれまで手薄であったタクシー事業者に対する支援、さらには、貨客混載方式の拡大に向けた事業者間のマッチング、こうした具体的な取り組みを行っているところでございます。
公共交通の維持、確保や利用促進策について今後どのような場で検討していくことが適切かということについては、今後の課題とさせていただきたいというふうに考えております。
次に、青木峠トンネルの整備についてでございます。
国道143号は上田地域と松本地域を結び、経済面、観光面、防災面からも重要な幹線道路であるというふうに考えています。
青木峠の整備に関しては、各方面から多くの御要望をいただいてまいりました。青木峠トンネルの整備によりまして、物流の安定性の確保や新たな観光ルートの創出が期待されますとともに、災害時の緊急輸送路としての機能向上が図られますことから、本州中央部広域交流圏の形成にも大きな役割を果たすものと考えております。
しあわせ信州創造プラン2.0におきまして事業着手箇所として位置づけているところでありますので、本年5月にルート帯を公表いたしました。引き続き早期事業化に向け、具体的なルート、構造の検討を進めてまいります。
県立病院機構の運営についての御質問でございます。
まず、2年連続の赤字に対しての受けとめについてということでございます。
県立病院機構の各病院は長野県の地域医療に大きく貢献していただいておりますし、県民の皆様方の命を守り、安心、安全に大きく寄与しているというふうに考えております。
その一方で、御指摘ございましたとおり2期連続の損失の計上ということで、これは、私としては、県民の皆様方にこの県立病院機構による医療サービスの持続可能性について不安を与えているということに対して大変申しわけなく思っているところでございます。県立病院機構には、徹底した取り組みを行うことにより、経営改善、そして信頼回復を図っていくことが必要だというふうに思っております。
今後の支援についてでございますが、まず、県立病院機構も問題意識を持っていただく中で、本部事務局に経営改革統括責任者を配置するとともに、病院の職員配置の見直しにも着手をしているところであります。
県としても、このほど取りまとめた平成29年度業務実績の評価におきまして、人員配置の適正化計画の速やかな策定やさらなる給与制度の見直しなどを求めたところでありまして、機構の努力に期待をしているところでございます。
県としては、毎年多額の運営費負担金を交付しているところであります。今後のあり方としては、独法としての自助努力の範囲と県として負担するべきもののあり方について引き続き研究をしていきたいというふうに考えております。
平成30年度の経営状況の見通しについての御質問でございます。
病院機構におきましては、平成29年度に経営改善プログラムを策定いたしました。平成30年度の取り組みとしては、例えば、信州医療センターにおいて産婦人科に女性医師を採用して医師を4人に増員するとともに、個室化などを図って分娩件数を増加させてきております。また、木曽病院におきましては、地域包括ケア病棟を開設するとともに、職員数の削減によりまして人件費の抑制に取り組んでおります。
こうした取り組みから、平成30年度の年度計画におきましては黒字化を見込んでおりまして、実際、4月から7月までの実績におきましても約2,400万円の黒字という状況でございます。今後もさらなる経営健全化に努めていただき年度計画の達成をしていただくことを期待しているところでございます。
人事委員会勧告への対応についてでございます。
機構職員の給与につきましては、地方独立行政法人法におきまして、同一の職種の国及び地方公共団体の職員、民間企業の従事者の給与、機構の経営状況等を総合的に勘案して機構が定めるものというふうに規定されております。
人事委員会勧告への対応につきましては、勧告が出された時点で機構において検討をされるものというふうに考えております。
次に、障害者雇用についてでございます。
障害者雇用促進法に基づく障害者雇用につきましては、本県におきまして、障害者手帳等の確認を行わず障害者として計上していた方がいるということが過日判明し、公表、訂正をさせていただいたところでございます。このことにつきましては、県民の皆様、特に障害者の皆様方の信頼を大きく損なうものであり、深くおわびを申し上げます。
直接的な原因は、算定の対象となります障害者について、国のガイドラインが障害者手帳等による確認を求めているにもかかわらず、障害者雇用促進法で定める障害の状況、事実をもって判断してきたというところにございます。
現在、改めて全職員へ呼びかけを行うなど、障害のある職員が申告しやすい環境づくり等に着手をしたところであります。新たに申し出ていただいた障害がある職員もいます。
他方で、厚生労働省が再点検調査を行っているところでございますが、法で定める常勤職員にどこまでの職員が含まれるのか国に明確な判断基準を求めております。数値に誤りのないよう慎重に対応しているところでございます。
今後、現状をしっかりと把握し、法定雇用率の達成に全庁を挙げて取り組むことはもとより、この法定雇用率の対象職員に入らない職員も含めて、障害者の就労が進むよう、働きやすい環境づくりに全力を尽くしてまいりたいと考えております。そのため、各部局横断的な検討組織を設置して、障害者の方々が働きやすい職場環境づくりや採用枠の拡大について具体的な検討を開始したところでございます。
今後、障害者の方を講師に招いて障害者雇用等に関する研修会を開催するなど、職員の意識改革もあわせて進めてまいりたいと考えております。
雇用率向上や検証のための第三者委員会の設置についてという御質問でございます。
現在、再調査を実施しているところでございますが、国にその対象職員の範囲等逐次確認をしながら慎重に進めているところでございます。また、庁内検討組織においても今後のあり方を検討しているところでございます。今後、障害者御自身からの声も直接お伺いしたいというふうに思っておりますし、障害者団体の皆様方と意見交換を行っていきたいというふうに考えております。
これを契機に、障害者の皆様方にとって本当に働きやすい長野県組織になるようにしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。こうした取り組みをまずは行うことによりまして、本県における問題点の検証、あるいは障害者の採用拡大に取り組んでいきたいと考えております。
次に、大北森林組合の問題への対応について何点か御質問いただきました。
まず、組合の経営の健全化と債権の回収についてでございます。
大北森林組合が再生し、事業経営計画及び補助金返還計画が着実に実行されますよう、県として事業実施や経営状況の報告を徴取するなど定期的に計画の進捗を確認し、組合に必要な指導、支援を実施してきているところでございます。
特に、森林整備に必要な計画作成のための制度的、技術的指導や、森林所有者の境界の確認や同意取得への支援は大変重要でありますことから、地域の森林整備の推進に向けた指導、支援を重点的に行ってきているところでございます。こうした取り組みを通じまして組合の経営健全化と確実な債権回収に努めていきたいと考えております。
他の補助事業者に対する債権の回収についてということでございます。
他の補助事業者への債権につきましても、今後とも引き続き粘り強く支払いに向けた交渉を継続してまいります。債権の確実な確保に努力をしてまいります。
次に、組合元専務等に対する損害賠償請求についてということでございます。
元専務に対しましては、大北森林組合等補助金不適正受給事案に係る損害賠償請求についての対応方針に基づきまして、平成29年12月19日に文書によりまして1億2,900万円余の損害賠償を請求しているところでございます。
以降、督促、催告はもとより、請求内容や県の見解を書面で説明してまいりましたが、本年7月に代理人弁護士を通じて、支払いには応じられず、県が提訴した場合、応訴もやむなしという書面回答がございました。中村元専務からの任意の回収が期待できませんことから、今回訴えを提起せざるを得ないというふうに判断いたしまして、今議会に議案を提出させていただいているところでございます。
再発防止による県民からの信頼回復についてでございます。
県民からの信頼回復に関しましては、行政経営方針に、「県民の信頼と期待に応える組織づくり~コンプライアンスの推進~」ということを真っ先に掲げさせていただき、職員の意識改革、そして風通しのよい職場づくりに林務部のみならず全庁を挙げて取り組んでいるところでございます。
再発防止に関しましては、全部局長からなるコンプライアンス推進本部におきまして、現在リスクマネジメントの仕組みの構築を進めております。
また、特に林務部におきましては、林務部コンプライアンス推進行動計画に基づきまして、業務の適正化や職員の意識改革等に取り組んできているところでありまして、常に見直しを行いながら継続して行動を行ってまいります。
今後も、私も含めて一人一人の職員がしっかりと問題意識を持って職務に取り組むことによって、県民の皆様方からの信頼回復ができるよう全庁を挙げて取り組んでまいります。
県職員に対する損害賠償請求の結果についての御質問でございます。
この事案に係ります県職員に対する損害賠償請求につきましては、本年2月の長野県職員の賠償責任に関する監査結果に基づきまして、財務会計職員4名と非財務会計職員7名に対しまして、3月19日に賠償命令及び損害賠償請求を実施し、対象となった職員からは7月19日までに請求どおりの納入がなされたところでございます。
以上でございます。
交通系ICカード導入に向けた取り組みの現状と今後の見通しについての御質問でございます。
県内共通のカードの早期導入を実現するという方向性のもとで、ことしの1月以降、5回にわたりまして交通事業者や市町村等を交えたワーキンググループを開催してまいりました。
このワーキンググループでは、既存のカード発行事業者からシステム導入に当たっての条件や使用の確認を行うとともに、タクシー事業者への導入も視野に入れた導入機器の市場調査やシステムの研究を鋭意行ってきたところでございます。
一方で、先日、JR東日本からは、現行のSuicaと各地域の交通系ICカードを1枚のカードにまとめた新たなシステムの開発を行う。目標としましては2021年春の提供開始を目指して行うといった発表もあったところでございます。こうした動きも踏まえつつ、交通事業者や市町村等と協議の上、今年度中には導入する具体的なシステムやスケジュール、地域等を決定できるよう引き続き取り組んでまいります。
以上でございます。
PFI法改正を受けての上下水道事業のあり方についての御質問でございます。
上下水道事業につきましては、施設の老朽化や人口減少による収入減などが大きな課題となっているため、民間の資金やノウハウを活用したコンセッション事業も対応策の選択肢の一つであると認識しております。
また、上下水道事業は、生活環境の改善や公衆衛生の向上を目的とし、公益性が高く、住民生活に密着したものでございますので、安全、安心を担保するということが極めて重要でございます。その上で、事業主体である市町村などが運営手法を判断し、持続的かつ安定的な管理運営を行っていくべきものと考えているところでございます。
御答弁ありがとうございました。
上下水道事業のあり方については、選択肢の一つであるということです。この水道事業は市町村ですが、県も水道事業をやっていますので、安全の問題をしっかりと心得た上でやっていただきたいという趣旨で申し上げたということを認識しておいていただきたいと思います。
それから、公共交通のICカードの導入について、企画振興部長は、去年の9月の段階で今年度中と言っていまして、また今年度中というと1年延びているということになるのですが、なぜおくれてしまったのか。いろいろな技術的な問題や、事業者間の共通認識が持てなかったり、あるいはみんな矛先が違ったり、あるいはカードの種類が違ったりしていて統一的にどうするかという話だと思うんですけれども、可及的速やかにという意味でいけば、オリンピックまでに間に合わせるということでぜひ取り組みをいただきたいということでございます。これは質問はいたしません。要望にとどめておきたいと思います。
それから、高速バスに関して言うと、県にとって、この県内を結ぶ幹線の高速バスは、命綱というか、極めて脈であって、これが衰退するようなことがあると県内はかなり活力が落ちてしまうということになります。その認識のもとに、事業者は今どんな気持ち、どんな経営状況で、人手は足りているのか、そういうことを現時点で事業者にぜひ確認、聞き取りをしていただきたいということを要望だけさせていただきたいと思います。
以上で信州・新風・みらいを代表しての質問を終わらせていただきますけれども、知事のこの3期目のしあわせ信州創造プラン2.0に掲げる目標を着実に推進するとともに、中長期的な方向を示し、県民が共有できる夢を示すことができるかが課題であろうかと思います。
また、これまで、阿部知事は、栄村や神城断層地震、御嶽山の噴火災害、県防災ヘリの墜落事故等さまざまな危機管理対応を行われてこられたことに対しまして敬意を申し上げます。近年の全国各地で頻繁に起こる地震や異常気象による災害の発生、台風被害等は、いつどこで発生するか予断を許さない現状であり、知事には、防災・減災対策に万全を期すとともに、当然のことと言われますが、いざというときの対応をしっかり行う万全な準備をしておいていただくことを心から求めておきたいというふうに思います。
そして、そのためには、くどいようですが、日ごろ知事と県職員がそれぞれ物が言える健全な関係を構築することが課題であろうかと思います。この点についてもどうぞよろしくお願いをいたします。
今回の知事選で、私たち会派は阿部知事を推薦し、それぞれの立場で支援をさせていただきましたが、地方自治政治の原点は二元代表制である意図を生かすためには、今回の知事選結果を踏まえ、県民生活の向上のためにはチェック機関としての議会の役割を重視し、今後も、私たち会派は、知事に対しては是々非々の立場で取り組んでいくことを最後に申し上げまして、会派を代表しての代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。